元伊勢 阿紀神社
奈良県宇陀市大宇陀区迫間通称 神戸大神宮 ■御祭神 天照大神 折りあるごとに、元伊勢と呼ばれる神社を訪ね歩いています。この阿紀神社もその1社で、古くは宇多阿貴野宮と呼ばれていたそうです。神社御由緒によれば、創建は神武天皇東征の頃であるとのこと。この地を開拓したのは須佐之男命の子孫、秋毘賣命と伝えられています。秋毘賣命は相殿神として祀られています。 開放的で心地よい境内です。鳥居の向こうに見える丘の中腹に、古殿地があるそうです。かつては阿紀神社でも式年遷宮が行われていたとのこと。境内にいたご年輩の女性から「薪能があるので来てください」と声をかけられました。「はい」と答えましたが、いつ行われるのかと尋ねると6月とのこと。8ヶ月も先の話です。 この能舞台は、神社境内にあるものにしては本格的。地謡座、アト座、そして橋掛かりもあって、能楽堂とほぼ同じ造り。薪能と言えども、きっとすばらしいお能が観られることでしょう。阿紀神社の薪能は「あきの蛍能」と言われ、数百匹の蛍が舞台から放たれるのだそうです。蛍の光は、幽玄な能をさらに盛り上げることでしょうね。 カジュアルな出で立ちだったので定かではありませんが、宮司さんと思しき方からこの神社について、丁寧なご説明を聞かせていただきました。毎年200~300の神社を廻っていますが、こんなことは初めてです。皆さんのブログを拝見していると、よく御神職とお話しされたことが書かれています。私には、だいたいどなたも近寄って来ません(ナンデ?)宮司さん(?)は近々、古殿地も整備しようかと思っているとおっしゃっていました。 倭姫命は、この宇多阿貴野宮に4年間奉斎されたとのこと。本殿は銅板屋根ですが、神宮と同じ様式の唯一神明造り。素木造りの社殿は、神門と瑞垣に囲まれています。 阿紀神社のすぐ近くに、万葉公園・かぎろひの丘があります。ちょっと期待していましたが、さほど眺望は良くありませんでした。季節や時間帯によっては、人麻呂が詠んだ歌のような光景が見られるのかも知れません。毎年旧暦の11月17日にあたる日(現在の12月中旬)に「かぎろひを観る会」が行われるそうです。 ひむがしの 野にかぎろひの立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ .