今年も実践版シーカヤックアカデミー『瀬戸内カヤック横断隊』に参加してきました!
こんにちは!アウトドアーズ・コンパスの楠です。2017年11月19日(日)~11月25日(土)の7日間、今年も実践版シーカヤックアカデミーである『瀬戸内カヤック横断隊』で海を旅しながら知識と経験を学んできました。昨年と違って天候が悪い日も多く、北西の冷たい風と雨に苦しむ場面もありました。また、今年はコンパス、時計、スマートフォン、海図、GPSという航海計器を使わないと決め、太陽の位置と瀬戸内の島々を頼りにしながら、山口県の祝島から香川県の小豆島を目指しました。(夜の野営地、朝の出艇までは航海計器の使用は可)メンバーは10名 すべて男。初参加者は現在シーカヤックで日本一周中の飯山隊士(26才)のみでした。1日目 北西の風が10m以上あり、祝島から上関までの約3キロの海域はホワイトタイガーが襲いかかるような白波だった。何度も海を見て、離陸できるタイミングを計るが、夕方になっても風は強い。この日、15年の瀬戸内カヤック横断隊で初めての初日停滞となった。2日目 祝島から周防大島の南にある小泊の浜まで漕行距離48.6km。風は少し落ちついていたが、まだまだ残る。島を風除けにしながら進んだ。明るいうちに漕げるところまで漕ぐが、荷物満載のシーカヤックはまだ馴染んでない身体にこたえてくる。この日、僕は泊まったことが無い浜で野営できて嬉しかった。上関海峡を横断。大型船がよく通る場所。明るいうちに着陸。焚き火でウェアーを乾かす。3日目 小泊から広島県の上蒲刈島 恋が浜海水浴場まで漕行距離50.2km。僕がリーダーを任され、隊の指揮をとった。山口県の情島と諸島の間から愛媛県の津和地島へ渡る海峡は潮の流れが速い。時には海上がゴーゴーといいながら流れる場所だ。今回、素直な流れに入ったと思ったのだが、隊士1名が転覆してしまった。関東から参加した三澤隊士が冷静にレスキューをし、この場を乗り越えた。その後、先のしまなみ海道の潮回り等を考え、残された時間で小豆島へ着くためには、上蒲刈島まで漕がないと厳しいと判断した。視界良好と風の弱まり具合いから、広島県の倉橋島東から上蒲刈島へ向けて一気に海峡横断を選んだ。目的地に最低明るいうちには着くとしていたが、向かい潮の影響は大きく、はっきりと見えている上蒲刈島がなかなか近付かなかった。結果、着岸地点は分かっている中、日没になりヘンドランプとフラッシュライトを装備し、暗い海上を漕いでの着陸であった。18時だ。早朝の海。ご来光が嬉しい。山口県情島へ横断中。フェリーの往来があり、潮流を見ながら待機中。倉橋島から上蒲刈島へ横断。潮の流れと風を感じながら漕ぐ。4日目 恋が浜海水浴場から愛媛県の大三島 多々良キャンプ場まで漕行距離41.3km。午前中の中盤から雨が降ってきてどんどん天候が悪くなる中、大三島と伯方島の間にある鼻栗瀬戸を漕ぎ上がった。向かい潮になっていたが難関を越えられて、小豆島へ一歩近付いた。野営地では今回理由あって参加できなかった隊士が出迎えてくれて、焚き火と温かい汁をいただいた。この日は夜に雨が上がると予報されていて、明日からの風の強さを気にしながらテントで寝た。鼻栗瀬戸を漕ぎ上がり、多々良大橋が見えた。激しい雨にうたれる。5日目 多々良キャンプ場から広島県の百島 東側の浜まで漕行距離35.8km。天候回復と同時にどんどん北西の風が強くなってきた。しまなみ海道の多島を風除けとして利用し、潮流を考えながら東へ進んだ。お昼頃、西風がかなり強くなった為、小細島へ着陸し、風が落ちるのを待った。1時間ほど経つと少し落ち着いて離陸した。この日、瀬戸内カヤック横断隊の初ルートとなった尾道水道まで回りこんだ。太陽が出ていても冷たい風が強く、遠回りしながらも小豆島へ向けて距離をのばす。百島も僕は初の野営地だったので嬉しかった。多々良大橋を右手に生口島へ横断。ここも大きな三角波があり、早朝から緊張した。風を交わしながらジリジリ進む。時には一列漕ぎも。満越瀬戸から細い水路を漕ぐ。6日目 百島から広島県の走島 唐船の浜まで漕行距離19.8km。早朝は風も落ち着いていて朝日も綺麗に見えた。まだ風は強くない。広島県の鞆の浦手前から走島へ向かう際、空を見ると雲の動きが早くなっていた。風が強く吹く感覚がおりてきていた。一気に海峡横断をして笠岡諸島まで漕ぎたい気持ちはあるが、自然の流れに逆らえない。走島へ着いたころには思った通り、西風がビュービュー吹きだしてきた。走島へ着陸し、風が落ちるのを待ったが落ちない。何度も島を歩き、山の上から遠くの海峡を見ても出られないと判断し、15時頃に停滞を決めた。この時点で最終日の潮回り等を考えたら、小豆島までの距離は厳しいと分かった。百島の朝焼け。遠浅な浜で荷物満載のカヤックを運ぶことは筋トレだ。走島で風が落ちることを待つ。15時まではいつでも漕ぎ出せるように準備した。7日目 走島から香川県の海岸寺の浜まで漕行距離31.1km。着陸後に金刀比羅宮へ向かい、お参りしてのゴールとなった。走島から多度津町までは、過去に瀬戸内カヤック横断隊が漕いだことのない海域を選んだ。走島から南東の方角を選び、四国の庄内半島まで縦断、そして香川県の多度津町だ。庄内半島の岬では、小潮であったが向かい潮と西風がぶつかり、大きな三角波の中を漕いだ。ゴール地点を変えても最終日を簡単には終わらせない瀬戸内だった。隊もバラけてしまい、誰かがひっくり返ってもおかしくない状況になったが、なんとか潮目から抜け出し、無事に漕ぎきれた。その後も向かい潮の重たいパドリングで13時頃に着陸できた。7日間という決められた時間は、瀬戸内の約300kmを漕ぎきれる微妙な距離です。ほぼ毎日早朝から夕方まで約9時間を漕ぎます。しかもソロ(1人)でなくグループ(隊)という所で、一瞬の判断が重要になります。夜の焚き火はお風呂代わりで身体を温めてくれ、消臭効果も抜群であり、火は調理道具としても大活躍です。僕は毎晩の仲間と焚き火することが楽しみになります。瀬戸内の多島景観に魅かれながら浜でテントで寝ることや、7日分の食材と飲料を口にすることも良い感じです。焚き火ができるだけで贅沢で幸せだった。今回、僕の9度目の瀬戸内カヤック横断隊。初めて航海計器を使わない旅は、 太陽の位置と風、潮の流れを常に意識し、出きる限り自然の情報を集めていました。 気付けば空を見て、雲の流れや形も見る。 気付けば海岸の海水で濡れた位置、潮の上げ下げの感じ。 それらも確認しながら海の「気」を感じて航海ができたと思います。 第十五次も海から多くを賜った実践版シーカヤックアカデミーでした。 合計漕行距離226.8km 写真提供:三澤 昌樹 他 応援またご協力いただきました皆様、ありがとうございました!終わり