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所謂フランスの「ウィットと洒落たセンス」の9作品。
3/22、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ。 日本の短編映画と違う点は、「笑い」に重点を置いた作品が多い事ですかね(日本は「情緒」の方向)。 また、今回「は」なのかも知れませんが、「洒落たセンス」の方も、“とんがった”物が多かったような気がします(日本は無論、東欧の短編アニメーションなんかでも、「しみじみ」や「渋さ」志向の作品が結構あるんですが。フランス人は根がラテン系だからなのかも知れません)。 短編映画はあまり記録する人がいないようなので、粗筋、感想を少し(以下ネタバレあり)。 『燃えよプチ・ドラゴン(LE PETIT DRAGON)』監督:ブリュノ・コレ 8分15秒 クレイアニメーション。 不思議な線香の煙を吸って、ブルース・リー人形が動き始めます。オタク風の部屋で大冒険。ガンダム風ロボット人形との戦い。コミカルな人形の動き。随所に、ブルース・リー映画のパロディ。 一寸興味深かったのは、往年のハリウッド映画(アメリカ文化)関連の小物玩具の扱われ方。オタク部屋ではベッドの下、埃をかぶってしまわれていました(そこをブルース・リー人形が探検)。 フランスの若者が惹かれる文化は、カンフーや日本のアニメといった完全にアジア方面である、という事なんでしょうね。 『ひよこちゃん、いくら?(UNE PUTE ET UN POUSSIN)』監督:クレマン・ミシェル 15分00秒 実写(ヒロインは「人気シンガーのイエレ」だそう)。若い男女のひと時の出会いと別れ。 早朝。だだっ広く何もない田舎の一本道。一台の車から若い女性がほっぽり出されます。「私を売春婦だとでも思っているの!!」。 ほうり出された娘、仕方なくバス停のベンチに腰を下ろします。そこをジョギング中年男が通り過ぎ、また引き返して「君いくら?」。若い女性「ムカッ。私を(略)」(この女性のファッションはミニスカートのビッチファッションとでも言うべきものなので、誤解される訳です)。 早朝の田舎なのでバスは幾ら待っても来ません。 そこへ、奇妙な物が向こうから。ひよこの着ぐるみを着て、自転車を漕いでいる青年(?!)。 娘は一瞬あっけに取られますが、直ぐに後ろに乗せて欲しいと頼みに行きます。 青年、にべもなし「お金も興味もないんだ」。「ムカッ。私を(略)」。 ここで、会話から二人の境遇の種明かし。娘の方はベッドを断ったら放り出されれ、青年の方は泥酔中、悪友に服を盗まれ、身につけられるものは「ひよこの着ぐるみ」だけだったという事。 青年は娘を後ろに乗せ、自転車を町まで漕いで行きます。 途中二人は雨に降られます。優しい青年は、その格好じゃ寒いだろうといって、上に着ている物を被せてあげます(ってそれは「ひよこの着ぐるみ」の上半分だろうが(笑)。 町に着くと、二人はそのまま別れますが、一寸振り返り、お互いの名を名乗ります。 淡い恋の始まりと終わり。 「ひよこの着ぐるみ」の「黄色」と、フランスの片田舎は早朝の「灰色の混ざった緑」。コントラストが良い。 『7.57 am-pm(7H57 AM-PM)』監督:シモン・ルルーシュ 10分50秒 実写。淡々としたドキュメンタリー風。 人々で賑わうパリの地下鉄。そこでヴァイオリンで奏でる大道芸人の青年。ほとんど聞き入る人はいません。人々は無視して通り過ぎます。淡々と、黙々と演奏し続ける青年。 場面一転、大きなコンサートホール。ヴァイオリンの演奏会。聞き入り、感涙する多くの聴衆。 演奏しているのはなんと、先ほどの青年でした。彼はフランスを代表する超一流の演奏家だったのです。 ここでテロップ。この話は実話に基づくものだそうです(一流の演奏家がストラディヴァリウスで演奏しても、ほとんどの人が無視)。 悲しいものですね、人間って。 (「こち亀」に、一流のアーティストに商店街のイメージソングを演奏させるギャグがあった事を思い出しました。気づく奴がいたら、凄い衝撃を受けるだろうな、という話。こっちは「無駄に凄い」。馬鹿馬鹿しいものでもありますね、人間って。) 『雨がやむまで(EN ATTENDANT QUE LA PLUIE CESSE)』監督:シャルロット・ジュリア 8分53秒 劇映画。9本の短編映画中、明確にオチがあったのは本作品のみ(もっと多いかと予想していた)。以下オチを割ってますよ。 突然のにわか雨。中年女性が建物(石造り。公共機関風)のポーチの下に駆け込みます。しかし、奥には先客が。中年男性「失礼、驚かす気は」。 濡れた女性を気遣い、上着を着せ掛ける中年男性(おぉ、流石フランス男ですな。初対面でもさり気なくジェントルマン)。女性の胸元に目線が行って、一寸どぎまぎ。 女性の方も寄ってきます。男性の背中に手をやる女性。二人は見つめ合い、やがて顔を近づけ、キス寸前(幾らなんでも急すぎないか。男女の目と目が合えば、即、恋の炎が燃え上がるのか。恐るべし、「恋の国、フランス」)。 ここで、いきなりチャイム。子供達の歓声。ここは小学校なのでした。慌てて離れる二人。「パパ~」の声と共に中年男性に一人の子供が駆け寄って行きます。「パパ~、今日はお絵かきしたんだよ。」。子供を抱きとめ、いとおしげに見守る中年男性(うんうん、浮気はイカンです。キス直前で終わって良かった、良かった)。 子供は楽しそうに話を続けます。「これはパパ。これはママ。これは鹿さん」。 そして、その坊や、今度は「ママ~」と言って駆けて行きます。駆け寄った先は、先ほどの中年女性(ガッ?!( ̄□ ̄)。 「では、X曜日まではそちらで」と中年女性。去っていく父親と子供を見送ります。寂しそうな嬉しそうな少し複雑な表情。 二人は別れた元夫婦なのでした(交代で親権を行使している訳ね)。 やられた。先入観で、「これは劇映画だし、おフランスだから、初対面でも即キス寸前という誇張した展開なのだろう」と思っちゃいました(流石に、おフランスでもこれはないか)。 洒落てます。その上、男女の深い機微のようなものも描かれています(「嫌いになった訳でなくても別れる」という事は“大人”ではあるからね)。 その上、フランスの社会構造なんかも伺えます(離婚率以前に事実婚が多いのだ)。 ただ、「子はかすがい」という古い考え方も見直すべきだと思いますが。 (2)に続く 「フランス生まれの梅酒」だそう。確かに「梅のリキュール」なら梅酒だな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月30日 07時13分10秒
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