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カテゴリ:日本民俗・宗教哲学
< 自然神、統御神 > 人が死後、子孫に祀られて祖神になるという生き方は、自然の摂理・宇宙の法に もとづく、理想的な生き方とされていた。 さらにこうした宇宙の法、自然の摂理を神格化することも認められた。 宇宙や自然の運行を象徴する統御神とでもいうものが想定される。 この統御神は、月や雷、風や山など自然現象を支配する神々を主導して人間生活を 守るが、時には風水害などをもたらす自然神の性格ももっているといえる。 < ルートからはみ出た死霊 > 水子の霊や幼児の死霊、怨霊、幽霊などは、当人がそれを強く望んだと思われるにも かかわらず、先のルートを経て神になれず、外にはじき出されたものだ。 そこで、これらの霊は、人間や死霊・祖霊・祖神を外側から包み、これを 規定する自然神の庇護の元で、他界での生を送ろうとする。 風車に宿る水子の霊、霊山の賽の河原の幼児霊、雷や星と化した霊、 川辺の柳の幽霊や妖怪、これが自然神に抱かれた彼らの他界の生なのだ。 それだけでなく彼らは、自然神と結託して、自分をこうした状況に追いやった ものに祟りをもたらして、彼らを不幸に陥れるのだ。 特に怨霊は、自然神と結託して落雷・地震など天災をもたらしたのである。 < コスモロジー > こうした災厄を免れるためには、障をもたらしている死霊を供養して 今一度、ルートに戻したり、祀り上げて守護神化することが試みられた。 他界とされた霊地の社寺に七五三・入学・結婚式の絵馬や人形をおさめて 幼児霊を供養したり、幽霊のために法要を行うのはルートに戻す営みである。 また御霊神を祀る神社を創祀したり、戦死者を靖国神社に祀ったり 妖怪のために小祀をつくるのは守護神化の例であると思われる。 このほか、山岳などで修行して統御神や自然神の力を獲得した山伏などの 民間宗教者に障霊による災厄の除去が求められもした。 こうしてみると、日本の民俗宗教は、基本的に宇宙の摂理に基づいて 統御神・自然神(大宇宙)と、人間や祖先神(小宇宙)が、ある時には対峙し またあるときには補完しあい、さらには同化するところに、人々の生活があると する宇宙観が認められる。 *次回からは、最終テーマ、「死」・・・です。 ↑ ↑ 下が滑りやすくなっています、事故には気をつけてください。クリックを。 一 夢 庵 風 流 日 記 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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