「更級(さらしな)日記」を研鑽-8
「乳母は優れた才能が求められる」 「Dog photography and Essay」では、愛犬ホープと歩いた道と「愛犬もも」との物語を公開してます。宮仕えを始めてより一年後、藤原家に仕える男性にみそめられ結婚。翌年34歳で出産した。夫の名は橘俊道で奈良時代からの名家であるが源氏の君のような、ときめきはなかったようである。34歳で出産とは驚く。まもなく孝標の娘の夫は豊かな下野国の国司に抜擢され、大事に育てた姪が関白の元へ宮仕えする事になるが、いずれも孝標の娘の働きに報いたのだろう。この時代の人事は高貴な人たちのさじ加減で決められ孝標の娘も現実的な報酬と言うもの、具体的には一族の出世に期待していくという形に変わった。物語で人生を切り開いていく孝標の娘は、ある野心を抱くようになる。更級日記にも夢は皇太子の乳母になり帝の庇護をたまわりたいと書き綴る。皇太子に父を与える乳母は教育係でもあり優れた才能が求められる。皇太子が成長し天皇となれば乳母は秘書である典侍(ないしのすけ)となり朝廷の人事に影響力を持て、皇太子の乳母になる事は羨ましがられた。頼通は当時皇太子親仁親王の後見をして、頼通の姪との間に皇子が生まれれば孝標の娘が乳母に選ばれる可能性が出て来るが、思うようにはいかなかった。