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2012年07月22日
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カテゴリ:シリーズ京歩き

♪きょうと~おおはら三千院
 恋に疲れた女がひとり~ ♪

デュークエイセスのヒット曲「女ひとり」でも有名な、三千院というお寺。

一番が三千院で、二番が高山寺、三番が大覚寺
失恋した女性が京都の寺をまわるといった内容で、
シンプルながらも、京の情緒を感じさせる歌であります。

でも、若い人は、こんな歌、知らないかも知れないですね。


この大原を訪ねたのは、実際にはゴールデンウイークのことで、
もう、3か月近く前のことにはなるのですが、
思い返しながら、綴っていきたいと思っています。


大原というのは、今の行政区画でいうと、京都市の左京区。
とはいうものの、位置的には、京都市街のかなり北方で、
比叡山よりも北であり、緯度としては鞍馬山とだいたい同じくらい。
古来より、京の隠れ里として知られていた地域であります。

早朝6時に家を出発して、京都市内からバスで40分あまり。
それでも、8時半頃には大原につきました。

大原、山里の雰囲気が、とても良いですね。
この時期、菜の花がとても綺麗に咲いていました。



大原の里.jpg



大原というところは、古来より貴族や皇族が、ここを隠棲の場所として住みついたり、
都から逃れた修験者たちが隠れ住んだりといったような、京の隠れ里として知られていました。

それとともに、比叡山・延暦寺と密接に関連しながら発展してきたという歴史があり、
延暦寺の里坊として、いくつかの寺が、この地に建てられていくことになりました。

そうした中で、大原で生まれ広まっていったものというのが「天台声明」。

声明(しょうみょう)とは、仏教の経典に節をつけ歌い上げたもので、
端的に言うと、儀式の時に行われていたという仏教音楽。
これが、日本の音楽の原点になったともいわれています。

大原には、この天台声明の道場がいくつか置かれ、
大原は、その中心地として、栄えていったのでありました。

かつて天台声明の根本道場であったという「勝林院」というお寺にも行きましたが、
そこでは、録音再生で天台声明を聞くことができました。



勝林院.jpg



さて、三千院についてです。

この寺は、最澄が比叡山に草庵を建てたことに由来するとされている
とても古くからの歴史を持った寺院なのでありますが、
しかし、三千院として、今のような形で大原の地に伽藍を構えたのは、
意外なことに、明治になってからであるということのようです。


梶井三千院.jpg


平安末期、堀河天皇の皇子がここに入寺して以来、
歴代皇族が住持を務めていたという門跡寺院。

明治までの間、この寺は「梶井門跡」という名で呼ばれていて、
高い寺格を持った寺でありました。


三千院山門.jpg


門跡寺院特有の宸殿という建物もあり、
この中には、最澄の自作とされる薬師如来像が、秘仏として祀られているのだそうです。


三千院宸殿.jpg



宸殿の前に広がる、有清園と名付けられた、この庭園が見事です。

杉苔が、じゅうたんのように敷きつめられた中、
木立が立ち並んでいて、その、のびやかな趣きには、心が洗われるようです。



有清園.jpg



この庭の中央、木立の合間からのぞく建物が往生極楽院。

平安時代の中頃、源信僧都という人が、父母の菩提を弔うために建てたとされている仏堂です。

そして、このお堂の中に鎮座しているのが、国宝の阿弥陀三尊像。

平安末期を代表する阿弥陀像であると言われています。



往生極楽院と阿弥陀像.jpg


往生極楽院の入口から写真を撮ってみましたが、
やはり、阿弥陀像が綺麗に撮れません。

阿弥陀三尊像の絵ハガキからの写真を、掲載することにします。


阿弥陀三尊.jpg


福よかな面持ちと、その荘厳さには、思わず心が引き寄せられるような感じがしてきます。
素敵な阿弥陀さまですね。

阿弥陀如来の両脇に脇侍しているのが、観音菩薩と勢至菩薩。

この菩薩の座り方、ちょっと変わっているのが、写真でわかりますか?

正座をしているような、跪いているような、
これは「大和坐り」と呼ばれている姿で、
この座り方をしている仏像というのは、珍しいのだそうです。


往生極楽院.jpg


この往生極楽院は、阿弥陀三尊像の大きさに比べ建物が小さくて、
そのため、天井が舟底型に折り上げられているのだといいます。

こうした建築様式も独特なものでありますが、
さらに、この内部の装飾も華麗なものだったようです。

今では、落剝が進んでいて、目で見ても、あまりわからないですが、
かつては、その天井に、天女や菩薩の姿が極彩色で描かれていたのだそうです。

往生極楽院も阿弥陀像も、極楽浄土を願う平安時代の人々の息吹が伝わってくるようですね。


有清園灯籠.jpg



この三千院が今のような形になったのは明治以降、ということを、先に書きましたが、
それ以前の、梶井門跡というお寺は、滋賀の坂本や京都市内など、度々、その所在地を転々とし、
この大原には、政所(事務局のようなもの)が置かれていただけでありました。

ところが、明治期に入って、梶井門跡自体が、この大原に移転してくることとなり、
その時から、三千院という名称で呼ばれるようになりました

往生極楽院というお堂も、実は梶井門跡とは関係のない寺院で、
梶井門跡が大原に移ってきた時、たまたま、その境内に取り込まれたものなのだと言います。

調べてみると、この三千院、結構、複雑な経過を経てきています。


でも、そうした歴史的な詮索は、どうでも良いですね。

そうしたこととは関係なく、この三千院というお寺は、とても素敵な佇まいをみせています。



三千院の花.jpg



三千院というところは、花の名所でもあります。
山茶花やアジサイ、春の桜、秋の紅葉など、四季折々に様々な花々が境内を彩ります。


豊かな自然に包まれたこの大原の地で、平安浄土の世界を今に伝える三千院。
何度でも行ってみたいと、そう思えるほどに魅力のあるお寺でありました。





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最終更新日  2012年08月05日 09時36分24秒
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