薔薇と十字架 第48話:宣戦布告
「あなた、お待ちなさい。」ミシェルが部屋に戻ろうとすると、背後から声をかけられた。振り向くと、そこには肩をいからせたユリウスの部屋で会った黒髪の令嬢が自分を睨みつけていた。「あなた、ユリウス様とはどういう関係なの?」「ただの友人です。」ミシェルは令嬢を睨みながら言った。「わたくしはマリアンヌ。ユリウス様の婚約者です。この際言っておくけれど、ユリウス様はわたくしのもの。ユリウス様を奪おうとしたら、殺しますわよ。」令嬢の脅しに屈するものかと、ミシェルは令嬢を睨んだ。「僕はユリウスを諦めるつもりはありませんから。僕はユリウスのことを愛していますから。」「まぁ、卑しい孤児風情がわたくしからユリウス様を奪うおつもり!?」マリアンヌは目の前に立っているブロンドの天使を睨んだ。「ええ。どうやらユリウスはあなたのことを嫌っているようですし。」「お黙り!」マリアンヌはそう言ってミシェルの頬を打った。負けるものか。ミシェルはマリアンヌをキッと睨んだ。「僕はあなたに負けません。」「望むところよ!」マリアンヌはそう言ってドレスの裾を払って去っていった。