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『犬の鼻先におなら』

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2012年04月23日
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二度と読みたくないのに、何度も読んでしまう絵本。ユーモラスとグロテスクは表裏一体。

 30頁程の大変短い絵本です。そしてユーモラスであると同時に不気味な本です。

 作者エドワード・ゴーリーは有名な“大人の為の絵本”を数多く出している作家で、世界中に多くのファンが存在しています。
 どの作品も、大変きめ細かい線で描かれたモノクローム線画で、登場する人物(生き物?)は皆とぼけたような造形。
 そして、大抵は不気味。筋もしばしば不条理で残酷であったりします。
 (「この“味わい”は間違いなく英国人」と思ったら、米国人でした)


 実は私、この人の本を読むの、イヤなんですよね(笑)。気持ち悪いんですよ。何回読んでも気持ち悪い。

 話の不気味さ、不条理さ、“非(「反」ではない)”道徳的展開はそれ程でもないのですが、絵がなんとも言えず、薄気味悪いやら気持ち悪いやら。
 どこがどうと言えない薄気味の悪さ(「どこがどうと言えない」事自体がもう既に気持ち悪い)。
 
 世の中には不気味な絵が多く存在しますが、そういった絵の「気持ち悪さ」とは違います。それらは恐怖や嫌悪感を意図して描かれている訳で、意図がある以上造形的に計算されていて、そういう意味では実は気持ち悪く“ない”。

 この人の絵は違います。そういう「不気味さ志向、キンキー趣味(大抵は「肥大化した自意識」ちゃんの作品)」の意図が感じられない。寧ろ進んでユーモラスに描こうとしている。精魂を込めてユーモラスに、ニコニコと。

 でも、薄気味悪い。
 これ東洋人には出せない味わいの絵じゃないでしょうか。
 何百年も前からある古びた石造りの館の、碌に日が射さない黴臭い部屋で、その館の主人から愛想良く勧められた紅茶。砂糖が入っているので甘いのですが、なにかくすんだ様な、変な味がする紅茶。そんな絵。

 表面には出ていない所で、間違いなく、何か“発酵”しています。
 発酵していて、時々表面に小さな泡がぷくり、ぷくりと...。

 なんともイヤな感じです。
 イヤなんですが...。

 読んじゃう。読んでしまう(笑)。何回も読み直してしまう。
 そして読み直す度に、「あぁ、この人の絵はやっぱりイヤだ、あぁ、やっぱり気持ちが悪い」と、再確認、再々確認。

 くさやの干物とか納豆のような“魅力”なのでしょうか。


 本作品に筋らしい筋はありません。不条理な世界で、ネタバレも何も無いだろうから書きます。

 全頁、画面は全て固定された風景。庭木、茂みの描かれた庭に、右手、煉瓦造りの壁と窓。窓には子供らしき人物(一寸、吉田戦車の描く極端に簡素化された人物像に似ている)。
 そして下に意味のない、呪文のような囃し言葉のような出鱈目アルファベット。

 1頁進む毎に、この庭に生物らしき物が一匹ずつ登場していきます。

 最初に蟻(?)が登場。子供の体ほどもあります。
 手足を広げてポンッと飛び出したような姿。ユーモラスです。
 
 でも、気持ちが悪いの。本物の蟻に比べ明らかに手足が長過ぎます。これが気持ち悪い。手足のバランスが気持ち悪い。そのバランスの悪い手足が絡んで描かれていて気持ち悪い。

 次に蛙。
 これも気持ち悪いの。本物に比べ妙に長細い身体つき。それがイヤなの。腹が白い所は本物と同じなんだけど、それも気持ち悪い。

 その次に何だか判らない生き物。
 蜥蜴の様だけど、菱形模様なの。その模様も気持ち悪いし、頭がバランス悪く大きいのも、目が点でしかないのも、皆、気持ち悪いの。

 以下、よく訳の判らない生物状の“何か”が茂みから、地面から、上空から、登場していきます。
 
 登場して何かしています。踊っているのでしょうか、組体操をしているのでしょうか。判りません。
 判らなくて、これまた気持ち悪いです。
 
 そして、その怪風景を見て手を叩いて喜ぶ子供(?)。
 無表情で喜んで(?)います。

 と、突然、上空を隕石の様に、生首(?)が通過。

 怪生物達は、あわてて一匹、又一匹と姿を消していきます。

 終わり(?)。
 
 
 全編ユーモラスである分、逆に気持ちが悪いです。

 「ユーモラス」と「グロテスク」、「笑い」と「恐怖」。
 呼び方が違うだけで、本質は同じ物なんじゃないでしょうか。 


 うなされそうです。
 助けてください。





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最終更新日  2012年04月23日 20時48分25秒
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