猫森計画 しっぽの巻34 エピローグ and・・・
^..^ダイ(元人間) 猫森にて猫修行中 ここまでのお話 category猫森計画しっぽの巻 エピローグ ダイは 植木鉢をのぞきこんで 歓声をあげた。 植木鉢の中 ちょろん と 子猫のしっぽのような芽がでている。 やった。 しっぽの芽が出た! 人間に 戻って 三ヶ月。 毎日 猫缶持って 猫森へ 行く。 毎日 オレンジやどらやことらや 真夜に 会っている。 でも 物足りない。 猫缶を開けて のどをなでてやる。 そんなつきあいじゃなく 一緒に猫缶たべて 並んで毛づくろいして 共に狩りをする そんな仲でいたい。 だから 球根を植えて 待っていたんだ しっぽ芽を。 ダイは しっぽ芽をつまんだ。 そのまま 口に放り込み 飲み込んだ。 ちゅるちゅるん と しっぽ芽が ダイの体へ滑り落ちた。 ダイは 猫に 戻った。 いまでは しっかり道を覚えた猫森へと 駆ける。 真夜が 森番餌場にいた。 ダイをみて 目を丸くする。 「どうして?! 」 「しっぽ芽を飲んだの! また一緒に 狩りをしよう」 喜んでもらえるかと思ったのに 真夜は 「猫缶は? 」 「え? あ 持って来てないけど」 「猫に戻っちゃたら 猫缶持ってこれないでしょ どうするのよ この冬 あてにしてたのに ばかっ」 久しぶりに猫パンチをくらった。 爪の出ていない やわらかなパンチだった。 「しっぽ芽飲んで 猫になろう! 球根 あちこち 植えとくから!」 Dジュニア and・・・ 夜の屋根を ふたつの影が走る。 屋根から屋根へ飛ぶ そのしなやかで美しい姿態。 影が 地に下りた。 雲の切れ目から射す月明かりのなかで 影のひとつが立ち上がる。 黒のTシャツ ブルージーンズ 細身でしなやかな少年。 どこにでもいそうなその少年の瞳が緑に光ったのは 月光のいたずらか。 もうひとつの影が これもまた美しい動きで 少年の肩に飛び乗った。 つややかな黒猫だ。 「行くわよ ダイ」 「うん 真夜」 ささやきを 風が 運び去る。 ~ 伝説の猫又 D ~