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カテゴリ:映画のお話!
誰かが行かねば、道はできない。
![]() かつて、こんな男たちがいた。 名誉のためでも利のためでもなく、誇りと命を賭けて挑む。 ただ地図を作るためだけに。 ![]() ↑剣岳公式サイト 陸軍の測量手柴崎芳太郎は考える。 軍の命令、それだけで自分は危険を冒してまで動いているのではない。 尋ねた先輩の測量手が、こんなことを手紙に書いて答えている。 「人がどう評価しようとも、何をしたかではなく、何のためにそれをしたかが大事です。悔いなくやり遂げることが大切だと思います」 『何をしたかではなく、何のためにそれをしたか』 マネー資本主義の現代に生きる我々に向かって強烈なメッセージだ。 偉くなりたい、金持ちになりたい、有名になりたい、私は、こんなことばかり考えていたのかもしれない。 何のためにそれをしたか。 この映画を先に観たオガチの会の人力屋神谷商店さんは、見事にこれを消化して、こう置き換えていた。 『誰』のためにそれをしたか。 私は、差し詰め「皆の笑顔を見るために、そして何より愛する人のために」なんて、答えたら笑われるかな(笑)。 『何をしたかではなく、何のためにそれをしたか』 このメッセージを、あなたはどう消化しますか?。 ![]() かつて、こんな男たちがいた。 そして、マネー資本主義の現代に於いても、まだこんなことをする男たちがいる。 この映画を観終わった時、あの黒澤映画を観た時のような爽快感があった。 ![]() 70歳を目前に初監督となった映画生活50年の名カメラマン木村大作が、熱く語る。 「やっぱり、たやすい道、厳しい道があったら、僕は厳しい方を選ぼうと思ってる。安易な道を行ったんじゃ、そこで終わりだと」 そして、こうも言う。 「美しさは厳しさの中にしかない」 CGや空撮を一切使わず、100年前の先人たちが命を賭けて挑んだ山道を、そのまま同じことを役者たちにも要求する。 ![]() 神々しいと言ってもいいような映像の美しさは、この厳しさの中から生まれたのだ。 改めて知ったことだが、若き木村大作は、黒澤明監督の撮影助手をしていたようだ。 『用心棒』で犬が人の手首をくわえて歩いて来るカットは、若き木村大作が撮影している。 特になんでもない場面のように見えるが、ピントの合う範囲が狭い望遠レンズを使用しているにも関わらず、カメラの方に向かって歩いて来る犬をぼけることなく完璧に撮影している。非常に高度な技能を持っていないと出来ない芸当であり、映画における名カットとして評価も高い。(Wikipediaの記事を抜粋) 自分の師匠は黒澤明だとしており、その影響を強く受けたことを自認しておられる。 私が黒澤映画の爽快感と同じようなものを感じたのは、自然なものだったのだ、と改めて納得した。 ![]() 主人公の測量手柴崎芳太郎を演じた浅野忠信、そして案内人宇治長次郎を演じた香川照之。 二人とも素晴らしかったですね。 特に浅野忠信には、感動しました。 誠実で淡々と仕事をする測量手柴崎芳太郎を見事に演じていたのだが、何よりその顔が実に良かった。 いわゆる今風のイケ面とかそんなことではないが、実にいい顔でした。 先輩の香川照之をして、武士の風格があったと言わしめている。 木村監督が、大俳優、大女優の条件として、こんなことを言っている。 「たたずまいだね。50年間映画やってるけど、正直いまだ演技の本当の巧い下手って分かんない。 俳優も女優も関係なく、いつも役者という肩書で見ず、人間として見てる。 オレはたたずまいに引きつけらる。 たたずまいの美しい人に、気持ちがスーッと入っていくね」 今作では特に浅野忠信にそれを感じたという。 以前一度書いたが、新聞の女優浜美枝さんへのインタビュー記事にこんなことが書いてあった。 「楽しくないなあ、と嘆いていた新人女優時代ですが、撮影所で出会った引退直前の原節子さんに強烈な印象 を受けた。 立ち振る舞いが神々しいほど美しく、すれ違う時には足が震えました。 姿勢が良く、見る者に意志の強さが伝わってくる。」 たたずまい、とはこのことだろうと思う。 浜美枝さんとか原節子さんとか言っても、知らない人が多いでしょうけどね(笑)。 浅野忠信のたたずまいは、私がひねたガキ?の頃、強烈な印象を持った市川雷蔵を彷彿させる。 おっと、市川雷蔵と比べるのは褒めすぎかな?(笑)。 まだ、雷蔵とまではいかないかもしれないが、彼のこれからが楽しみだ。 映画終盤、その浅野忠信が演じる柴崎芳太郎のモノローグで、こんな言葉が流れた。 『何ものにもとらわれず、何ものにもおそれず心のままに』 これは、私への強烈なメッセージではないか?。 最後に、こんなことがあろうとは?。 私は、日頃『何ものにもとらわれず、心のおもむくままに』に生きている。 いや、生きているとまでは断言できないが、心のおもむくままに生きたいと願っている。 あまりのインパクトに、胸が熱くなってしまった。 エンドロールで、『仲間たち』と書かれたキャストやスタッフ、そして関係者の名前がゆっくりと流れた。 『何ものにもとらわれず、何ものにもおそれず心のままに』 この強烈なメッセージが心に残り、映画の感動もあってか、柄にもなく不覚にも目頭が熱くなりかけ、その感情を打ち消すのに大きな溜め息を一つついた。 それではまた。 ![]() ↑剣岳公式サイト 今日は、ちょっと熱くなり過ぎて、映画の感想か何か分からない支離滅裂になってしまったぜっ。 日頃冷静?な私が熱くなるほどなので、皆さんも是非映画館へ足を運ばれますように。 私は映画会社の回し者ではないですが??? クリックしていただけると励みになります!!! ![]() オガチは、落ちても落ちても飛ぶのを諦めない鳥! 夢を諦めるのは早すぎるぜ! 『オガチの会』 『敗者復活戦』の物語を初めから読みたい方は⇒こちらへジャ~ンプ! ![]() 会社のサイトです。 こんな仕事をやっています。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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