「多摩川」は福富町にある小料理屋。紺地の暖簾が風に揺れる。わずかに開けられた横引きの扉は磨りガラスである。そのわずかな隙間に誘われるように店に入った。カウンターと小上がり。カウンターの椅子にはひとつひとつ座布団が乗せられている。玉砂利の床。2階から三味線の音が洩れている。聞けば長唄の稽古をしているのだという。いわれてみれば靴が多い。まずはビールをお願いする。切子細工の青いグラス。ママが注いで下さった。最初にエリンギ、スナックえんどう、ホタテの煮物が出てきた。ママはここで35年店を守っている。広い厨房は以前は板前さんがいたからだとか。酒を日本酒に切り換える。久保田。常温で頂く。萩焼きの徳利と猪口が出てくる。広口の猪口は空気をはらみ酒の味を柔らかくするようだ。ポーチドエッグに続き茄子の浅漬けが出され満腹。静かで気持ちの休まる店だ。
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最終更新日
2006年09月06日 21時29分04秒
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