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Maryam's HP 日記

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2014年08月22日
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カテゴリ:おとぎ話 ”春”

 

 

 

こちらから画像拝借

 

 

 

おとぎ話”春”<1>は こちら からどうぞ


 

春<18>





もともと腰痛は庄助爺の持病であったし、その上歳が歳なので、

医者の方も、患者の方も、全快などということは全く思ってもいなかったし、

年々弱っている身体の骨のどこかが転倒した時に、折れなかっただけ幸いであったし、

耐え難いような痛みが治まっていれば、庄助の病状はまずまず良好というのが暗黙の了解だった。


晋吉は患部を診察しながら、最近の腰の様子を伺い、

いつも処方している軟膏と、貼り薬を処方したのだった。

診察を終えてやっと緊張が緩んだということを伝えるような、

晋吉の顔の表情を眺めながら、庄助爺は言葉を発したのだった。



”若先生の横顔やら、立ち居振る舞いをみとると、

まるで修吉先生の若い頃をみるようじゃのう。

わしも若かったが、大先生も若かった。

かれこれ50年も前のことなのに、昨日のことのようじゃ・・・”




っと遠い日を語る庄助爺の顔は、ついさっきまで、診察の際の腰の痛みで多少歪んでいたのとは、

うって変わって、血気盛んだった若かりし頃の、精悍ささえも感じられるのだった。


庄助は言葉を続けた。


”修吉先生は、村医者の家に生まれたが、苦労して医学を学ばれたんじゃよ・・・

わしよりは歳は若かったが、御名の通り高い志をしっかりと抱いて、

立派に医学を修めた、実に偉いお人じゃったわ。


・・・あれはいつだったかのう、修吉さんが十歳(とお)になった後じゃったか、、、

修吉先生のお父上(健吉)が、藩から高貴な方の診察を命じられたものの、

一介の小さな村医者に過ぎなかった健吉先生の高名を妬み、悪意を持った輩の仕業で、

先生は不遇な身に陥れられてなあ。

どういうわけか、高貴な方の病状が悪化して瀕死の状態となってしまい、

その沙汰として潘の命によって、健吉先生は医師としての仕事ができなくなってしまったんじゃよ。


お父上がそういうことになって、村医者さんのところも大変なことになってしまった。

それでも、修吉さんは苦労に苦労を重ねて、

医者の家に生まれたものとして、医学を修めることをあきらめなかったのじゃ。



そして二十歳ぐらいの頃には、修吉さんの勤勉と優秀さをみとめた善造さんが、

彼が立派な村医者として、村人の健康をまもってくれるようにと

医学を学ぶにゃ、何かと物入りじゃったが、金銭的なことを手助けしてくれたことも大きかったがのう。


・・・そういえば、善造さんの末の娘さんが、7・8年前ぐらいに不慮の事故で亡くなってしまったが、

人の命とはわからんものよ・・わしのような老いぼれが腰痛に呻きをあげながらも生きながらえ、

まだまだ先があると思っていた人が、思いもかけない事故で亡くなるとは・・・”




っとここまで晋吉は、庄助爺が語っている話を、己の曾祖父の時代の遠い遠い昔話・・

っと思ってなんとなく聞き流していたのだったが、

思いもかけずに耳から入ってきた 春の母、初の話に驚き、

彼の眼(まなこ)は大きく見開かされたのだった。



 




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Last updated  2014年08月23日 20時23分37秒
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