カテゴリ:歌は世につれ
とても単純な旋律なのに、何故か耳に残って、 ずっと気になっていた曲がありました。 「ハイケンスのセレナーデ」という曲です。 この曲を初めて聞いたのは、私が大学生の頃で その頃、「早起き一番鳥」という戦時歌謡を中心とした早朝のラジオ番組があって、 その中で、テーマ曲として流されていたものでありました。 その頃は、曲名もわからないままで、 その後も、何度かこの曲を耳にする機会がありましたが、 やがて、この曲が、かつて、第二次世界大戦中、 前線にいる兵士に向けて放送されていた「前線へ送る夕べ」というラジオ番組の テーマ曲であったということがわかってきました。 この曲は、戦時中を体験された方には懐かしい曲なのでしょうし、 また、戦地にいる兵士たちをなごませた曲だったのだといいます。 当時、このレコードは飛ぶように売れたのだそうです。 この曲の作曲者は、ジョニー・ハイケンスという人。 オランダの生まれで、その後、作曲家としてドイツを中心に活躍しました。 しかし、ドイツでの活動が長かったために、親ドイツ派と見られてしまうことになり、 終戦後、連合国に逮捕され、獄中で謎の自殺を遂げています。 この「前線へ送る夕べ」というラジオ番組はNHKの制作で、 第一回の放送が、昭和18年の1月。 短波によりアジアから太平洋全域にまで送信されていたとのこと。 その放送のオープニングには、「ハイケンスのセレナーデ」が流れ、 その内容はといえば、音楽やバラエティー、劇場中継、寄席中継などといった 娯楽的なもので、前線からのリクエストも受け付けていたといいます。 外地の兵士たちも、楽しみにしていた番組だったようですね。 この「ハイケンスのセレナーデ」をYouTubeから探してみました。 結構、ザーザー音が入っていますが、この方が当時の雰囲気に近いかなと思って あえて、これを選んでみました。 きっと、耳にしたことのある曲なのではないでしょうか。 ハイケンスのセレナーデ もうひとつ、「前線へ送る夕べ」の番組を収録したものもありました。 司会が古川ロッパで、 出し物は、 古川ロッパの ”唄の尻取り” 藤本二三吉の端唄で ”槍さび”と”さのさ節” です。 こちらも聞いてみて下さい。 前線へ送る夕べ すごく、時代の違いを感じますね。 でも、当時の人たちは、こうした時代背景の中で、懸命に生きていたのだと思います。 そして、かつて、こうした時代があったのだということは、 決して忘れてはいけないのだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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