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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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2018.07.16
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​​​​​​​​​​​​​​​​​ 本年3月末に、東京都議会で、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部改正案」(以下「改定・迷惑防止条例」と略)が可決されました。

 この改定・迷惑防止条例は、7月1日に施行されました。

 私は本件改正には反対で、3月22日に警察消防委員会を、3月29日に都議会本会議を傍聴し、議会委事務局宛に「改正案には反対」である旨の意見も送りました。

 一連の経緯と私の取り組み・体験については、拙ブログの過去記事へ、リンクを張っておきます。

3月20日の記事:​東京都議会事務局宛に、「迷惑防止条例『改正』案」への反対意見を投稿

3月25日の記事:​東京都議会に提出されている「迷惑防止条例『改正』案」、委員会で可決

3月26日の記事:​私のツイートに対する反応から考える、「運動」に関わる事の難しさ

 4ヶ月遅くなりましたが、「迷惑防止条例」の改定に関する記事の完結編として、本記事を書きます(笑)。

 尚、本記事を書くのがこの時期までずれ込んだのは、

「東京都議会のサイトに、速記録がアップされるのを待っていた」
「施行に合わせて、立憲民主党から、何らかの声明やアクションがなされるかどうか確認していた」

 からです。

 先ず、正確な事実確認の為に、改正の概要、3月22日の警察消防委員会と、3月29日の本会議の議事録へリンクを張っておきます。

「改正」後の迷惑防止条例・警察庁の解説

条例全文(PDF)

警察・消防委員会速記録第四号(3月22日)


平成三十年東京都議会会議録第六号(3月29日)

 更に、公平を期す為に、第73号議案(「迷惑防止条例・改正案」)に対する各会派の発言をコピペしておきます。時間の無い方は、読み飛ばして頂いても、構いません。
 発言者の前の丸印は私(春橋)が補ったもので、採決の際に、〇が起立賛成した会派、●が着席反対した会派を意味します。尚、分かり易さの為に、適宜改行し、漢数字はローマ数字に置き換えました。

====速記録引用、ここから====

22日の警察消防委員会

○石毛しげる委員(都ファ)
 都民ファーストの会の意見表明をいたします。
 警視庁関係付託議案、迷惑防止条例改正案について賛成の立場で意見表明をいたします。

 本改正案は、盗撮行為についてスマートフォンの普及などを背景に、現行の規制場所である公共の場所等以外の場所での盗撮行為が発生し、盗撮画像が流出した場合、二次被害を招くおそれがあることを受け、規制場所が拡大されています。
 電子メールやSNSの連続送信や、うろつき行為等の都民に不安を覚えさせるような行為が発生していることから、これらを新たに規制対象に加えています。
 これらにより、学校や会社等のトイレや更衣室での盗撮、SNS上において相手方から送信をブロックされるたびに、アカウントを変えて、執拗に嫌がらせをする書き込み行為、人間関係のトラブルから被害者の自宅周辺をうろつく等の行為を繰り返すなどの行為に適切に対応することが可能となり、こうした行為に苦しむ被害者を一人でも多く救うことで、命と安全を守る、誰一人取り残さない社会の実現に近づくことができることと確信しております。

 実は、この条例改正案につきましては、先週から昨日まで私どもの事務所に電話やファクス等で、迷惑防止条例改正案に対する賛成や反対などのご意見を多数いただいております。
 賛成の方々からは、この平穏な都民生活をさらに強固にするため、この条例改正案が必要であると賛成の意見が見られました。

 一方、反対の方々からは、立法事実が不明確である、そもそも現行条例が濫用の危険性がある、憲法第21条などに反する憲法違反であるというものでした。
 これら条例改正案に対する懸念をお持ちの方々の意見に関しては、3月19日の委員会質疑において質疑が行われ、警視庁からは濫用防止規定に従い、本条例を適切に運用していくとのこと、正当な理由により行われる政治活動、労働運動、市民運動、報道、表現の自由、各種社会活動は、取り締まりの対象にならないこと、つきまとい等の目標認定については、個々の事案に応じ、法と証拠に基づいて判断することになり、自白のみで判断するものではないとの答弁がありました。
 市民生活の平穏を守る重要性がますます高まり、人身安全関連事案の取り締まりが大きな課題となる中で、都民の命と生活を守るためには、こうした人身安全関連事案の前兆段階における取り締まりを本条例の改正を通じて実現しなければなりません。

 しかし、条例の拡大解釈や濫用は、厳に戒めなければなりません。そのためには、特にこの条例改正案がどのように運用されるのか、一定のガイドラインを作成し、公表していくことが安心につながることとなります。
 警視庁には、ぜひともガイドラインを作成するなど方策を講じ、本条例の各規定を厳格に遵守し、都民の皆様の信頼構築に努めるとともに、都民生活の安全・安心確保に全庁挙げて取り組んでいただくことを切に要望して、都民ファーストの会の意見表明とさせていただきます。


○吉原修委員(自民)
 それでは、都議会自民党といたしまして、付託議案第73号議案、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例に対しまして、賛成の立場から意見を述べさせていただきます。

 いわゆる迷惑防止条例は、もともと公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって都民生活を保持することを目的に制定されたものであると承知をしております。
 しかし、近年、スマートフォンの普及やSNS利用者の増加によるコミュニケーション手段の多様化など、社会情勢の著しい変化により、現行の規制では十分な対応をとることができないつきまとい行為等の相談が警視庁に多数寄せられているとお聞きしております。
 しかし、こうしたつきまとい行為等が規制の対象外であれば、被害者は著しく不安を覚えることになり、また、さらなる重大事件に発展してしまう可能性も否めません。
 都民の不安を解消し、都民の生活を保持するためにも、現在の社会情勢に即した本条例の改正が真に必要であると考えます。

 一方、本条例の改正によるつきまとい行為等の規制拡大は、言論、報道の自由等を保障する憲法第21条、団結権、団体交渉権等を保障する第28条を侵害するとともに、本条例の改正そのものが、憲法第94条、地方公共団体の権能に反するものだという意見、論調も出ているということについては承知しているところであります。

 しかし、規制の拡大されるつきまとい行為等は、ねたみ、恨み、その他悪意の感情を充足する目的の認定が前提条件であることから、正当な市民運動、労働運動等は規制されず、憲法第21条、第28条を侵害するものではない。また、判例を根拠に、憲法第94条に反するものでないことが、先日の警察・消防委員会において確認をされております。
 そのため、一部の方々が懸念するような、本条例の枠を超えた取り締まり等が行われることはないと理解をしております。

 警視庁には、平成15年の条例改正時に設けられた濫用防止規定を遵守して、改正後の本条例を適切に運用し、重大事件に発展するおそれのある人身安全関連事案や、その前兆となり得る事案に対し、より迅速かつ的確に対応していただくことで、都民生活の安全・安心の確保をさらに確実なものにしていただきたいと切に願い、意見表明を終わります。


○橘正剛委員(公明)
 迷惑防止条例改正案について意見を述べます。

 当委員会に付託されました迷惑防止条例改正案のポイントの一つは、現行条例では盗撮行為の規制対象外となっている住居やホテルの客室など、プライベートな空間に規制場所を拡大している点であります。盗撮行為は、技術革新に伴う機器の精巧化、小型化等によって、ますます巧妙になっていることから、悪質な盗撮行為に対する規制の拡大強化は、社会的要請ともなっております。
 改正案のもう一つのポイントは、つきまとい行為の形態をSNSの連続送信や、うろつき行為などにも対象を拡大している点です。つきまとい行為が悪質化、多様化し、重大な犯罪につながる例も多く見られる状況を見れば、現行条例による対応に限界があることはいうまでもありません。

 今回の条例改正案の内容について、警視庁が実施したパブリックコメントによりますと、盗撮に関しては、公共の場所以外であっても規制するべきで、条例案に賛成であるとの意見が最も多く寄せられております。
 一方、つきまといについては、行為類型の追加には賛成であるが、さらに規制を強化してほしいとの意見が多数となっております。
 こうしたパブリックコメントは、悪質化する盗撮やつきまといに不安を感じ、的確に対策を講じてもらいたい、治安を強化してもらいたいとの都民の率直な思いのあらわれであると受けとめるべきです。都民生活の安寧と安全を脅かす行為に対しては、法的に厳格に対応すべきです。それが社会の秩序を守るということであり、都民の暮らしの安全・安心を確保する基本中の基本であると考えます。

 したがって、我が党は、当委員会に付託されている迷惑防止条例改正案に明確に賛成の立場を表明します。
 なお、一部に、今回の条例改正案は、政治活動、組合活動、報道、表現の自由、あるいは各種の社会活動まで規制されかねない側面があるとの意見もあります。
 しかし、この点については、過日の委員会における私の質問に対し、警視庁から、正当な理由により行われる政治活動、組合活動、報道、表現の自由、あるいは各種の社会活動は、取り締まりの対象となるものではないとの明確な答弁がありました。議会での答弁は極めて重いものであり、その意味を十分認識すべきと考えます。

 同条例の規定には、都民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して、他の目的のためにこれを濫用することがあってはならないとの濫用防止規定があり、改めてこれを厳格に遵守するよう要請し、意見表明といたします。


●大山とも子委員(共産)
 本委員会に付託された第73号議案、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例、いわゆる迷惑防止条例に反対、その他の五議案に賛成の立場から意見を述べます。

 19日の委員会の質疑のときにも、ファクスやメールで、この条例改定に反対との内容の要請書が、その時点で、団体や個人の要請書、そして、急遽取り組んだ署名など合わせて千を超える団体、個人から寄せられていることを紹介しました。
 その後も、この要請はとどまるどころかさらにふえ続け、今委員会に来る前に数えましたら、19日の委員会後から現在までに691枚の団体や個人からの要請書と、追加の署名が372人分届けてくださっています。
 合わせて1815、他会派の皆さんのところにもきっと来ていると思います。都庁舎の前でも反対の集会が開かれていました。私、20年以上、都議会議員をしていますけれども、これほどまでに急速に、多くの方々が立ち上がり、主体的に声を上げることは、いまだかつてなかったといっても過言ではありません。

 私たちは、都議会は、そして警視庁は、これらのことを重く受けとめるべきです。それは何より、市民の皆さん方が、第73号議案、いわゆる迷惑防止条例改正案は改正ではなく、都民、国民の権利侵害、集会、結社及び出版その他一切の表現の自由、勤労者の団結権など、憲法に保障された権利を侵害することにつながるおそれのある改悪案だからです。

 今回の改定は、つきまとい行為の禁止に、みだりにうろつくこと、その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと、名誉を害する事項を告げることなどを新たに加え、罰則規定を強化することです。
 しかも、被害者の告訴なしに、警察の判断で逮捕、告訴ができます。これでは、市民が国会前や路上で政治家の批判をする、労働組合が会社を批判する宣伝をする、ジャーナリストが取材対象の周辺を調べることなどを繰り返した場合、取り締まりの対象にされる可能性があります。

 この条例の重大な問題点は、内心のねたみ、恨み、その他の悪意の感情の充足なのかどうかが、犯罪かそうでないかの分水嶺であることが変わっていないことです。質疑で、内心をどう判断するのかただしましたが、個々の事案に応じて、法と証拠に基づいて判断するとしか答弁できませんでした。
 警察の恣意的な判断で犯罪とされ、自白を強要するしか犯罪の立証ができないことになりかねません。しかも、警視庁は、今回の条例改定がなぜ必要なのかという立法事実を何ら具体的に示すことができませんでした。
 新設する規制に該当する事案に関して、把握しているのは相談件数だけ、その相談が重大事件に発展しているのかも把握していないことが明らかになりました。条例改正の理由であるとした重大事案に発展するおそれがあり、早急な対応が必要という根拠を示すこともできませんでした。
 現行条例の一号ないし四号についても、わかるのは相談件数だけで、逮捕数も捜索差し押さえも統計がないからわからない。現行条例が果たして役に立っているのかもわかりません。

 条例改定の根拠を明確に示すことができないような条例案を議会に提出すること自体、許されることではありません。2003年の本条例に関する審議で、労働運動、市民運動、取材活動は、正当な権利行使だから、本条例の対象外だとする答弁に変わりはないかとの質問に、答弁に変わりはないとの答弁はありました。
 本条例には、もともと濫用防止規定が盛り込まれていますが、そのこと自体、運用方法次第で都民の権利を過度に制限する可能性が高いからです。今回の改定による規制の拡大は到底認められません。

 よって、第73号議案に反対することを述べ、意見表明といたします。


​​​​​〇中村ひろし委員(民進・立憲民主)
 私は、都議会民進党・立憲民主党を代表して、第73号議案、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例について意見を申し上げます。

 いわゆる迷惑防止条例については、第5条の二、つきまとい行為などの禁止について、これまでさまざまな経過がありました。今から約16年前の2002年6月に提案された改正案は、余りに対象が広範囲であることから、議会でこの部分を削除するなど、事実上否決となっていましたが、その後、2003年9月に、正当な理由なくという文言を加え、規制される行為を限定し、かつ濫用防止規定を追加した条例案が再度提案され、可決をし、現在の条文になっています。

 今回、この条文に、みだりにうろつくなどの文言を追加することが提案されたことに対して、なぜこの時期に条例改正をするのかという疑問の声が寄せられました。
 私の質問に対して警視庁からは、みだりにうろつく行為については、既に規制されている待ち伏せや見張りと同様、被害者が著しく不安を覚えるものであるにもかかわらず、規制の対象外とされており、この種事案への速やかな対応が喫緊の課題となっていたとの認識が示され、本行為を新たに規制対象とすることで、さらなる都民生活の安全につながるとの答弁がありました。

 また、私たちは、2003年の条例改正の経過もあり、今回追加になったみだりにうろつく行為についても、当然正当な理由なく、あるいは濫用防止といった規定が適用されると考えてはいますが、一方で、一度立法化されると解釈が拡大されるのではないかといった声も聞かれます。
 とりわけ今回の改正において、政治活動、労働運動、市民運動、取材活動が規制されるおそれが生じるのではないかと危惧する声が多く寄せられました。

 私の質問に対して警視庁は、正当な理由により行われる政治活動、労働運動、市民運動、取材活動などが、その規制対象となるものではないと明確に答弁しました。現場の運用や裁量なども含めて、これらの政治活動や市民運動などがいかなることがあろうとも規制されてはならないと強く主張し、本条例に対する意見とさせていただきます。


29日の本会議・討論​

 続いて、3月29日の本会議での討論での発言です。第73号議案(迷惑防止条例改正案)に関する部分のみ、抜き出します。丸印表記、数字、段落は委員会の表記と同様です。
 尚、自民・公明は、本会議での討論では73号議案に言及しなかったので、引用は割愛しました。


〇田の上いくこ議員(都ファ)
 私は、都民ファーストの会東京都議団を代表し、(中略)討論を行います。
(中略)
​ 最後に、本定例会に提案された迷惑防止条例改正案について申し上げます。

 迷惑防止条例は、全国47都道府県で制定されている条例で、東京都では昭和37年に制定され、盗撮行為、つきまとい行為、押し売り行為、不当な客引き行為、ピンクビラ配布行為などの迷惑行為で困っている都民の方々に役立ってきました。

 そもそもこの条例は、ストーカー規制法では取り締まれない、悪意に基づく迷惑行為を規制することとしています。
 今回の改正案では、情報手段の変化に対応して、スマートフォン等の普及やSNSなどを追加しています。次に、撮影機器の性能向上に対応して、住宅や学校、事務所などでの盗撮も規制することができるようにしています。また、名誉を害する事項を告げること、みだりにうろつくことなどの行為類型が追加されています。
 家での下着姿の盗撮、SNSでの拡散、拒まれたにもかかわらず繰り返すEメールやSNSでの誹謗、つきまといなどから都民を守ることは東京都の責任であり、都議会の責任です。
 私たちは、迷惑行為から被害者を救い、都民生活の平穏を守るためには、このような規制措置の追加が必要であると考え、賛成をしました。

 他方、この改定規定が憲法違反であり、警察の一方的な判断で憲法の保障する諸活動まで弾圧され、団体等に対する組織弾圧や政権批判を萎縮させるために活用される危険が大きいという懸念が指摘されています。今回の改正案と同様の条文が既にあるのは33の道府県に及びます。これらの道府県での議会審議の過程でこのような指摘はなく、また、施行後にご懸念のような事実も確認されておりません。

 また、第一に、現行の東京都の条例には、平成15年の改正時に濫用防止規定が設けられています。
 第二に、警察・消防委員会で警視総監同席の上、警視庁の正当な理由により行われる政治活動、労働運動、市民運動、報道、表現の自由、各種社会活動は取り締まりの対象にならない旨、つきまとい等の目的認定については、個々の事案に応じて、法と証拠に基づいて判断することとなり、自白のみで判断されるものではない旨などの答弁がありました。
  第三に、当会派は、名誉を害する事項を告げることなどの新しく追加された行為類型に着目して、ガイドラインを示すことを求めました。
  このような三重の歯どめにより、本条例の濫用の懸念への対処がなされております。​
(後略)


●斉藤まりこ議員(共産)
 日本共産党都議団を代表して、(中略)討論を行います。

 初めに、迷惑防止条例の一部改正です。
 改正どころか、極めて重大な改悪であり、廃案にすべきです。今回の条例案は、つきまとい行為として禁止する対象に、みだりにうろつくことや名誉を害する事項を告げることなどを加え、罰則を強化するものです。SNSへの書き込みも規制の対象になります。

 もともとこの条例には、悪意の感情によるものなのかどうかという内心によって、犯罪かそうでないかが決まる重大な問題点があります。その上、今回の改悪がされたら、国会前や路上で政治家の批判をする、労働組合が会社を批判する宣伝を行う、ジャーナリストが取材対象の周辺を調べることなどを繰り返した場合、取り締まりの対象にされる可能性が生じます。
 労働運動、市民運動、取材活動は正当な権利行使だから、本条例の対象外だとの答弁がありましたが、条例本文には書いてありません。しかも、条例案では、被害者の告訴なしに、警察の判断だけで逮捕できます。社会的正義のための行為ではなく、悪意の感情によるものかどうかという内心を警察が証明することなどできません。自白を強要するしかできないということになりかねません。

 このような重大な条例案を議会に提出しながら、警視庁は、委員会質疑で今回の改定がなぜ必要なのかという理由、立法事実を何ら具体的に示すことができませんでした。そもそも条例提出の前提が崩れています。
 弁護士を初め、法律の専門家から、今回の条例案は、憲法で保障された言論、表現の自由など、市民の権利を侵害するものであり、憲法違反の条例案だとの批判の声が上がっています。わずか2週間ほどの間に個人、団体から約9千通もの条例案の廃案を求める要請書や署名が寄せられています。

 きょう、この瞬間にも反対の声が刻々と広がっています。私たち都議会には、この声をしっかり受けとめる責任があります。議員一人一人が良識ある判断を下し、条例改悪に反対し、廃案にすることを心から呼びかけるものです。
(後略)


○山口拓議員(民進・立憲民主)
 私は、都議会民進党・立憲民主党を代表して、(中略)討論を行います。
(中略)
 最後に、第73号議案、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。

 今回、強い懸念が寄せられている迷惑防止条例の第5条の二、つきまとい行為等の禁止については、まず、制定過程に触れなければなりません。
 今から約16年前の2002年6月に提案された、つきまとい行為等を禁止する改正案は、余りに対象が広範囲であることから、都議会で事実上否決し、その後、都議会から出された意見を踏まえ、2003年9月に、正当な理由なくという文言を加え、規制される行為を限定し、かつ濫用防止規定を追加した条例案が再度提案されました。
 私たち前身会派である都議会民主党も、主張してきた多くの部分が条例案に盛り込まれたとして、これに賛成し、賛成多数で可決、現在の条文に至っています。

 2003年の改正条例も、専ら悪意の感情を充足する目的で、つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がることなどが禁止されると、政治活動や労働運動、市民運動、取材活動も規制されると懸念をされていましたし、憲法94条違反という指摘もありました。しかし、条例施行後14年以上がたった今現在まで、当時懸念されていたことは実際に起こっていません。
 これは、私たちが条例5条の二に、正当な理由なくの文言を盛り込んだことで、正当な理由、すなわち政治活動や市民運動など、憲法や法に基づいて保障された諸権利の行使やその同等の行為は規制対象外であることを明確にしたこと、さらには、同三項に、本条の規定の適用に当たっては、都民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的にこれを濫用するようなことがあってはならないとする濫用防止規定を加えたことが十分に機能してきたことの証左でもあります。

 このような中、スマートフォンの普及などを背景に、これまで電話やファクスだけに限定していた繰り返しなされる迷惑行為に対し、SNSを含む電子メールを用いて繰り返されるつきまとい行為等を加えることは当然です。
 また、現在の規定である、著しく粗野、乱暴な言動をすることなどでは対象とならない行為、例えば、有罪判決を受けた者が相手方を逆恨みし、釈放後、長期にわたって相手方を誹謗中傷する文書を繰り返し送り続けたという相談などに対応するために、ストーカー規制法でも規定をしている名誉を害する事項を告げることなどの規定を追加するのは、現実に迷惑をこうむり、悩み、苦しみ、泣いている人たちに目を向けたときに必要であると考えます。万が一、こうした相談に対応できず、その方が命を落とすようなことが絶対にあってはならないのです。

 私たちは、今回の改正が、もしも仮にデモ封じにつながるのであれば断固反対するものでありますが、都民の安全確保に資するものであると考え、賛成するものです。
 委員会の質疑においても、警視庁からは、政治活動、労働運動、市民運動、取材活動等は、その規制対象となるものではないと改めて明確な答弁を得ています。現場の運用や裁量なども含め、政治活動や市民運動等は、憲法、法律に基づく正当なものであり、いかなることがあろうとも規制されてはならないということを改めて強く申し上げ、改正案に賛成するものです。


○上田令子議員(かがやけTokyo)
 私は、かがやけTokyoを代表し、討論いたします。
(中略)
 続いて、第73号議案、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例についてです。

 同改正案は、盗撮行為の規制場所を拡大するとともに、つきまとい行為等の規制の類型を電子メールやSNSに拡大し、罰則を強化するものです。これに対し、左派系の法律団体は、労働組合の団体行動権、国民の言論表現の自由、知る権利、報道の自由を侵害し、萎縮効果、自白強要のおそれがあるとの指摘をしております。

 実際、私自身もインターネットを含め、執拗なストーカー行為を幾度となく受け、怖い思いをしたことがありました。今もそのような思いをしている都民は、男女問わず多数いることでしょう。
 本案により取り締まりの対象となるのは、このような卑劣なストーカー行為の加害者です。日常生活を送る市民が、ある日突然検挙されることがないことは委員会審査でも明らかになっています。むしろ社会正義を実現することを使命とし、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない法律のプロが、条文に立脚せず、過剰な拡大解釈を流布することにより、市民社会が萎縮してしまうことを心より危惧します。

 警察の恣意的濫用を防止する濫用禁止規定が設置されていることから、本案に賛成するとともに、積極的な運用とストーカー被害者の支援をあわせてお願いいたします。

====速記録引用、ここまで====


本会議の採決結果と、傍聴雑感

 前振りが長くなりました。
 3月29日の本会議で、第73号議案は起立多数によって可決・成立しました。

 日本共産党の他に反対(着席)したのは、一人会派の「日本維新の会」「生活者ネットワーク」でした。「民進・立憲民主」の会派で唯一、立憲民主党に移籍している西沢けいた都議も着席していました。会派の決定に従わなかったものと思われます。

 傍聴席は3分の二ほどが埋まり、73号議案の採決の際には野次も多くなり、起立して何かを言っていた男性の傍聴者が、尾崎議長に指を指されて退室を命じられていました。

 この日は、定例会の最終日で、本会議が閉会した後、都議会傍聴のベテランの方と一緒に共産党の控室に挨拶に行きました。多忙で、殆ど言葉は交わせませんでしたが、曽根団長に会釈し、小池都知事が局長クラスと共に各会派の控室を挨拶に回っている姿を間近で見られました(笑)。

 その後、共産党議員団が集合写真を撮っている様子を間近で見て、私もスマホで撮影させて貰いましたが、議員団の広報用に撮影しているとの事で、私の撮った写真をSNS等に上げるのは控えました。

 私はフクイチ(福島第一原発)と原子力規制委員会の動向を追うのを優先していますし、神奈川県民なので、今後暫く、都議会に傍聴に行く機会は無いと思いますが、委員会・本会議の傍聴に加えて、知事の挨拶回りまで見られました。議案が可決されたのは残念ですが、傍聴体験としては、短期間でコンパクトにまとまっていたと思います。
 雑感は、この辺にしておきましょう。


立憲民主党の対応~政治的に利口である事をどう捉えるか~

 今回の条例改正(私は「改悪」だと思っていますが)に関して、特筆すべきは、私の情報発信に対して、「立憲民主党の支持者」なる人達からネット上で絡まれたことです。
 今回の一件は、「立憲民主党の体質」を浮き彫りにしたと思っています。

 委員会でも、本会議でも、会派「都議会民進党・立憲民主党」の議員は、「会派を代表している」旨を発言し、委員会採決で起立賛成し、本会議の討論でも「賛成」を明言しています。

 その一方で、会派で唯一、立憲民主党籍を持つ西沢けいた都議(中野区)は、29日の本会議採決の際に、着席したままでした。

 私は、西沢都議や立憲民主・東京都連のWebサイトに、改定・迷惑防止条例に関する声明等がアップされないかと確認していたのですが、施行から約2週間を過ぎても、そのような動きは有りません。

立憲民主・東京都連のサイト

西沢けいた都議のサイト

「立憲民主党」の最大の課題・問題点は、「曖昧さ・分かり難さ」にあると思います。

 私は「立憲民主は条例改正案に賛成した」とツイートし、その考えは今も変わっていません。
 その一方で、「唯一の立憲民主の党籍がある西沢都議が本会議で着席していたから、立憲は反対した」とのツイートも有りました。
 ですが、立憲民主が反対したとする根拠は、西沢都議が着席していたという事だけで、議会内外での一人称での発信・発言は何もありません(党本部の記者会見で言及したことはありますが、「訊かれて答えた」もの)。
 私は 「立憲民主は賛成した」との判断ですが、当記事は、私の考えの正当性を主張することを目的にしているのではありません。

 最大の問題は、「どちらとも解釈できる行動を取り、曖昧なままにしている」立憲民主や西沢都議の対応です。
 党名に「立憲」と付けている政党が、憲法違反の可能性が指摘される法律・条令について、旗幟を鮮明にしなくて良いのでしょうか?

 このような「幅広い解釈ができる対応」は、政治的な軋轢を減らし、「政治的には利口」なのかも知れません。ですが、政治的に利口であることが、主権者・国民からの支持や信頼に繋がるのかと言うと、それは別問題でしょう。寧ろ、逆効果であることが多いと思います。

 共産党は、「反対」を一人称で主張し、大山議員は、テツさんが都庁前で呼びかけた「条例改正反対」のアクションにも参加して発言していました。
 立憲に欠けているのは、このような「分かり易さ」「一人称での発信」なのです。

 断っておきますが、私は、立憲民主叩きが目的で当記事を書いているのではありません。施行後も、立憲民主や西沢都議のサイトも確認しましたし、不公平な記事にならないよう、速記録がアップされるのも待ちました。

 私に絡んできた「立憲の支持者」なる人達が、今現在、どのような行動・活動をしているのか分かりませんが、本当の支持者なら、「主権者・国民から見て分かり難い・曖昧な対応を取る体質」には、厳しく注意すべきでしょう。

 今回の都条例の一件では、「立憲民主は賛成した」とする私のような立場の人間は、「『立憲民主を代表して』と発言して起立賛成し、本会議でも賛成を明言している。党からも反対声明などは出ていない」と主張するでしょうし、「立憲民主は反対した」とする立場の人間は、「立憲民主籍を持つ西沢都議は着席していた。西沢都議が賛成を明言したことも無い」と主張するでしょう。

 恐らく、このような言い合いになった場合には、決着がつかず、永遠にループし続けるだけだと思います(私が絡まれたのと同様)。

 繰り返しますが、そもそも、このように「幅のある解釈ができる行動」を取ること自体が問題なのです。


「政治的に利口であること」は、主権者・国民から見て分かり難い

 ここからは、立憲民主への批判を離れて、一般論にします。

 現在の政治状況は「安倍一強」とも言われており、政権与党だけで衆議院の3分の二を占めています。参議院を無視して議案を可決する事も、秘密会を開くことも可能な議席数です。
 野党や、安倍政権に批判的な勢力は、「野党共闘」を含めて、少しでも力を合わせて、政権与党に対抗しようとしています(「野党共闘」の是非は、ここでは論じません)。

 ですが、どんな旗印・政策を掲げようと、政権与党(多数派)は、実質的には予算編成や法令改廃の権限を持っているのですから、単に「反対」を唱えたり、質問するだけでは対抗できないでしょう。スタートラインからして、野党・少数派は出遅れているのです。

 今の状況下で野党や少数派が得られる最大の政治的資産は、「主権者国民からの、利害関係を抜きにした支持・信頼」しかないでしょうし、政治的資産が増えなければ、選挙でも敗北するでしょう。
 利害関係を考えれば、与党(多数派)に関わり、予算を付けて貰ったり、規制緩和の為の省令や法律の改正を働きかけた方が得です(お返しに政治献金と、選挙の票を提供する)。
 そのような利害関係を抜きにして、主権者国民からの支持・信頼を得るには、普通の言葉での「分かり易さ・明快さ」が必要でしょうし、寧ろ、それしか有り得ません。

「主権者国民の支持は得たい」、でも、「主権者国民から見て分かり難い対応を取る」というのは、両立しません。

 今の野党の当面の目標は、所謂「安倍一強」の打破でしょう。その為には、あらゆる機会・あらゆるチャネルを通じて、主権者国民からの支持・信頼を得て、政治的資産の基盤を拡大しなければなりません(支持者が増えれば、街頭行動の参加者、献金、選挙の際のボランティア、そして、得票も増える。全ては「主権者国民からの支持・信頼」が基本)。

 ですが、野党や、そこに所属している政治家の全てが、「主権者国民からの支持・信頼の獲得」に全力を尽くしているでしょうか? 自らの事情・状況に応じて、局面ごとに「政治的に利口であろう」とはしていないでしょうか?
 政党や政治家の事情は内部の事であって、主権者国民には関係がありません。外部に相対するのに、内部の事情を優先して、外部の支持・信頼が得られる筈がありません。


 都議会での一件を通じて、「政治的に利口である」ことと、「主権者国民からの支持・信頼の獲得」の関係性を考える良い機会となったので、当記事を書きました。

 都議会傍聴や、迷惑防止条例に関する記事は今回で「完結」とします。

 尚、当記事で表明した意見・所感は全て、私個人のものであり、他の如何なる党派・個人とも関係の無い事をお断りしておきます。

 繰り返しますが、当記事は立憲民主党批判ありきで書いたのではありません。荒しのようなコメントが寄せられた際には、議論せず、削除いたします。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​





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Last updated  2018.07.17 06:32:49
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