大和の鴨社
高鴨神社奈良県御所市大字鴨神高鴨神社公式HP ■御祭神 阿治須岐高日子根命(あじすきたかひこねのみこと) (迦毛之大御神・かものおおみかみ) 阿治須岐速雄命 事代主命 下照姫命 天稚彦命 参拝は8月2日でしたが、まだ茅の輪が残っていました。この神社では、夏越の大祓を7月末に行ったようです。神社では、大和の名門・鴨一族が守護神を祀った神社とし全国鴨(加茂)社の総本宮であると称しています。京都の鴨一族もここがルーツであるとの見解なのでしょう。上賀茂神社(賀茂別雷神社)、下鴨神社(賀茂御祖神社)もこの高鴨神社が総本宮であると御由緒に書かれてあります。 しかし葛城の鴨氏と山城の鴨氏は、別の氏族または関連の薄い氏族であるとも言われています。第一、それぞれの御祭神が全く異なります。神の系譜にも共通点が見受けられません。 この神社の御祭神は、あまり馴染みのない神ですが古事記の「国譲り神話」の一場面に登場します。高天原による葦原中国平定は、2度失敗しています。最初に使わされた天菩比神は3年経っても復命せず、次に派遣された天若日子神(天稚彦命)も、派遣されるとすぐに下照姫命を妻にして8年間復命しませんでした。結局、天若日子神は高御産巣日神と天照大神から賜った矢に当り死んでしまいます。親しい友人としてその弔問に訪れたのが、阿治須岐高日子根命でした。天若日子神と阿治須岐高日子根命は姿がよく似ていて高天原から駆けつけた天若日子神の両親でさえ見間違えたと記されています。ひょっとしたら、阿治須岐高日子根命は天若日子神だったかも知れませんね。高御産巣日神と天照大神のお咎めを恐れた天若日子神が身代わりを立てて阿治須岐高日子根命という別の神になりすました・・・。私の個人的な妄想ですが。 古事記によればこの阿治須岐高日子根命と下照姫命は兄妹の関係。二人とも大国主命と宗像の奥津宮の女神、多紀理毘売命の子です。阿治須岐高日子根命(あじすきたかひこねのみこと)の「すき」から農耕の神であることが伺えます。 『延喜式』神名帳では葛城氏の祖神を祀る高天彦神社と同様名神大社という高い社格が与えられていました。御由緒によれば、ここは大神神社や大和神社と並ぶ古社であり、弥生時代から続く祭祀の場所だそうです。 境内はとても静かで神聖な気が満ち溢れていました。境内を歩くだけで、体中が癒され清められる感じがします。例えが悪いですが、酸素吸入を受けたような気がしました。(酸素吸入は未体験ですが・・・)この神社がある丘陵部から平地に移った一部の鴨氏が葛木御歳神社、鴨都波神社を祀ったと伝えられています。そのためここを上鴨社、御歳神社を中鴨社、鴨都波神社を下鴨社と呼ぶそうです。 鴨都波神社(かもつばじんじゃ)奈良県御所市宮前町鴨都波神社公式HP ■御祭神 積羽八重事代主命(つわやえことしろぬしのみこと) こちらの御祭神も、大国主命の子。そしてこちらも高鴨神社同様、名神大社。三輪山と並び、大和の中でも最も古い祭祀の場に出雲系の神が祀られていることは興味深いです。ただし阿治須岐高日子根命の母は多紀理毘売命なので、天照大神の孫と言えないこともありませんが。 本殿国道24号線沿いにあり、駅からも近いのでわかりやすい場所です。しかし国道からはこんもりとした森しか見えず、ナビがない頃はずっと古墳だと思っていました。神社の東に広い駐車場がありますが、国道からそこに行く道は狭くうっかりしていると通り過ぎてしまいます。中鴨社と呼ばれる葛木御歳神社は、未訪問。リサーチ不足でした。残念です。 「龍水御朱印帳」掲載寺社索引 .