豊受大神宮の別宮
豊受大神宮には4つの別宮があります。外宮の宮域内には多賀宮、土宮、風宮宮域外に月夜見宮があります。宮域の別宮3社は、先にご紹介した「亀石」と呼ばれる石橋の先にあります。 先ずは石段を上って、外宮第一別宮の多賀宮(たかのみや)に向かいます。小高い丘の上にあったことから、古くは高宮と呼ばれたそうです。この石段は98段。風宮や土宮を見下ろすことが出来ます。 意外と知られていない、「寝地蔵」と呼ばれている石。石段を上って、多賀宮に続く参道にあります。この日も、ここで足を止める参拝者は一人もいませんでした。微笑んでいるようなこの寝地蔵さま。見る角度によって、少し表情が違います。多賀宮前の道の谷側を見ながら歩くと、簡単に見つかると思います。 御祭神は 豊受大御神荒御魂(とようけおおみかみのあらみたま)御正宮・御祭神の荒御魂を祀る神社です。早朝から多くの参拝者が訪れていました。 早朝の参拝は清々しく、心が洗われるような気がしました。こうしてブログの記事を書いていても、その時の気分が甦ります。 多賀宮から石段を下りながら、右手には風宮(かぜのみや)が見下ろせます。宮域で、こういう光景が見られるのはここだけです。 風宮の御祭神は 級長津彦命(しなつひこのみこと) 級長戸辺命(しなとべのみこと)元々は小さなお社だったそうですが、蒙古襲来(元寇)の際に「神風」によって敵を撃退したご神威により別宮に列せられることになったそうです。 神宮の別宮は、どれも同じようにも見えます。お恥ずかしい話ですが、私が神社巡りを始めた頃そう言った理由から、別宮にあまり注目する気持ちが湧きませんでした。もちろんそれぞれ御神気は違います。年々それぞれのすばらしさに魅せられ、今回は14全ての別宮に参拝しました。 石段の正面に鎮座するのは 土宮(つちのみや)。御祭神は 大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)です。ちゃんと確認したわけではありませんが、この神様は古事記や日本書紀の神話で見かけた記憶がありません。この土宮だけが東を向いて建っています。元々はこの辺りの土地の守護神だったとも言われています。 ところで、神宮の各宮には黒い石と白い石が敷かれています。「お白石」は宮川から伊勢の人々が持ち運んだもので、特に神聖な場所に敷かれるそうです。一方黒い石は「清石(きよいし)」と呼ぶそうです。黒と白は陰陽、天地、男女のシンボルとも言われ古来は目出たい組み合わせだったそうです。現在は紅白が目出たいとされていますね。しかし神宮では、今も祭事などでは黒白の幕が使用されるそうです。 外宮の別宮はもうひとつ、宮域外に月夜見宮があります。月夜見宮については別の機会にご紹介したいと思います。 .