猪瀬直樹東京都副知事の東電批判
……東電を中心とした電力会社の問題点と改善策は「これまでの9電力会社体制は安定した電力供給だったが、原子力発電所事故でできなくなった。だから、9電力体制を見直す必要が出てきた」「経済産業省はあくまで責任官庁としての立場。産業界を代表して言わなければならない立場の経団連も、重厚長大の大型企業にとって東電はお客だ。自民党はかつて族議員がおり、民主党も労働組合から金が入り、票田でもあった」「政治も霞が関も経済団体も機能していない。都は83万キロワットを使うユーザーだ。株主でもあり、責任をもって問題提起していく。関電は事故を起こしていないが、東電同様、ガバナンス(企業統治)は緩い。独占体制がガバナンスを緩めており、このままでは今後も事故が起きる可能性がある」 ……9電力体制を変えるためには「関電は大阪にやってもらう。東京も中部電力に都庁舎の電力供給を依頼するなど、揺さぶりをかけた。9電力同士でも競争があることを打ち出すことで、身が引き締まる」 ……大阪市の橋下市長が「原発に距離を置こうというのが国民の認識。関電に伝 えたい」と発言している「原発を認めない、とでも言わないと関電は議論のテーブルに着かない。橋下市長も即座に原発を全部止めろとは言っていない。ただ、大阪は原発からの距離が100キロ、東京は250キロで危機感の差はある」 ……副知事の原発、そして再稼働への考え方は「ガバナンスを一刻もはやく取り戻さないと危険。ただし、原発を全部つぶしてしまえというのではなく、技術は残していかないと廃炉もできない。感情的になってはだめだ」「9電力体制を今のままではない形にしなければ原発は管理できない。津波があり千年に一度の大地震だったから世界は同情してくれたが、もし日本で再び事故が起きたら、日本は世界に見放される」 ……6月の株主総会にはどう臨むか。ほかの自治体との連携は「ガバナンスの問題や電力の供給責任、東京湾にある老朽化した火力発電所を更新するかどうかなど、きちんと主張する。大阪は橋下市長がいるからいいが、他は…。先日、愛知県の大村知事が来たが中部電力の株は愛知県も名古屋市も持っていない。とりあえずは、東の横綱と西の横綱相手にやっていく」 ……都として、東電に社外取締役を派遣することについては「役人ではない人物を送り込みたい。いま石原慎太郎知事と相談しているところだ」(産経新聞インタビュー「猪瀬直樹都副知事に聞く」)