第52話 これ面白いね その2.
さて、変化の杖でひとしきり遊んだ後、あたし達はグリーンラッドに移動したわけだけど。 「やっと戻ってこれたね」 「あぁ、意外に時間くっちまったな」 「でも、これで少しだけ進展ですね」 「そうだね、これで5つ目のオーブに1歩近づいた、って感じかな」 と、いうわけで。あたし達は変化の杖でピチピチギャルになりたいとかのたまった変態・・・げふんげふん、気持ちの若いお爺さんの待つ家の中へと入っていった。 「お爺さん、ただいま」 「おぉ?おぉ?お前さん方はこないだ来た旅人か。して、どうじゃった?」 「あぁ、バッチリもらってきたぜ」 変化の杖をお爺さんの方へ見せてあげると、一気にテンション上がった感じの反応を示したよw 「おぉおおおおお!?これがあの夢にまで見た噂の変化の杖か。これでワシも憧れのピチピチギャルになれるんじゃな」 すんごい喜んでるけど、動機が不純なんだよなぁ・・・w でも、ここまで喜んでくれるのを見るのは素直に嬉しいんだけど、複雑な気持ち。 それはカリストもミラも同じっぽい? 2人ともお爺さんの様子を見て苦笑してたもんw でもさ、そんな理由でここまで喜ぶお爺さんだもん、サマンオサの偽王みたいに悪さに使うっていうことはなさそうちょっと一安心。 「で、これはどうやって使えばいいんじゃ?」 「使い方は簡単ですよ、なりたいモノを具体的に思い浮かべて強く念じながら振るんです。そうすれば変身できます」(ただし、なれるかどうかは知りません 「ほほう・・・なるほど、なるほど」 「1回試しに使ってみたらどうかな?」 「それもそうじゃの」 そう言ってお爺さんは変化の杖をひと振りしてみたよ。 「どうじゃ?変わったかの?」 「あぁ、バッチリだ」 「凄いですね、まさか一発でキチンと変身出来るとは思ってもいませんでした」 「お爺さん、そこの全身鏡見てみて」 「おっほぉおおおおお!こいつは凄いぞ」 色々とポージングをしながらも鏡に映る自分の姿に鼻の下をデレーっと伸ばすお爺さん。 結構な歳に見えるけど、まだまだ元気なんだねぇ。 すんごい喜びながら鏡を見てはしゃぐお爺さんにあたし達は船乗りの骨の事を中々言い出せずにいた。 まぁ、あたし達も似たような感じだったし、ひとしきり落ち着くまでは様子見ててあげようかな。 と、思ったけど、やっぱり5分くらいで変身が一旦解けるんだね。 「おや?もう効果はしまいか」 「うん、5分くらいで効果きれちゃうからねぇ」 「そうか、意外に短いんじゃな。だが、切れるならその前に重ねがけするか、またすぐに使えば良いだけか」 「おぅ、そうだな」 「それで、お爺さん。前にお話をした船乗りの骨なんですが」 「おぉ、そうじゃったな。変化の杖とこの船乗りの骨を交換するという約束じゃったな」 もうね、変化の杖が手に入ったのが相当嬉しいんだろうね、すんごい足取り軽やかに机の上に放置してあった船乗りの骨を手にするとあたし達の方へ差し出してきたよ。 「こんなモノを欲しがるとは、あんたらも物好きじゃな、ほれ、約束のモノじゃ。持っていきなさい」 「で、これってどうやって幽霊船までの距離と方角を見ればいいんだ?」 「ふむ、それはの・・・・・・」 お爺さんから船乗りの骨の使い方というか、見方を教えて貰った。 「それでは、ありがとうございました。失礼します」 「それじゃあね、お爺さん。あんまり無茶な使用はしたらダメだよ」 「そんじゃな」 「本当にありがとう。そちらもご武運を」 お爺さんに一礼してから家を出たんだけどね? ちょっとだけ・・・ちょっとだけ中覗いてみようかな?w いや、だってさ。あんだけ喜んでたんだもん。絶対にあたし達が家を出た瞬間使ってるよ。間違いないw 多分、暫くの間はこれでずっとピチピチギャルになって遊ぶんだろうなぁ。 でも、女の人の姿になって何をするんだろ?いや、そこはあんまり深く考えない方がいいかw お爺さんの家を離れる前にちらっと窓から中を覗いてみたらね?うん、やっぱりもうすでに使ってたよw 「おほほ~、このボインボインたまらんのぉ。それにこの腰のくびれにでかいお尻。たまらんの~」 ・・・・・・・ うん、あたし達は何も見なかった、ことにしようw 「そんじゃま、行くとすっか」 「そうですね、あんまり覗いてると邪魔になりそうですし、楽しませてあげましょう」 と、いうわけで。あたし達はお爺さんの家を後にしたのだった。 第52話 これ面白いね その2.終わり 第53話 突撃隣の幽霊船 その1.へ続く