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2005年11月19日
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カテゴリ:国内政治
民間の資本蓄積が進んでいない発展途上国では、
政府が金融事業を行った方が効率がよいという見方が一般的。
政府系金融機関は日本固有の制度ではなく、多かれ少なかれ、どの国にもある制度。
日本でも戦後の復興期に開発金融が有効に機能したのは事実である。

しかし日本経済が成熟し民間資本の蓄積が進んだ現在、
政府系金融機関の存在意義が問われているといえる。
報道によると、8つの政府系金融機関は「個人・零細企業」「中小企業」「海外向け」など
機能別に3つ程度に整理・統合されることが検討されている様だ。

整理・統合後の政府系金融機関は、民間では提供できない事業にファイナンスを行う予定。

つまり、現在の日本にも「市場の失敗」が存在し、
貸付市場における失敗を補完するために政府系金融機関が活躍するということが前提となっている。

たしかに貸付市場でも「市場の失敗」は発生すると思われる。

例えば零細企業に資金需要があったとしても、
民間銀行では零細企業の信用力を評価することができなかったり、
信用評価にかかる費用がかかりすぎたりして、資金需要があるのに資金が回らないといったケース。
こうした場合には政府が貸し付けを行う意義があると考えられている。

しかし、民間金融機関が評価できない審査を政府が適切に評価できるか?
適切な評価ができないのに政府が貸し付けを行えば、いつかは不良債権となるわけだ。

つまり貸付が不足するという「市場の失敗」が、貸付が増えすぎるという「政府の失敗」に置き換わるだけ。

「政府の失敗」は国民の資産の焦げ付きに転じ、しわ寄せは国民にくる。

政府による貸付は、民間金融機関による貸付に補助金を加えたものに過ぎない。
ならば、貸し付けの審査を民間金融機関が行って、政府は利子を補助するだけという考え方もできる。

「市場の失敗」を上手く補完する工夫が求められているのではないか?

政府が民間金融機関よりも優れた審査能力を持っているとは思えないので、
政府系金融機関が中小企業金融を直接実施する意義は低いのかもしれない。
むしろ、もっと民間ベースでは提供しづらい分野、
すなわち環境や高齢化、教育分野等に政府系金融機関が活躍するフィールドがあると考えられる。


<完>

長々と特別会計から引き継いで政府系金融機関の問題を取り上げてきましたが
ここで、ひとつの区切りとさせていただきます。 また時事で取り上げたいと思います。

(過去の関連日記)
特別会計  パート4 ~政府系金融機関~政府系金融機関  パート 2
政府系金融機関  パート 3政府系金融機関について パート 4


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最終更新日  2005年11月19日 10時36分47秒
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