カテゴリ:歴史歳時記
♪コンコンチキチン コンチキチン 京の町が、一年のうちでも最高に盛り上がる夏の祭典、祇園祭。 今年の祇園祭は、宵山がちょうど海の日の連休にあたっていたので、 7/15の宵々山の日、祇園祭に行ってきました。 祇園囃子が響く中、様々な山鉾が通りに立ち並んでいて、 多くの屋台も店を連ねています。 宵々山とは言っても、もの凄い人出です。 祇園祭というのは、実際には一ケ月の間続けられているという、長い期間のお祭り。 各鉾町で山鉾の収蔵庫が開けられる「吉符入り」という神事(7/1)に始まって、 八坂神社の疫神社で行われる茅の輪くぐり(7/31)まで、 その間、様々な神事が行われます。 でも、その中でのクライマックスは、やはり、宵山(7/16)と山鉾巡行(7/17)ですね。 日本三大祭りといいますが、今回行ってみて、 そのスケールの大きさと、歴史の深さと、文化としての質の高さにも、 改めて感銘を受けました。 まさに日本を代表するお祭りなのだと思います。 今回、烏丸御池を出発点にして、各鉾町をめぐりました。 室町三条から新町通を通って南へ向かい、 四条烏丸から四条通りを河原町方面へと向かって歩いていきます。 宵山の期間、それぞれの鉾町では、 山鉾に搭載する、ご神体や数々の装飾品などが展示されます。 それらを見ていきながら、また、それぞれの鉾町で用意されているグッズを購入するというのも、 宵山の楽しみの一つです。 山鉾に由来するお守りや、縁起物、厄除けのちまき等・・・。 見て歩くだけでも、楽しいものです。 さて、祇園祭の発祥というのは、平安時代の初め頃のこと。 京の都を始めとして、全国に疫病が流行したことが、そのきっかけでありました。 この時、これを牛頭天王(八坂神社の祭神)の祟りであると考えた八坂神社の神官が、 当時の国の数になぞらえて66の鉾を建て、 さらに、神泉苑まで神輿を担いでいって、そこで疫病退散の祈願をしたというのが、 祇園祭の起源であるとされています。 最初は、疫病が流行った時にだけ行われるという神事でありましたが、 やがて、それが、毎年行われる祭礼となっていきました。 今のような山鉾の形に整えられていったのは、だいたい室町時代の頃。 その後、応仁の乱により、祇園祭は中断しますが、 この時、これを再興させたのが、当時、財力を蓄え始めていた、京都の町衆でありました。 それ以降、祇園祭は京都の町衆によって運営・持続されていき、 それが、現在の鉾町へと受け継がれています。 << 人気の山鉾のひとつ「船鉾」 >> 立ち並ぶ山鉾、その飾り付けが、本当に絢爛豪華です。 << 「放下鉾」のご神体、稚児人形 >> それぞれの山鉾は、日本や中国の歴史・逸話がモチーフとなっていて、 山鉾の内部には、それに因んだ人形などがご神体として祭られています。 そして、山鉾の外観を彩っているのが、前後左右に懸けられているタペストリー。 これは、意外とヨーロッパ伝来のものが多く、 特に鶏鉾と鯉山のタペストリーは、江戸初期、ローマ法王から贈られたというベルギー製のもので、 国の重要文化財にも指定されているのだそうです。 豪華でかつ緻密な装飾。 他にも重要文化財に指定されているものが少なくなく、 祇園祭の山鉾が、動く美術館とも呼ばれている所以です。 << 「鯉山」のご神体・左甚五郎作とされる登り鯉と、ベルギー製タペストリー >> もう一つ、祇園祭り宵山における見どころというのが、 鉾町の名家が各家に伝わる美術品を公開している「屏風祭」。 家の格子を外して秘蔵している美術品、調度品などを飾り、 祭り見物に来た人々に、通りから鑑賞してもらえるようにしているもので、 飾られるものに屏風が多いことから「屏風祭」というように呼ばれています。 町衆の流れを汲む京の名家が、鉾町の伝統を守り、 文化を大事にしていきたいとの思いで、毎年続けられているもので、 祇園祭宵山に合わせ、この期間にだけ公開されている見逃せない催しのひとつです。 山鉾が動く美術館と言われているのに対して、この「屏風祭」は静の美術館とも言われています。 << 「北観音山」のミニチュアと金箔屏風 >> ところで、山鉾の巡行が行われるのは7/17。 現在、巡行は7/17の1日だけでありますが、 昔は、これを2日間に分けて行われていたのだそうです。 元々は、7/17が先祭りで、7/24が後祭り。 山鉾により、先祭りで巡行する鉾と、後祭りの日に巡行する鉾が決められていて、 先祭りと後祭りでは、巡行するコースも違っていたのだそうです。 それが、7/17に統合されることになったのは、意外と最近で、昭和41年のこと。 その名残は、先祭りの鉾の後に、後祭りの鉾が続く巡行順という形で、 今も継承されています。 祇園祭を代表する山鉾「長刀鉾」です。 稚児さんが乗り込み、常に巡行の先頭を行くということでも知られている鉾ですね。 山鉾巡行の巡行順というのは、くじ引きで決められるということになっているのですが、 しかし、くじ引きによらず、毎回巡行順が決められている山鉾というのも8基あります。 それが"くじとらず"と呼ばれているもので「長刀鉾」は、その代表でもあります。 「長刀鉾」に登りました。 長刀鉾の装飾品が色々と展示されている2階の部屋から、 鉾の内部に入っていけるようになっています。 この「長刀鉾」もそうなのですが、 ほとんどの鉾が、宵山の期間、売店でグッズを買えば、 鉾に上がらせてもらうことが出来るのです。 祇園囃子を奏でている様子も、間近かで見ることができました。 この鉦を叩いているのは、小学生くらいの子どもたち。 これも、ちょっと意外ではありました。 *** 祭りの雰囲気に酔いしれた一日。 祇園祭の山鉾というのは、全部で33基あるのですが、 それぞれに、何百年という歴史といわれを持っていて、 しかも、それを町の人たちが大切に守り続けてきているというのは、凄いことです。 文化財としても貴重なものが数多くあり、 祇園祭というのは、本当に奥が深く、色々な魅力にあふれた祭典であるということを、 つくづく感じた、そんな一日でありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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