聖林寺の国宝十一面観音立像
「聖林寺」の国宝十一面観音立像に団体の皆さんを案内してきました。本堂から少し階段伝いに廊下を登ったところに収蔵庫があり、観音堂と呼ばれています。 ガラス張りの奥に、天平時代の金箔を身に付けた十一面観音立像がすっくりと立ってらっしゃいます。その胸板の厚さは水泳選手並みで、上半身の逞しさが拝む人々に、男性らしさを印象付けるようです。明治時代、聖林寺を訪れたフェノロサの一行も絶賛したとのことです。観音寺(京田辺市)の国宝十一面観音像もやはり天平時代の仏像で、その造りも木心乾漆造と聖林寺像と共通する部分が多々あります。金箔が殆ど剥がれて漆が見えている分、お顔や身体のラインが柔らかく見え、こちらの像は女性的と言われることが多いようです。本来、観音をはじめ菩薩は男女の性別を超えた存在ですので、男、女というのはおかしいようにも聞こえるのですが、男女どちらでも無い分、男女どちらに見立てても良いということにもなりますね。