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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2006年05月12日
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上原ひろみサマーレインの彼方
ピアニスト上原ひろみの2005年5月30日の「Spiral」の録音から、
2005年7月31日の「富士ロック・フェスティヴァル」までを密着取材したルポです。
生い立ちから、現在までの彼女の人生を織り込みながら、物語が進行していきます。
この本を見ていると、テレビのドキュメンタリーを見ているような気になってきます。
彼女の人となりがよく分かり、
彼女のファンにとっては、必読のドキュメンタリーではないでしょうか。

いろいろと、新たな発見もありました。
まず、天才女性ピアニストと騒がれていますが、
実は、彼女の信条は「努力、根性、気合い」だというんですね。
まるで、どこかの大学の体育系の人間の信条と間違えてしまいそうです。
絶え間のない努力を続け、今の彼女ができているということがよく分かります。
まず、一番優先されるのがピアノを弾くことができる環境と、
最大限ピアノを弾く時間を確保することにありました。
高校(浜松北高校)では昼休みに、学校のホールでいつもピアノを弾いていました。
大学(法政)では、ピアノを弾く時間を確保するために、
アルバイトを自宅から出きるだけ近いところを選び、
将来のための英会話を習うにしても、
自宅から最も近い、横河電機の英会話教室に頼み込んで入らせてもらうなどの、
普通の人では、とてもそこまではやらないようなことをやりました。

 バークリー音楽院でも、学内コンサートで、出来るだけアピールするために
ポスターを沢山作ったり、ビラ貼りを禁止されている、学内の掲示板に、
剥がされても、何度も貼ったりと、
目に見えないところでの努力は、並みたいていではありません。
あの髪型にしても、みんなよりも目立つことを考えてのことだそうです。

 アーマッド・ジャマル、オスカー・ピーターソン、チック・コリア、
矢野顕子、現在のバンドのメンバーなどとの出会いのエピソードなども盛りだくさんで、
上原ひろみの人となりがよく分かります。
一言で言って、根性あるな~と思いました。

演奏だけ聴いていると分からないことが、この本を読むことによって分かることがあります。
例えば、通常だと録音作業は、スタジオに入って、曲を作り、リハーサルをして収録する、
という手順を踏みますが、彼女の場合には、曲を作ってから、ツアーなどで、演奏を熟成させ、
その後に録音というプロセスをとっています。
こうすると、演奏の練度が増し、よりよい演奏を収録することが出来ます。
彼女の目標は、「リスナーの心がぶるっと震える」ような演奏をすることだそうです。

 スタンダードに対する気持ちにしても、作曲家への敬意が強く、
曲の内容を完全に理解するには、まだ経験が足りないと話しています。
おそらく、スタンダードを手がけるのは30歳を過ぎてからになりそうですが、
とても期待が持てる話だと思います。

 ということで、外見から想像するような人ではなく、とてもストイックで努力家であることが伺え、
益々ファンになってしまいそうです。
個人的には、人間性は音楽には反映しないと思っていますが、
彼女場合には、内面の美しさが、音楽にも反映されているかもしれませんね。

上原ひろみ サマーレインの彼方(幻灯社2005年10月25日 第1刷)
文:神舘和典 写真:白土恭子










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Last updated  2006年05月12日 20時34分18秒
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