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熊川哲也とKバレエカンパニー

2017.05.28
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序曲が始まり、紗幕の向こうに海賊たちの揺らぎが出現。
半裸のアリの胸板の陰影が目に留まり、そして彼が前方に何かを発見すると、
いよいよ物語が始まる。
私たちはすでに、冒険の渦の中……。

熊川哲也が「海賊」を再振付し全幕ものとしてKバレエ版を披露してから、
もう10年が経つ。
この「海賊」で熊川は大けがをした。
この「海賊」で活躍した多くの男性ダンサーの中には、すでにバレエ団を離れている者も多い。
それでも次から次へと新しい星たちが表れ、
コンラッドを、アリを、ランケデムを、ビルバントを、魅力的に演じ、踊る。
今回は男性陣だけでなく、洞窟でのヴァリエーションなども音楽と調和して見応えがあり、
改めて見どころ満載のよいプログラムであることを実感した。

中村/遅沢/井坂、浅川/宮尾/山本、矢内/杉野/益子の3クルーのうち、
益子倭のアリが見たくて5/27(土)の昼の部を鑑賞。
益子は自ら「(熊川)ディレクターと体格が似ている」ことを自覚し、
彼の体型に合わせた振付をそのまま自分に移せるメリットを最大限に利用している。

そう。
私はそこに熊川の幻影を見る。
もちろん、同じではない。
宝箱を運ぶ仕草や刀を振るっての殺陣などを見れば「まだまだ」はおのずと知れる。
けれども、ここぞアリの踊り、というところでは、
ジャンプの高さ、滞空時間、動と静のメリハリ、行くところまで行くぞというピルエットなど、
申し分のない出来である。
バレエユースの第一回公演パンフレットのプロフィールには
「いつか熊川さんの息の根を止めるダンサーになりたい」と大胆発言。
先日バレエGentsにインタビューする機会に恵まれ、そのことに触れたら
「逆に息の根止められそう」とか他のメンバーに茶化されていたけれど、
その志やよし。
彼は昨年「ラ・バヤデール」でのブロンズ・アイドルとしてのデビューを
怪我によって棒に振っているが、
その直前に観たソロルの踊りに比べ、格段に踊りの精度が増したように感じるのだ。
ひどい怪我でなくてよかったと思うと同時に、
休養期間、頭を使ってしっかりと過ごしたんだな、と非常に満足している。

技術だけではない。
私は「アリ」という人物造形にうなった。
「ラ・バヤデール」の白眉は何といってもグラン・パ・ド・トロワ。
海賊のアジトである洞窟に、キャプテンであるコンラッドの賓客(にして妻)の
メドーラを迎える踊りだ。

ここを、ガラ公演ではメドーラとアリのみのグラン・パ・ド・ドゥとして切り取ることが多い。
そのため、そこだけ見るとアリとメドーラが相思相愛の仲だと誤解してしまうことがある。
しかしアリは、あくまでしもべなのだ。
自分が心酔し尊敬し、どこまでも忠誠を誓っているコンラッドの大切な人を
全力でお守りするという気持ちで迎え入れ、そしてコンラッドに引き渡す。
そういう踊りである。
だから、メドーラと対等の気持ちで踊ってはいけない。
野心はない。あくまでコンラッド命。だから最後に身替りとなって命を落とす。
忠誠の男なのだ。
そこがぶれずによく表れていたアリだった。

そうした「コンラッドとメドーラ」より一歩引いた存在でありながら、
弾けんばかりの身体能力と常にフルアウトの気概と活躍、
そしてキャプテンの一番の腹心であるというプライドによって、舞台でもっとも輝く。
そういうアリに、益子はちゃんとなっていた。

アリが観客を沸かせるから、コンラッドも負けてはいられない。
コンラッドは演技部分が多いので、あまり踊れなくていい、みたいに思われがちだが、
そんなことはない。
杉野のコンラッドはソロもトロワもそしてその後のメドーラとのパ・ド・ドゥも
若々しい中にキャプテンとしての大きさを感じさせるコンラッドだった。

そしてメドーラ!
矢内千夏は完璧。出てきただけで光り輝く。スターのオーラ。
演技ではない。技術に演技が融合している。踊りに喜怒哀楽を背負わせることができるプリマなのだ。
これだけ踊れる矢内がまだソリストだという驚異!
ていうか、
コンラッド杉野、メドーラ矢内、ランケデム篠原、ビルバント石橋、全部まだソリストでっせ。
そして益子アリに至ってはいまだファーストソリストなのであった!

3ヴァリエーションでも柱はソリストの井上とも美だが、大井田百と岩渕ももはファーストソリストだ。
若手を起用したたった1回の公演でも、これほど完成度が高いというKバレエの層の厚さに、
私はもう、感無量なのでありました。






Last updated  2017.05.29 10:07:39
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2016.07.17
イチローは、1973年10月生まれである。
一方、
熊川哲也は1972年3月生まれ。
職人肌のイチローが体型を維持し続け、
打撃、走塁、守備の三拍子を完璧にこなし、
選手一筋で続けているのに対し、
熊川はダンサーのみならず、バレエ団を経営し、
バレエスクールを立ち上げ後進を育て、
古典作品を再振付して芸術監督を担い、
かつ自らも主演するという日々を、
ほぼ20年にわたって続けている。

かつて「ダンスマガジン」において某評論家に
若き熊川は「熊川のようなタイプのダンサーに成熟はないし、求めるべきでない」と評された。
彼もまた、
「年齢による衰えを自覚してもなお、アプローズを忘れられずに舞台に立つことをよしとしない、と
発言して憚らなかった。

だから44歳の自分がまだ踊っていることに、
一番戸惑っているのは熊川自身かもしれない。
観客はまだまだ彼の舞台を求めているし、
実際どんなダンサーにも真似できないパフォーマンスは健在だ。

今回「アルルの女」で恋する男の狂気を踊る熊川のクライマックスを見ながら、
プティの振付の凄まじさを見せつけられるとともに、
その振付を頭と体で理解し踊り切る熊川にも、新しい境地を感じた。
ふと、ジョルジュ・ドンの肉体が重なって見えたのである。
それは幻想だったかもしれない。

T氏の求める「成熟」とは異なるかもしれないが、
たしかに熊川にも「成熟」はあると思う。

しかし。
熊川をみつめ続けてきた来し方を反芻するにつけ、
鍛え上げられ、胸から腹へ、ぱっくりと割れた上半身の見事さとは対照的に
大量の汗と、
カーテンコールでいつまで経っても収まる気配のない激しい呼吸を見るにつけ、
私はあと何ステージ彼の最高のパフォーマンスを見られるのか、不安になる。

「成熟」なんかいらないから、
いつまでも、どうだと言わんばかりの、200%人を驚かすような
思わず「あっ!」と声をあげてしまうような、
そんなステージをいつまでも期待してしまう自分に呆れてしまう。

頭に白いものが少々目立つようになった以外は、
10年前と体型もほとんど変わらないイチローは、
現在、メジャー通算3000本安打まであと9本にまで迫っている。
おそらく彼は軽々とこの一里塚を過ぎ、次の一里塚に向かって淡々と進んでいくのだろう。

そして熊川は?


私はただ、彼の次の一手を固唾をのんで待つばかりである。















Last updated  2016.07.17 17:24:55
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2015.11.08
Kバレエ「白鳥の湖」を中村/遅沢で観ました。
Kバレエは10月の「カルメン」を観られなかったので、久々です。
全体の感想としては、
休憩以降の三幕、四幕は良かったが、一幕はまだエンジンかかっていないように感じました。

きっとすごいだろうとワクワクしていた井澤諒のベンノは、思ったほどのはじけ方がなく、
ダンス以外のところではコミカルなベンノを演じたものの取ってつけたような演技で
この前の益子倭みたいにはいかなかった。
ただし、井澤ベンノ、第三幕冒頭のソロは素晴らしかったので付け加えておきます。
神戸/池本/佐々部のパ・ド・トロワにも期待していたんですが、
そりゃあ祥真くんの長い脚は魅力的だったけど、
コーダで三人が競うように踊り、厚みを感じさせるというところまではいかなかった。
次々と覆いかぶさってくるような迫力というか意気を感じられなかった。
一幕はトロワがよくないとおなか一杯になりません。
トロワに限らず、
みんなテクニックはあるし、丁寧だし、きれいなのよ。でも、熱が感じられない。
たたみかけるようなエネルギー、圧倒されるような力がないの。

二幕は白鳥のコールドが素晴らしかった!
特に、冒頭の、王子の友だちに射抜かれそうになるところ。
今まで感じたことがなかったけど、
白鳥が群れで止まっていて、なんとなく危険を感じてそちらを向きながら微動だにしない。
そこに二羽、また二羽、と飛んできては止まる。
頭上に挙げてしなだれた腕が、白鳥の首のカーブだっていうことに、初めて気づかされた。
そのくらい「白鳥の群れ」を感じたの。
その後もコールドは顔の上げ下げまでよく揃って、気持ちがよかったです。

中村祥子のオデットは凄かった。
さすが一流のプリマ。
でも、オーケストラがものすごくスロウで、
それはもしかしたら祥子さんのリクエストだったかもしれないけれど、
スロウすぎた感あり。こちらの気持ちが続いていかない。
遅沢君があまりに無表情なので、それも含めて物語に熱がなかった。
王子とオデットはあっという間にどんどん恋の深みにはまっていくはずだけど、
後半オデットはけっこう王子にしなだれかかるんだけど、
遅沢王子は草食系なのよねー。

休憩をはさんで、三幕はとっても充実していました。
キャラクターダンスでは、
チャルダッシュとスパニッシュがきびきびして特によかったです。
みんなヒゲとか仮面とかつけてるので誰が誰だかよくわからないんだけど、
チャルダッシュの兼城くん、益子くん、
スペインの石橋くん、栗山くんはわかった(と思う)。

祥子さんのオディールは、妖艶でいよいよ魅力的。
遅沢君も、オディールとのほうが楽しそう。
まあ、もちろん「やっと来てくれた!」んだから当たり前だけどね。
遅沢王子のソロもよかったです。
王子はこのソロが白眉でした。

で、
オディールに愛を誓った途端に振られたら、
今までの能面王子がウソのように、彼は激しく歎き苦しんだんです。
それで、私はちょっと理解した。
王子はずっと母である王妃に心も生活も支配されていて、
王子はこの舞踏会で、
「ボクはママの言われたとおりには結婚しない、好きな人と結婚するんだ!」って
初めて王妃に公衆の面前でたてついたのね。
それで、きっとすっきりしたんだと思う。
だからオディールとはとても解放された気分で楽しく踊れたのよ、きっと。
そして振られたときもマックス気持ちを外に出して嘆くことができたのよ。

でも時既に遅し。
四幕で、オデットは、自分以外の人に愛を誓った王子を断固許さないの。
二幕では、あんなに王子を求めて体をまかせていたのに、
四幕では、王子が差し伸べる手を拒否。「一緒に行こう」の誘いも拒否。
「いいえ、私は、もう死んじゃう!」の一点張り。
踊っても踊っても、もうオデットの心の中に王子はいないのまるわかり。
歎いているんだけど、オデットはすでに自分の行く末に絶望して歎いているだけ。
でも、王子には、それがわからないのよね。まだ修復できると思ってる。

ロットバルトと戦っても、王子はやっつけられちゃうの。
そしてオデットは、今まで自分を縛ってきたロットバルトにもう決して支配されまいと、
死を選ぶのです。
湖に向かって、まっしぐら。
王子のことなんか、全然眼中にないみたいに、まったく後ろを振り返らず・・・。

そして王子も、後に続きます。

・・・いつもなら感動的な幕切れなんですけど、
今回は、破れかぶれの後追い自殺のように見えてしまいました。

オデットはロットバルトから、王子は王妃から、
「その支配からの、卒業~」をしたかったのかもしれない。
そんなマグマがたまりにたまっていたときに、2人は出会った。
だから、
その恋は自立への起爆剤でしかなかったのかもしれない。
そんなことを考えました。

最後にオデットと王子はあの世で結ばれるんですが、
この二人、うまくいくんでしょうか。
成田離婚ならぬ「あの世離婚」しないといいな、と思います。
心の鬱屈から解き放たれた王子は、
きっとオデットを素直にオープンに愛することができるでしょう。
そのことを祈りつつ。

追記
あと、王妃様とかの衣裳、胸が開き過ぎ、胸を寄せ過ぎ、谷間作り過ぎ!
そこに目がいってしまうよ、あなた。女性の私でも。
そこまでしなくても、皆さん、とっても魅力的ですよ。






Last updated  2015.11.10 00:05:58
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2015.06.21
2015年のKバレエ「海賊」ツアー、
横浜公演も無事終了した模様です。
私は行けなかったけど。

さて、
Kバレエの素晴らしい「海賊」を見て励まされた私は、
これまでの「海賊」レビューをまとめてみました。

こちらまでお立ち寄りくださいませ。

「Best10」風になっていますが、
別にパフォーマンスがベストな順、というわけではありません。
10件のレビューをピックアップしただけです。あしからず。

読み返してみると、
やっぱりいろいろ目に浮かんできます。







Last updated  2015.06.21 17:48:08
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2015.05.31
いやー、こちらのチームも本番は凄かったです。
金曜のゲネは、やっぱりゲネでしかなかったという感じですね。

とにもかくにも中村祥子。圧倒的なオーラです。
グラン・パ・ド・トロワでは、
ブルーのチュチュの裾のそよぎまで計算されているかの美しさ。
観てるだけで自然と口元がゆるんでしまう。
存在そのものが人を幸せにします。
ますます磨きがかかってきました。女王の貫録。

その中村をさらにさらに美しく見せるキャシディのパートナーリング。
片手で高速に回すところなんざ、もう職人技です。

池本アリも、ゲネよりずいぶんアリらしくなりました。
ジャンプの大きさや浮遊感は誰にも負けませんね。
こうなると、やはり身長がないことがなおのこと残念ですが。

宮尾チームより断然光っていたのが
第1~第3バリエーション。
宮尾チームの新居田ゆり、戸田梨紗子、小林美奈も悪くはなかったけれど、
純粋なバレエをすっと踊ってしまった感じだった。
一人一人が自分のよさをしっかりアピールして
「この人、素敵なバレリーナだな」と思わせる踊りができたのは、
井上とも美、佐々部佳代、中村春奈。
笑顔が輝いていました。
やっぱり経験がモノをいいますね。

2チームを見比べてみると、
やはり宮尾チームは演劇的にどこまでも突っ走った分、
濃い印象でした。

パシャが物乞いに金の袋を放るところでも、
宮尾チームは素直にキャッチするのではなく、
隣りの物乞いがしゃしゃり出て横取りするとか、小芝居まで入れ込んで、
躍動感がありました。
伊坂ランケデムも悪くはなかったけど、
悪人「ぶって」はいたけど、けっこうあっさりしているところがあって、
そのあたりが比べてしまうと物足りなかったかも。
でも、ムチの音はすごーくうまく鳴らしていました!

とはいえ、
どちらの組もオリジナリティがあって素敵。
白石/宮尾チームが人物造形とチームワークで一世一代の舞台を務めたと思えば
中村/キャシディチームは超一流のダンサーの底力で支配する。
こうでなくちゃ。
このワクワク感。
これこそ、Kバレエの真骨頂です!

以前の「海賊」のレビューを読み返してみて、思った。
初演に勝る「海賊」なし、とおもっていたけれど、
ようやく、ようやく、初演に勝るとも劣らない「海賊」を観ました。
それも、熊川哲也という天才ダンサーを抜きにして。
熊川のDNAは、Kバレエのすべてのダンサーに受け継がれている。
そう思えた、オーチャードホールでした。

熊川さんの偉業を、今静かに噛みしめています。

初演のときのレビューはこちら
3年前のレビューはこちら

3年前に募った危機感を、見事に払拭してくれた若手たちに、乾杯!






Last updated  2015.05.31 20:03:28
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2015.05.30
5/30(土)昼の部一幕が終わったときの私のつぶやき。

もーーーーーーーーーー、すごいです、昼組!
息を呑む展開!
福田アリ、益子ランケデム、サイコー!
女性陣も人物造形深い!
二幕が楽しみ過ぎるー!


そして終わってからのつぶやき。

泣けたー。グランパドトロワ完璧!
ラストのアリの死でも泣いた。
熊川も満足だったのか、最後に破顔で出てきた。
幕が閉まってから、向こう側で大きな拍手が聞こえたよ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ほんとうに、幸せな時間だった。
昼は白石/宮尾/福田/浅野/益子組。

福田昂平のアリが、予想を100倍上回って素晴らしかった!
登場したそのシルエットが素敵!
むき出しの上半身であらわになった筋肉の一つひとつがワイルド!
静けさと俊敏さとの落差が激しく、その緩急にノックアウト!

コンラッドへの特別な忠誠心がほとばしる。

なんだろう、この異様なオーラ。
リーダーじゃないけど、不屈の魂で主人を支える無私で無敵な男!
ほかの手下たちとは、一線を画している。

その福田とまったく異なるアプローチで場を支配するランケデムの益子倭がまた凄い!

なんという演技力!
本物の奴隷市場に迷い込んだかと思ったくらい、憎らしいヤツ。
憎らしいけどカッコいい!

女たちをあしらうその仕草、
金持ちたちを天秤にかけ、あおり、少しでも高く売ろうと画策する。
商売上手すぎる~!

アリとランケデムとの追いかけっこは本当に素敵だった。
きっとアリを狙っていただろう益子だが、
ランケデムでよかったんじゃないか?
私の隣の女性も「あのランケデム、よかったよねー」と言っていた。

白石あゆ美と浅野真由香は、
背格好が同じくらいで、双子の姉妹のようだった。

浅野グルナーラランケデムやパシャをいやがりながるところに無理がなかった。
っていうか、
益子くんの見せ方がうまいんだよね。
いやがってるのに二人で踊るっていう難しい場面を、
単なるパ・ド・ドゥじゃなくて
「ほらほら、こんな娘(こ)だよ、どうですか? 
 こんな格好させたいでしょ、あんたも。こっちからも観てごらん、どうだい?」的な
女衒の匂いがしてさ。
若いのにまったく、どんだけすごいのさ。

白石メドゥーラは二幕が秀逸。
グラン・パ・ド・トロワのアダージオで
あの有名な音楽に載り、
彼女が高々とリフトされたとき、私は涙で目がくもりました。

こんなに完璧なパ・ド・トロワは
熊川が負傷したあの初演のとき以来だと思った。
やさしくて、穏やかで、愛に満ちて、
ほんとに、吉田/キャシディ/熊川を思い出したよ。
宮尾コンラッド、本当によくやった!
いつもは優しげな宮尾さんが、海賊の親分に見えたもん。
長い腕と指先で、
グルナーラへの愛と情熱をたくさん語ってくれた。
むろん、アリのソロも!
福田アリ、ピタッピタッと決めのポーズで微動だにしない。完璧。
丁寧だけど、フルアウト。
ヘリコプターもやってのけました!
手足が長いから見栄えもするのよねー。

アンサンブルもレベルが高くて、
私は改めて「海賊」っていうプロダクションの素晴らしさを感じました。

二幕の前半も全然だれないのです。
兼城ビルバントを擁した鉄砲の踊りも、その前の男たちの昔語りも、女たちの踊りも。
海賊である自分たちを誇る男と、
奴隷市場から解放されて幸せを噛みしめる女たちと。
ともすれば、荒くれとたおやかさがアンバランスに見えがちだけど、
この日はかえってその落差が楽しかった。

パシャの幻想はいつもながらめくるめく雰囲気。
そしてラスト!

アリが撃たれた時、不意打ちをくらってしまって、
「えっ?? 死んじゃうの?」とか思って泣いた私はいったい…。
何度も観てるでしょ知ってるでしょ。
それでも泣いちゃったんです。
だって、アリがあまりに可哀そうだったから。
こんなに尽くしてきたのに、どうしてここで死んじゃうの???

・・・そんな2時間半を過ごせた私は、本当に幸せでした。


この初日一発目にして露払い的な公演がここまで完璧だったことで、
夜そして明日踊る本命組(中村/キャシディ/池本/浅川/伊坂)はどうする?
きっと闘争心むき出しでやってくるに違いなーい!

てっぺんとるのは、どっちだ???






Last updated  2015.05.31 19:37:06
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2015.05.29
ファンクラブのイベントとしてのゲネプロ見学に
幸いなことに当選し、
初日を前にゲネプロを観てきました。(ただし第一部のみ)

キャストは初日夜の部のメドゥーラ=中村祥子/コンラッド=S・キャシディ組で、
アリが池本祥真、グルナーラが浅川紫織、ランケデム=伊坂文月、ビルバント=杉野慧。

中村祥子がいい!
体中から感情がみなぎっている!
そしてなんという安定感!
プリマの身体です。

キャシディのコンラッドは表情豊かで、そこに演劇的空間が生まれる。
マイムの自然さ、リアルさ、そこから紡がれる心理。
祥子とキャシディが見つめ合うだけで、映画の一コマのような説得力です!

それに比べると、冒頭の祥真アリはまだまだでした。まだまだでしたが…。
一幕ラストのランケデムとのフーガ的デュオはお見事!
あの浮遊感を伴うジャンプ力は、素晴らしい!

一幕だけとのお約束ですからしかたないけど、
二幕のグラン・パ・ド・ドゥが見られなかったのがほんとに残念ですー。

オーケストラもよかった。
明日の初日が楽しみです。

ところで。

舞台の仕上がりもよかったのですが、それより私をワクワクさせたのが、
熊川監督のTシャツ後ろ姿!
背中が水泳選手くらい逆三角形です!
最近でもっとも締まってるんじゃないかと思う。

今回出ないのがもったいない!

今度踊るのは秋の白鳥かなー。
正式にKバレエのゲストプリンシパルになった中村祥子も出るし、
ここかなと思ったりしてます。






Last updated  2015.05.31 20:03:48
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2015.03.09
銀座松屋で行われている「熊川哲也とKバレエ展」、
最終日の今日、滑り込みで見てきました。(2/26〜3/9)

松屋は以前にもKバレエ展を開催していますが、
今回は内容がハンパなく充実!
これで1000円はかなりオトクに感じました。

通常美術館や博物館で見られる展示形式で、
第1章から順に、
熊川のバレエ人生初期、ロイヤル時代、独立、Kバレエ立ち上げ、
古典作品への取り組み、と順を追って進みます。
ローザンヌはもちろん、それ以前の初々しい映像もあり、
「ドン・キホーテ」のソロを何度も見たりでき、
彼の才能の発露と成長がよくわかります。

歴代グランドバレエの衣装陳列は圧巻!
これまでもファンクラブの集いなどで見る機会はあったものの、
今回は作品数が多いので、
ある意味Kバレエ版「イントゥ・ザ・ウッズ」とでもいいましょうか、
作品の森に迷い込んだワクワク感が違います!


等身大の(着る物だから当たり前だけど)トルソーを間近に見て、
それぞれの登場人物に想いを馳せました。
「海賊」のパシャや「カルメン」のエスカミーリョの衣装の
それは豪華なこと!
そのエスカミーリョの隣の、ミカエラの質素さな装いに、
思わず貧富の差、都会と田舎の差を感じてしまったり。

シンデレラでは
「くるみ割り人形」のネズミの大きさに圧倒されたり、
白亜の馬車模型にうっとりしたり。

各作品のダイジェスト映像流れる中、
「カルメン」「ラ・バヤデール」は大きめのスクリーンで
かなり詳細に流してくれるので、臨場感がありました。

コスチュームはKバレエ所蔵のものだけでなく、
ロイヤルバレエ所蔵のものも借りてきてガラスケースに入れて陳列してありました。
代々の名ダンサーが袖に腕を通してきたものですよ!
ガン見です。
とりわけ私は
「ブリング・ザ・バッグ」の衣装に釘付け!
トワイラ・サープの「ミスター・ワールドリー・ワイズ」は、
とうとう見られずじまいだったから。
しみじみ眺めてしまいました。

「惜しみなく」といえば、
ローザンヌのメダイユ・ドールも紫綬褒章もあったし、
それ以上に度肝を抜かれたのが個人のコレクションコーナー。
バレエリュスの当時のプログラムから
ディアギレフやニジンスキー、マシーン、パブロワのサイン入りポートレイト、
チャイコフスキーの直筆楽譜にベートーヴェン第9初版本、シラーの詩集まで。

彼がそういうのを集めてるとは知ってたけど、本物見られて幸せです。

ですから、
「熊川哲也とKバレエ展」とはなっていますが、
熊川哲也というよりも、
バレエという芸術の光を浴びる空間になっていて、
(熊川の今回の言葉で言えば「豊かさ」を感じてもらいたいとのこと)
連綿と続いてきたバレエの道のある一点に自分が存在していることへの
感動と感謝が溢れる素晴らしい展覧会でした。

粗品が当たるクイズをやっていて、
筋金入りのファンである私は、意地で全問正解(笑)。
ロゴ入りハンカチーフゲットです。






Last updated  2015.03.10 11:22:09
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2014.10.26
今回は見られないと思っていたKバレエの「カルメン」、
東京公演もあと2日となり、手詰まりになってから駒が右に左に動いて、なんと!
熊川/マルケスの回のチケットを入手することができました!
まずは、バレエの神様に感謝。

すでに観劇された複数の方々から
プロダクションに対する好評価を耳にしていたので
期待して臨みました。

とはいえ、
「カルメン」に関しては、
私はKバレエがその創成期に手掛けたローラン・プティ振付の作品が
心の底から好き。

熊川にとって永遠の想い人であるヴィヴィアナ・デュランテとの
恋の軌跡をたどるような濃密な45分間。

これ以上の「カルメン」など私にとってはないだろうと思い、
同じ振付であってもデュランテ以外のカルメンでは観るまいと決めたくらい、
私はこの作品が好き。
(これについて語ったブログはこちら

でもきっと、
「カルメン」という作品自体が、そういう情熱を
観る方にも演じる方にも湧き上がらせる作品なのではないかしら。
・・・そう感じたのは、
Noismの「カルメン」を観たときでした。
(これについて語ったブログはこちら

たしかに最初は戯れだったかもしれない。
でも「あの一瞬」だけは本当だった、そう確信できる「真実の恋」の終着駅。
くぐもったマグマが爆発し、そして今はまた、活火山であったことさえ忘れられるほどの
「思い出の写真」になってしまったような静けさとともに。


夕間暮れの大地で繰り広げられたワイルドなグラン・パ・ド・ドゥに降り注ぐミモザ。
Noismの作品を見たからこそ、
私はKバレエの、以前と異なる「カルメン」を、観る勇気が出たのかもしれません。

観てよかった。
また新しい地平が、そこに。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回、
熊川は自らが演じるドン・ホセをどうしようもないカンチガイ男として描ききっている。

世間知らずのマジメな兵隊は、
海千山千の女に誘惑され、騙されたとも知らず恋に落ちて脱走の手助けをする。
兵士としての自分が糾弾されても、カルメンのことを忘れられず、
逡巡しながらも兵士という安定の身分を捨てて窃盗集団の仲間入りをする。
すべては「愛しているカルメンのため」そして「カルメンが俺を必要としているから」。

これまでの「カルメン」には、プティの演出でもNoismの演出でも、
カルメンとホセの間に「愛」はあった。
たとえ一瞬でも、たくさんの恋の中の一つでも、
競争相手の出現によって奪われるのが惜しくなったからだったとしても、
カルメンの中に火花散るほどの「ホセへの愛」が見いだせた。
別れたのは、ホセが自分を独占しようとするからであり、
あるいはカルメン自身が自分の運命に打ち勝てなかったからである。

しかし今回のカルメンは、
ホセに対して、恋心の一つも感じていないのである。
カルメンにとって、ホセは「その他大勢の一人」でしかない。
必要に応じて、男はたくさん誘惑してきた。単にその中の一人。

プティの作品の真骨頂「寝室のパ・ド・ドゥ」の音楽を、
彼は2幕1場、ホセのソロで使う。

牢を抜け出したカルメンはどこへ行ったのか、
彼女を想い、求めるシーンである。
このシーンを見た時、あんなに大切な音楽をこれか?と思ったが、
最後まで観てつくづく思った。
ホセの独り相撲の恋なのだから、愛の音楽はソロでしか使えない。
その直後のカルメンとのパ・ドゥ・ドゥの音楽が
カルメンにまるめこまれる「仕掛け」のコミカルさを含む点でも
秀逸な楽曲構成である。

今回、ホセは恋愛の対象ではない。
カルメンが好きなのは、エスカミーリョだ。
イケメン闘牛士まっしぐら。瞳がハート。

多くの「カルメン」では、
主人公ホセの当て馬としてエスカミーリョを描くため、
どうしてもデフォルメされたり滑稽になったりして、
印象が薄くなりがち。
しかし
今回のエスカミーリョは違う。
どこまでもかっこいい。
だからこそ、
カルメンの「今度は幸せになれるかもしれない」が際立つのだ。

男を下に見て、男に見上げられ、
男なんてこんなもの、とみくびり日々を送っていたカルメンが
唯一見上げ、将来の夢を抱けた男、エスカミーリョ。

切れっ切れの振付には、彼の闘牛士としての技量が、
度量に溢れたマイムには、フェミニストとしての資質が、
神父に対する礼儀には、神への信仰と屠る者としての畏れが、
カルメンに対する表現には、マジメな恋心が
しっかりと描かれていた。

振付の中では、
1幕の「ロープのパ・ドゥ・ドゥ」が好評だったが、
私は断然、エスカミーリョのソロである。
音楽とのマッチングがこれでもか、と小気味よい。
熊川自身、
「再演のときは自分自身で踊りたい」と言っているくらいだ。
コールドとのアンサンブルも絶妙で、しどころ満載。
遅沢佑介、長身スレンダーかつマッチョを生かし、会心の出来だった。

だがホセは、
カルメンの気持ちにまったく気がつかない。
エスカミーリョが本気でも、カルメンが好きなのは自分だと信じこんでいる。

だから、自分を追放したカルメンをどこまでも追い続けるのだ。

「なんで俺を避けるんだ?」「どうして逃げるんだ?」

まるで、
キャバクラ嬢に愛想をつかされても我に返らず、
出入り禁止になっても彼女をつけ回し、
家の前で待ち伏せして彼女を殺してしまう、
現代のストーカー殺人と同じなのである。

闘牛場の外で繰り広げられるホセとカルメンのやりとりは、
背筋が凍るほどリアルだった。

カルメンの瞳の中には、恐怖しかない。
これまでたくさんの男を手玉にとってきたが、
みな最後には「騙された」とわかってくれた。
でもこの男は違う。

何でここまでしつこいの? どうしてあきらめてくれないの?

自分から逃げようとするカルメンを撃ち殺し、
手からピストルが滑り落ちた後の、
ホセの顔に浮かんだ狂気と安堵の寒々しいほどの暗い笑み。

やがて、彼はこけつまろびつカルメンにいざり寄り、
抱きしめ、抱き上げ、去っていく。

犯罪者の心理だ。
意に染まないものを、殺してでも自分のものにしようとする男だ。

カルメンのだらりとした死体を抱えて去っていくホセの後ろ姿には
「マノン・レスコー」のラストシーンが重なるが、
おそらくホセもデ・グリューほどには自分が愛されていたと
勘違いして歩いているだろう。

彼は永久に、
カルメンが自分を指の先ほども愛していなかったことを
理解できないのである。

ひとつの正義もなく、
ひとつの理性もなく、
ただ自分勝手で、思い込みだけで女を犠牲にした殺人者を
熊川はこの最後の場面で、
どんな俳優より巧みに表現した。

こんなどうしようもない男ドン・ホセと、
そんな男を騙したつもりで、そんな男のために命を落とす
救いようのない女カルメンの物語が
「カルメン」だ。

おそらく、
「カルメン」とは、最初からそんな話だったのだろう。
女で失敗するおぼこい男に対する警告であり、
男をみくびると痛い目に遭うよという女への警告でもある。

でも男は自分が愛した女には、
それがどんな女であっても自分へのの愛があったと思いたい。
たとえそれが一瞬であったとしても。
その願いが玉虫色の女の横顔を様々に解釈し、
多くのカルメン像を生んできたのかもしれない。

今回のKバレエの「カルメン」は、
形はクラシックであり、振付も様式的でありながら、
そうした「たられば」を一切排除した、
残酷なまでに俯瞰的なカルメンだった。

私が観た日のミカエラは神戸里奈。
純心さは出ていたが、カルメンへの気持ちは表現されておらず、
その点はちょっと物足りなかった。

べろんべろんに酔っぱらってカルメンにいいようにもてあそばれる
上官スニガにスチュワート・キャシディ。
いつもながら、どんな役でもできる凄いダンサーだ。
ロベルタ・マルケスとのからみでは、さすがのパートナリング。
女性ダンサーを気持ちよく自由に踊らせてくれる人である。

モラレス役の伊坂文月も好演。彼も表現豊かで、
踊りだけでなくマイムもしっかりしていて場面を引き締めてくれた。

コールドのレベルは高く、
特に男性陣の長くてまっすぐな足には惚れぼれする。

今回は熊川/マルケスの鉄板コンビだったが、
若きドン・ホセも観てみたかった。
すでに技術やダイナミックさだけでいえば、
熊川を凌駕する場面はいくつもあろう。

ただ、
ラストシーンの圧巻さは、
やはり熊川ならではなのではないかと私は思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は、熊川哲也という人間を、本当に見くびっていた。
ここまで自分を客観視し、
自分の個性と、ダンサーとしての欲望と、クリエーターとしての計算とを
まったく分離して作品を作れる人とは思っていなかった。

「ハバネラ」をカッコいいホセとして踊った自分を捨て、
オペラ同様、この曲を元のカルメンに譲った熊川。
思い返せば返すほど、
すごい男だと思う次第なのでありました。






Last updated  2014.10.28 12:22:45
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2014.03.25
25日昼公演、宮尾ソロル、佐々部ニキヤ、浅川ガムザッティの回を見ました。

これで3キャスト、4公演目ですが、
私は今回がもっとも自分の思う「ラ・バヤデール」に近かったように思います。
やはり「ラ・バヤデール」は、
ニキヤと拮抗するガムザッティがあって両方が輝く。

浅川のガムザッティは美しく、誇り高く、そして悲しかった。
佐々部ニキヤは、宮尾ソロルへの愛のイノセントで一直線なところが響きました。

一幕二場、ニキヤとガムザッティの直接対決。
自信がないからこそ自らの持てるものを誇示するガムザッティの悲痛さと、
それらをつきつけられても「愛されている」を信じて疑わないニキヤの笑顔。

そんなニキヤがなぜ、ガムザッティにナイフを突きつけるのか。

「イノセント」なニキヤのダークサイドがぱっくり口を開けて出てくる。
そのことに、ニキヤ自身が一番驚いてうろたえる。
ここが佐々部はうまかった。その前の「イノセント」が強いだけに、うまく演じられた。

浅川ガムザッティも、
しばらくは顔を上げずにいる。
恋敵がどうのこうのではなく、(そのくらいはお金でカタをつけようとしていた)
おそらく人生で初めて「はむかわれた」それも「刃物つきつけられて」というショックが
ガムザッティの背中からにじみ出た。

だから、幕切れの「こ・ろ・し・て・や・る」がほんとにコワかった!
ただの痴話げんかじゃなくなった。

宮尾ソロルは、ほんとうに立ち居振る舞いが大きくて、惚れ惚れしました。
戦士ソロルの雄々しさが端々からみなぎっていた。
ジャンプも大きくて。
ただし、一幕三場のソロだけは、いただけませんでしたが。二幕はよかっただけに残念。

この日のブロンズ・アイドルは井澤くん。
うーん、20日の舞には及びませんでした。
つくづく、この踊りだけで全観衆をトリコにした熊川ブロンズアイドルの凄さを思い知った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、
ここまで一言も書いていなかった荒井ニキヤについて。
存在感もあるし、美しいししなやかだし。
でも、ニキヤに対する共感というか、応援したい気持ちのようなものが
正直出なかった。
19日、彼女がソロルとガムザッティの結婚式で踊った踊りは、
「恨み」に満ちていた。

この「わたし恨みます」節は、ちょっとニキヤっぽくなかった。
20日は、同じ踊りでありながらも少し力が抜けて
「悲しみの踊り」とはなっていたが。

花籠をもらってからはリズムに乗って軽やかな踊りが見られたし、
佐々部の踊りと比較すると、
自らの身体をいかに自在に、厳しく、柔軟に使っているかがわかる。
わかるけれど、
「奈落の底で絶望にうちひしがれる」ほどのニキヤの心根は見えなかった。

それは、浅川、佐々部についても不満に思ったことだ。
蛇にかまれて「あんたがやったのね!」みたいなマイムは、必要なのだろうか。
ニキヤはもっと違うものに絶望している。

踊り子はマハラジャの娘には勝てない。

その絶望なのである。
「勝てないけれど、ほんとうはソロルが好きなのは私」。
これだけが、よすがである。
だから、花籠がうれしい。
だから、ガムザッティと手をとって去っていくソロルがとどめになる。

自分の運命を感じながら美しく舞うニキヤは、
さながら義経を討った頼朝の前で踊る静御前である。
舞の中に、ないまぜになった愛と哀しみをくぐもらせて敵をも感動させる。
そんな舞を、
今回はどのニキヤからも感じられなかった。

荒井については、
二幕で長いベールを持って踊るパ・ド・ドゥでも衰えを感じた。
ここはニキヤの見せ場だが、
彼女は逆回転のピルエットを二度ともバランスを崩している。
浅川も佐々部も軽やかにこなしているから、
なおさら際立ってしまったかもしれない。

考えてみれば、最初はキャスト入りしていなかった荒井。
熊川登板の女房役として急遽、だったわけだから、
本人としても十分な準備はできなかったのかもしれない。

大好きな荒井だから、ちょっと割り引いて考えてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もう一点、
この「ラ・バヤデール」でどうしても不満なことがある。

それが大僧正(ハイ・ブラーミン)の扱いだ。

あのロイヤルの、ダウエルの、ものすごい存在感の大僧正を知っている人なら、
どうしたって大僧正に注目するよね。

それでもって、今回は、そのロイヤルにいたスチュワート・キャシディが配役!
だから、ものすごく期待していた。

ところが…。

なんて卑小なエロ坊主になっちゃってるんだ?
こんな役だったっけ?

神や仏に仕える者の重鎮としての大僧正が描かれていない。
あれじゃ、「きれいどころはみんなオレの女じゃ~!」みたいな生臭坊主でしょ。
「オレよりソロルがいいなんて許せん!」一点張りだし。

彼にだって、「神様より女が好きになってしまった!」という葛藤もあるべきだし、
ニキヤが自分を拒否するのは「神のしもべの踊り子だから」で納得していたのを
ソロルが出てきてかっさらうから、自分のことはさておいて「神への冒涜」で怒るし。

そういうのがどこかから薫ってこないと、ほんとに愚僧にしか見えない。
僧たちや苦行僧や踊り子たちを従えていても、
ただの権威の権化であって、一番上の人としてリスペクトされるだけの品格が見えない。

それでは、「女に迷ってしまった!」と聖人が煩悩に焼かれるギャップも生まれないのですよ。

だから、
大僧正よりガムザッティのお父さんのほうが、(悪いヤツだけど)ずっと共感できる。

でも、
これはキャシディのせいだけではないと私は思う。

カーテンコールで、大僧正は一人で出てこない。
ガムパパと2人で出てくる。
熊川バージョンでは、大僧正はそれほど重要な人物ではないということだ。

なぜ最後に寺院は崩落するのか。
なぜ白い蛇はガムザッティにかみつくのか。
大僧正が頭に戴く冠には、なぜ蛇がまきついている文様があるのか。

恋の三角関係はわかりやすいかもしれないけれど、
それだけでは語りきれないものが「ラ・バヤデール」にはある。

熊川バージョンは、
「今までとは異なるものに」が勝ちすぎて、
明快な一本の線が引けないまま、世俗に寄り過ぎたように思う。






Last updated  2014.03.28 12:38:56
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