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カテゴリ:本
いろいろと、新たな発見もありました。 まず、天才女性ピアニストと騒がれていますが、 実は、彼女の信条は「努力、根性、気合い」だというんですね。 まるで、どこかの大学の体育系の人間の信条と間違えてしまいそうです。 絶え間のない努力を続け、今の彼女ができているということがよく分かります。 まず、一番優先されるのがピアノを弾くことができる環境と、 最大限ピアノを弾く時間を確保することにありました。 高校(浜松北高校)では昼休みに、学校のホールでいつもピアノを弾いていました。 大学(法政)では、ピアノを弾く時間を確保するために、 アルバイトを自宅から出きるだけ近いところを選び、 将来のための英会話を習うにしても、 自宅から最も近い、横河電機の英会話教室に頼み込んで入らせてもらうなどの、 普通の人では、とてもそこまではやらないようなことをやりました。 バークリー音楽院でも、学内コンサートで、出来るだけアピールするために ポスターを沢山作ったり、ビラ貼りを禁止されている、学内の掲示板に、 剥がされても、何度も貼ったりと、 目に見えないところでの努力は、並みたいていではありません。 あの髪型にしても、みんなよりも目立つことを考えてのことだそうです。 アーマッド・ジャマル、オスカー・ピーターソン、チック・コリア、 矢野顕子、現在のバンドのメンバーなどとの出会いのエピソードなども盛りだくさんで、 上原ひろみの人となりがよく分かります。 一言で言って、根性あるな~と思いました。 演奏だけ聴いていると分からないことが、この本を読むことによって分かることがあります。 例えば、通常だと録音作業は、スタジオに入って、曲を作り、リハーサルをして収録する、 という手順を踏みますが、彼女の場合には、曲を作ってから、ツアーなどで、演奏を熟成させ、 その後に録音というプロセスをとっています。 こうすると、演奏の練度が増し、よりよい演奏を収録することが出来ます。 彼女の目標は、「リスナーの心がぶるっと震える」ような演奏をすることだそうです。 スタンダードに対する気持ちにしても、作曲家への敬意が強く、 曲の内容を完全に理解するには、まだ経験が足りないと話しています。 おそらく、スタンダードを手がけるのは30歳を過ぎてからになりそうですが、 とても期待が持てる話だと思います。 ということで、外見から想像するような人ではなく、とてもストイックで努力家であることが伺え、 益々ファンになってしまいそうです。 個人的には、人間性は音楽には反映しないと思っていますが、 彼女場合には、内面の美しさが、音楽にも反映されているかもしれませんね。 上原ひろみ サマーレインの彼方(幻灯社2005年10月25日 第1刷) 文:神舘和典 写真:白土恭子 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年05月12日 20時34分18秒
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