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ガムザッティの感動おすそわけブログ

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熊川哲也とKバレエカンパニー

2019.02.04
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振付を見直したという今回の「第九」。初演時は第2楽章が秀逸だったが、今回の白眉は第3楽章だった。
プリンシパル宮尾の力がすごい。立ってるだけで舞台を支配。ミュージカル「ロミオとジュリエット」での「死」などの経験がそうさせるのか?
パドドゥに吹き込む情感も。踊りに意味がある。意味が漂ってくる。第九が一種のシンフォニックバレエであるとしても、その音楽とダンスに感情とストーリーを見出せる人はそうそういない。改めて宮尾のプリンシパルとしての成長と自信が身にしみた。
熊川登場の第4楽章も、祝祭気分全開だった。私は満足。満足とともに卒業かな。
圧巻の幕切れに誰もが興奮したけれど、(もちろん私も)、だけど、私は思う。「まだまだ踊れる」とはいえ、そしてそのパフォーマンスは人々を熱狂させるけれど、かつての彼を知っている身としては、どうしても物足りなさを感じてしまう。

そりゃそうだ。
もはや記憶と記録にしか残っていないシーン、彼自身にすら再現できない才能は厳然としてある。それがダンサーの宿命だし、それが彼を、古典として永遠の命を得るために作品を生み出す方にシフトさせた。
熊川はこれからも芸術監督としては進化する。彼のタレントのうち、引き継げるものは引き継いだ。それは益子倭や宮尾俊太郎が証明してる。でも、引き継げないものもあるんだ。
だからこそ、熊川哲也はレジェンドであり、唯一無二の不世出なダンサーなのである。

彼を追いかけてちょうど30年。今日は一つの、幸せな区切りとなりました。
もちろんこれからも、Kバレエは観るよ!






Last updated  2019.02.04 08:55:48
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2019.02.02
素晴らしかった、の一言に尽きる。
益子倭はプティの難解な振付に果敢に挑戦、丁寧に、そして気迫をもって踊り切りました。
パーフェクトとフルアウトを求める熊川によく従い、素晴らしいステージだったと思います。
彼は体格が熊川に似ているので、ときどき熊川が踊っているかのような錯覚をすら覚えました。
それほど、手の先、足の先まで魂がこもっていた。
見込まれてBallet Gentsに入りながらも、他のメンバーに比べるとまだまだ大役につけるチャンスが少ない益子ですが、この日の出来栄えは、きっとこれからの活躍への道を切り開く一歩となるでしょう。

最近、Kバレエを退団した男性ダンサーの舞台を観ましたが、やはりKバレエに居続けることで得られるものは計り知れない、と思いました。
どんなに才能があっても、高い理想を目指す芸術監督のもとで、常に超一流を意識しなければならないKバレエは、本当に素晴らしい鍛錬の場です。
すべての団員に敬意を表します。






Last updated  2019.02.04 08:53:06
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2019.01.30
Kバレエが創立20周年を迎えました。
20年前、京王プラザホテルでの会見に私は、ファンクラブの1人として行っています。本当は「IndepenDance」って名前でスタートするはずで、会見場には垂れ幕も掲げていたけど、すでにその名前のグループがいることがわかり、急遽「K-B allet Company」での船出になったのでした。
これも偶然とはいえ、その後のグループのあり方に影響を与えたかもしれません。ロイヤルバレエを飛び出したのは熊川だけではなかったし、その中心が熊川であったとしても、メンバーに上下関係はなかった。だから「KUMAKAWA」の「K」をとって名付けるカンパニーを、当初はまったく考えていなかったと思うのです。
やがて熊川が、グランドバレエにシフトしていくと、キャシディを除くメンバーはやりたいバレエの違いから、活躍の場を他に求めるようになります。
もしあのとき、名前が「IndepenDance」だったら、まったく違う道のりを辿っていたかもしれないし、
あのときいったん空中分解してしまったかもしれません。
ただ、これだけは言えます。熊川は自分が踊ることだけでなく、いかに日本にバレエという文化を根付かせるか、そこで最高のパフォーマンスを提供できるか、進化し続けられるか、をずっと考えてきました。
「この子がもっていないものは、バレエ団と劇場だけ」と言わしめたあの16歳の日から30年、
バレエ団を持ち、劇場も持ち(オーチャードホールの芸術監督を経て昨年末フランチャイズ契約)、
バレエスクールまで持った熊川は、本当にすごい人だと思います。
心からその道のりと、これからを祝福します。






Last updated  2019.02.04 08:40:02
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2018.09.02
Kバレエフレンズ(Kバレエカンパニーのオフィシャルファンクラブ)で、会報をリニューアルし、
「Devant(ドゥヴァン)」という正方形の小冊子になったことは、以前も紹介しました。
そのときも、内容が充実していますよ、というお知らせだったのですが、
4号は輪をかけて内容が濃く、熊川哲也の30年、Kバレエの20年、浅川紫織や宮尾俊太郎の15年がまるごと味わえる素晴らしい1冊となっています。
もしおうちにあるけどまだ読んでいない方は、必ず目を通してください!
特に岡村啓嗣氏と熊川との対談は、読んでいてこれまでの30年が走馬灯のように脳裏を駆け巡る!
宮尾・浅川の対談も、彼らが大きなタイトルロールを初演するときの気持ち、熊川の稽古の付け方の徹底ぶりなどが垣間見え、心が震えます。
「New Pieces」の作品解説も、振り付けた本人の構想が率直に語られており、バレエの深淵に触れる思いです。
もしお友達にKバレエフレンズの会員がいらっしゃったら「読んだ?」と声をかけてみてくださいね。






Last updated  2018.09.02 09:15:18
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2018.03.24
更新が滞っております。
「カンゲキのまとめ」だけでも続けたいと思っておりますが、今日はそれよりも、どうしても書きたいことが。
昨年、Kバレエフレンズ(Kバレエカンパニーのファンクラブ)の会報誌がリニューアルしました。
それまで「Pirouette(ピルエット)」というA4版の、少し厚みのある冊子だったのが、
新しい「Devant(ドゥヴァン)」は200mmx200mmの正方形で、用紙もソフト。
内容的にも、Pirouetteは舞台写真やイベント報告が主だったけれどDevantはインタビューなど読み物中心。いろいろ違います。
私は最初のファンクラブ「テディズ・クラブ」→「アーサ・メイジャー」→「Kバレエフレンズ」とずっとファンクラブ会員。会報誌もずっと読んでいますが、今回(「Devant №3」はチョーおもしろい!
特に、現TBS顧問で、Kバレエの公演を興行主としてTBSが支える形を作った児玉守弘氏との対談がめっちゃ面白い! 熊川ファン必読です。
宮尾&遅沢の人生相談「アニキに訊け!」も全開、
浅川紫織のまんが道「COJI-COJI」にはいちいち同感。
そして、巻頭の熊川インタビュー。今年の公演ラインナップを一つ一つ愛をこめて、そして懐かしい思い出とともに解説する熊川の言葉一つ一つに、ファンの私も思い出すことがたくさん。読むだけで、甘いひとときをありがとう!
…ということで、すみからすみまで読み応えあり。ファンクラブの会員の方、読んでね。






Last updated  2018.03.24 14:39:02
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2017.10.23
それがバレエでなかったものを、
バレエとして表現するとはどういう作業だろう。
それが音楽でなかったものを、
音楽として表現するとは、どういう作業だろう。
謎多き実在の人生に、
物語を与えるとはどういう作業だろう。

そこに、確固たるコンセプトが存在しなければ、
どこかで見たような、何かで聞いたようなものばかりになってしまうはず。
どこにも存在しないオリジナリティを持ち、
かつ、観る者に安心感を与え、心情を想像しやすい様式を用いる。

それは歌舞伎の新作に、古典歌舞伎の手法を用いるもののように思えた。

新作だけれど古典の文法。それは、この新作バレエが古典になりうる要素でもある。

一幕目はエジプトを意識したつくりになっている。
序盤のまがまがしさは、彼が英国ロイヤルバレエでオリジナルキャストの一人を務めた
ブリテンの「パゴダの王子」(マクミラン振付)をほうふつとさせる。
カエサルがキャシディという西洋人であることが、はからずも
東洋対西洋のコントラストを鮮やかすぎるほど示していた。
クレオパトラの中村祥子の突出した魅力によって圧倒されるが、
クレオパトラやプトレマイオス(山本雅也)以外のヴァリエーションは音楽・振付ともいまひとつ。
エジプト王朝の権力闘争にローマ帝国との関係がどう関わっていくか、
場面がどうしても説明的になる。
これから更なるブラッシュアップが期待される。

それに比べて第二幕の見事さには舌を巻いた。
たしかにこの作品ならではのモチーフとなる音楽と振付は
序曲や一幕のクレオパトラのソロが担っているかもしれない。しかし
二幕はクラシック音楽として耳馴染みのよい音楽にのせて
クラシックバレエとしての技術が散りばめられている。
その技術の一つ一つが、重要なシーンの盛り上がりを加速こそすれ妨げない。
二幕だけで、白鳥の湖の二幕のように、このままいつでも上演できる。

一幕目、切れ者かつ絶世の美女ながら傲慢を絵に描いたようなクレオパトラが
二幕では威厳を保ちながらも愛を知る者になっている、その変化が一瞬で見て取れるのも素晴らしい。
カエサルとの愛の日々。愛息シーザリオンをめぐるローマでの不安定な立場。
そしてカエサルの失墜。
異国エジプトの女に加担することを是としないローマ元老院の面々が、
少しずつ円を狭めてカエサルを追い詰めていくシーンなどは圧巻。

そしてアントニウス役の宮尾俊太郎が、クレオパトラに心酔していく男を好演。
カエサルよりも小者でクレオパトラの手玉にとられたとも言われている男だが、
宮尾アントニウスと中村クレオパトラの間には、たしかに愛が見えた。

終盤、二つの曲線が交わるだけの「船」が、波打つ海に浮かぶシーンは最高に美しい。
クレオパトラのもとにやってきたアントニウス、それだけで、観客も幸せな気持ちになれた。
青々とした海の照明、魂を揺さぶる音楽が、シーンを支えていた。

特筆すべきはオクタヴィアヌス役の遅沢祐介と、
その妹にしてアントニウスの妻となる、オクタヴィア役の矢内夏子である。

中村祥子と対照的な女性を、クラシックバレエの典型ともいえる滑らかさたおやかさで表した矢内、
朋友アントニウスを信頼して妹を嫁がせたのに、裏切られたアウグスチヌス遅沢の、
締まった体躯でどこまでも冷静に戦い抜く姿。
二人とも正確かつ俊敏。敵役が大きくなければ物語がつまらないではないか!
カエサル亡きローマでありながら、微塵も弱さを感じさせない。
男たちの戦闘の殺陣は、よくも怪我をしないなと感動するほどであった。

舞踊が物語に求心力を与えているのだ。
「これまでのすべてを注ぎ込んだ」という熊川の言葉の通りだと思う。

狂言回しとなる案内人役・酒匂麗のスピーディな踊りは、最初から最後まで舞台を引き締める。
ブルータス役の井坂文月は、表情の演技が素晴らしく、5階からでも気持ちの変化が見てとれた。

そして思いも書けないラストシーン!
天へと続くような階段を、死んだはずのカエサルが、プトレマイオスが、アントニウスが、上っていく。
そしてクレオパトラも……。

凛としてこちらを向いたまま、クレオパトラは誇り高く仰向けに落ちていった!
それは歌舞伎の有名な作品、通称「碇知盛(いかりとももり)」の最後に似ている。
壇ノ浦の戦いに敗れた平知盛は、「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」
そう言葉を遺し、海中に身を投じた。
死体が浮きあがって首を取られないように、碇を体に巻いて投身したと伝えられる。

そういえば、海戦が始まるときのティンパニーは、歌舞伎の幕開きのときの柝の音と同じく、
どんどん間隔が狭くなっていく打ち方だった。

「日本人が西洋のバレエをゼロから作り上げる」とは、こういうことだったのか、と思う。
どこまでも美しく、誇り高いクレオパトラを大胆に演じた中村祥子に、
最高の賛辞を送りたい。






Last updated  2017.10.30 12:06:31
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2017.05.28
序曲が始まり、紗幕の向こうに海賊たちの揺らぎが出現。
半裸のアリの胸板の陰影が目に留まり、そして彼が前方に何かを発見すると、
いよいよ物語が始まる。
私たちはすでに、冒険の渦の中……。

熊川哲也が「海賊」を再振付し全幕ものとしてKバレエ版を披露してから、
もう10年が経つ。
この「海賊」で熊川は大けがをした。
この「海賊」で活躍した多くの男性ダンサーの中には、すでにバレエ団を離れている者も多い。
それでも次から次へと新しい星たちが表れ、
コンラッドを、アリを、ランケデムを、ビルバントを、魅力的に演じ、踊る。
今回は男性陣だけでなく、洞窟でのヴァリエーションなども音楽と調和して見応えがあり、
改めて見どころ満載のよいプログラムであることを実感した。

中村/遅沢/井坂、浅川/宮尾/山本、矢内/杉野/益子の3クルーのうち、
益子倭のアリが見たくて5/27(土)の昼の部を鑑賞。
益子は自ら「(熊川)ディレクターと体格が似ている」ことを自覚し、
彼の体型に合わせた振付をそのまま自分に移せるメリットを最大限に利用している。

そう。
私はそこに熊川の幻影を見る。
もちろん、同じではない。
宝箱を運ぶ仕草や刀を振るっての殺陣などを見れば「まだまだ」はおのずと知れる。
けれども、ここぞアリの踊り、というところでは、
ジャンプの高さ、滞空時間、動と静のメリハリ、行くところまで行くぞというピルエットなど、
申し分のない出来である。
バレエユースの第一回公演パンフレットのプロフィールには
「いつか熊川さんの息の根を止めるダンサーになりたい」と大胆発言。
先日バレエGentsにインタビューする機会に恵まれ、そのことに触れたら
「逆に息の根止められそう」とか他のメンバーに茶化されていたけれど、
その志やよし。
彼は昨年「ラ・バヤデール」でのブロンズ・アイドルとしてのデビューを
怪我によって棒に振っているが、
その直前に観たソロルの踊りに比べ、格段に踊りの精度が増したように感じるのだ。
ひどい怪我でなくてよかったと思うと同時に、
休養期間、頭を使ってしっかりと過ごしたんだな、と非常に満足している。

技術だけではない。
私は「アリ」という人物造形にうなった。
「ラ・バヤデール」の白眉は何といってもグラン・パ・ド・トロワ。
海賊のアジトである洞窟に、キャプテンであるコンラッドの賓客(にして妻)の
メドーラを迎える踊りだ。

ここを、ガラ公演ではメドーラとアリのみのグラン・パ・ド・ドゥとして切り取ることが多い。
そのため、そこだけ見るとアリとメドーラが相思相愛の仲だと誤解してしまうことがある。
しかしアリは、あくまでしもべなのだ。
自分が心酔し尊敬し、どこまでも忠誠を誓っているコンラッドの大切な人を
全力でお守りするという気持ちで迎え入れ、そしてコンラッドに引き渡す。
そういう踊りである。
だから、メドーラと対等の気持ちで踊ってはいけない。
野心はない。あくまでコンラッド命。だから最後に身替りとなって命を落とす。
忠誠の男なのだ。
そこがぶれずによく表れていたアリだった。

そうした「コンラッドとメドーラ」より一歩引いた存在でありながら、
弾けんばかりの身体能力と常にフルアウトの気概と活躍、
そしてキャプテンの一番の腹心であるというプライドによって、舞台でもっとも輝く。
そういうアリに、益子はちゃんとなっていた。

アリが観客を沸かせるから、コンラッドも負けてはいられない。
コンラッドは演技部分が多いので、あまり踊れなくていい、みたいに思われがちだが、
そんなことはない。
杉野のコンラッドはソロもトロワもそしてその後のメドーラとのパ・ド・ドゥも
若々しい中にキャプテンとしての大きさを感じさせるコンラッドだった。

そしてメドーラ!
矢内千夏は完璧。出てきただけで光り輝く。スターのオーラ。
演技ではない。技術に演技が融合している。踊りに喜怒哀楽を背負わせることができるプリマなのだ。
これだけ踊れる矢内がまだソリストだという驚異!
ていうか、
コンラッド杉野、メドーラ矢内、ランケデム篠原、ビルバント石橋、全部まだソリストでっせ。
そして益子アリに至ってはいまだファーストソリストなのであった!

3ヴァリエーションでも柱はソリストの井上とも美だが、大井田百と岩渕ももはファーストソリストだ。
若手を起用したたった1回の公演でも、これほど完成度が高いというKバレエの層の厚さに、
私はもう、感無量なのでありました。






Last updated  2017.05.29 10:07:39
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2016.07.17
イチローは、1973年10月生まれである。
一方、
熊川哲也は1972年3月生まれ。
職人肌のイチローが体型を維持し続け、
打撃、走塁、守備の三拍子を完璧にこなし、
選手一筋で続けているのに対し、
熊川はダンサーのみならず、バレエ団を経営し、
バレエスクールを立ち上げ後進を育て、
古典作品を再振付して芸術監督を担い、
かつ自らも主演するという日々を、
ほぼ20年にわたって続けている。

かつて「ダンスマガジン」において某評論家に
若き熊川は「熊川のようなタイプのダンサーに成熟はないし、求めるべきでない」と評された。
彼もまた、
「年齢による衰えを自覚してもなお、アプローズを忘れられずに舞台に立つことをよしとしない、と
発言して憚らなかった。

だから44歳の自分がまだ踊っていることに、
一番戸惑っているのは熊川自身かもしれない。
観客はまだまだ彼の舞台を求めているし、
実際どんなダンサーにも真似できないパフォーマンスは健在だ。

今回「アルルの女」で恋する男の狂気を踊る熊川のクライマックスを見ながら、
プティの振付の凄まじさを見せつけられるとともに、
その振付を頭と体で理解し踊り切る熊川にも、新しい境地を感じた。
ふと、ジョルジュ・ドンの肉体が重なって見えたのである。
それは幻想だったかもしれない。

T氏の求める「成熟」とは異なるかもしれないが、
たしかに熊川にも「成熟」はあると思う。

しかし。
熊川をみつめ続けてきた来し方を反芻するにつけ、
鍛え上げられ、胸から腹へ、ぱっくりと割れた上半身の見事さとは対照的に
大量の汗と、
カーテンコールでいつまで経っても収まる気配のない激しい呼吸を見るにつけ、
私はあと何ステージ彼の最高のパフォーマンスを見られるのか、不安になる。

「成熟」なんかいらないから、
いつまでも、どうだと言わんばかりの、200%人を驚かすような
思わず「あっ!」と声をあげてしまうような、
そんなステージをいつまでも期待してしまう自分に呆れてしまう。

頭に白いものが少々目立つようになった以外は、
10年前と体型もほとんど変わらないイチローは、
現在、メジャー通算3000本安打まであと9本にまで迫っている。
おそらく彼は軽々とこの一里塚を過ぎ、次の一里塚に向かって淡々と進んでいくのだろう。

そして熊川は?


私はただ、彼の次の一手を固唾をのんで待つばかりである。















Last updated  2016.07.17 17:24:55
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2015.11.08
Kバレエ「白鳥の湖」を中村/遅沢で観ました。
Kバレエは10月の「カルメン」を観られなかったので、久々です。
全体の感想としては、
休憩以降の三幕、四幕は良かったが、一幕はまだエンジンかかっていないように感じました。

きっとすごいだろうとワクワクしていた井澤諒のベンノは、思ったほどのはじけ方がなく、
ダンス以外のところではコミカルなベンノを演じたものの取ってつけたような演技で
この前の益子倭みたいにはいかなかった。
ただし、井澤ベンノ、第三幕冒頭のソロは素晴らしかったので付け加えておきます。
神戸/池本/佐々部のパ・ド・トロワにも期待していたんですが、
そりゃあ祥真くんの長い脚は魅力的だったけど、
コーダで三人が競うように踊り、厚みを感じさせるというところまではいかなかった。
次々と覆いかぶさってくるような迫力というか意気を感じられなかった。
一幕はトロワがよくないとおなか一杯になりません。
トロワに限らず、
みんなテクニックはあるし、丁寧だし、きれいなのよ。でも、熱が感じられない。
たたみかけるようなエネルギー、圧倒されるような力がないの。

二幕は白鳥のコールドが素晴らしかった!
特に、冒頭の、王子の友だちに射抜かれそうになるところ。
今まで感じたことがなかったけど、
白鳥が群れで止まっていて、なんとなく危険を感じてそちらを向きながら微動だにしない。
そこに二羽、また二羽、と飛んできては止まる。
頭上に挙げてしなだれた腕が、白鳥の首のカーブだっていうことに、初めて気づかされた。
そのくらい「白鳥の群れ」を感じたの。
その後もコールドは顔の上げ下げまでよく揃って、気持ちがよかったです。

中村祥子のオデットは凄かった。
さすが一流のプリマ。
でも、オーケストラがものすごくスロウで、
それはもしかしたら祥子さんのリクエストだったかもしれないけれど、
スロウすぎた感あり。こちらの気持ちが続いていかない。
遅沢君があまりに無表情なので、それも含めて物語に熱がなかった。
王子とオデットはあっという間にどんどん恋の深みにはまっていくはずだけど、
後半オデットはけっこう王子にしなだれかかるんだけど、
遅沢王子は草食系なのよねー。

休憩をはさんで、三幕はとっても充実していました。
キャラクターダンスでは、
チャルダッシュとスパニッシュがきびきびして特によかったです。
みんなヒゲとか仮面とかつけてるので誰が誰だかよくわからないんだけど、
チャルダッシュの兼城くん、益子くん、
スペインの石橋くん、栗山くんはわかった(と思う)。

祥子さんのオディールは、妖艶でいよいよ魅力的。
遅沢君も、オディールとのほうが楽しそう。
まあ、もちろん「やっと来てくれた!」んだから当たり前だけどね。
遅沢王子のソロもよかったです。
王子はこのソロが白眉でした。

で、
オディールに愛を誓った途端に振られたら、
今までの能面王子がウソのように、彼は激しく歎き苦しんだんです。
それで、私はちょっと理解した。
王子はずっと母である王妃に心も生活も支配されていて、
王子はこの舞踏会で、
「ボクはママの言われたとおりには結婚しない、好きな人と結婚するんだ!」って
初めて王妃に公衆の面前でたてついたのね。
それで、きっとすっきりしたんだと思う。
だからオディールとはとても解放された気分で楽しく踊れたのよ、きっと。
そして振られたときもマックス気持ちを外に出して嘆くことができたのよ。

でも時既に遅し。
四幕で、オデットは、自分以外の人に愛を誓った王子を断固許さないの。
二幕では、あんなに王子を求めて体をまかせていたのに、
四幕では、王子が差し伸べる手を拒否。「一緒に行こう」の誘いも拒否。
「いいえ、私は、もう死んじゃう!」の一点張り。
踊っても踊っても、もうオデットの心の中に王子はいないのまるわかり。
歎いているんだけど、オデットはすでに自分の行く末に絶望して歎いているだけ。
でも、王子には、それがわからないのよね。まだ修復できると思ってる。

ロットバルトと戦っても、王子はやっつけられちゃうの。
そしてオデットは、今まで自分を縛ってきたロットバルトにもう決して支配されまいと、
死を選ぶのです。
湖に向かって、まっしぐら。
王子のことなんか、全然眼中にないみたいに、まったく後ろを振り返らず・・・。

そして王子も、後に続きます。

・・・いつもなら感動的な幕切れなんですけど、
今回は、破れかぶれの後追い自殺のように見えてしまいました。

オデットはロットバルトから、王子は王妃から、
「その支配からの、卒業~」をしたかったのかもしれない。
そんなマグマがたまりにたまっていたときに、2人は出会った。
だから、
その恋は自立への起爆剤でしかなかったのかもしれない。
そんなことを考えました。

最後にオデットと王子はあの世で結ばれるんですが、
この二人、うまくいくんでしょうか。
成田離婚ならぬ「あの世離婚」しないといいな、と思います。
心の鬱屈から解き放たれた王子は、
きっとオデットを素直にオープンに愛することができるでしょう。
そのことを祈りつつ。

追記
あと、王妃様とかの衣裳、胸が開き過ぎ、胸を寄せ過ぎ、谷間作り過ぎ!
そこに目がいってしまうよ、あなた。女性の私でも。
そこまでしなくても、皆さん、とっても魅力的ですよ。






Last updated  2015.11.10 00:05:58
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2015.06.21
2015年のKバレエ「海賊」ツアー、
横浜公演も無事終了した模様です。
私は行けなかったけど。

さて、
Kバレエの素晴らしい「海賊」を見て励まされた私は、
これまでの「海賊」レビューをまとめてみました。

こちらまでお立ち寄りくださいませ。

「Best10」風になっていますが、
別にパフォーマンスがベストな順、というわけではありません。
10件のレビューをピックアップしただけです。あしからず。

読み返してみると、
やっぱりいろいろ目に浮かんできます。







Last updated  2015.06.21 17:48:08
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