作者が選ぶチャプター
原作を読んでないのに映画を観たくなるのは何故か?「予告編」の効果が大 だと思う。そこで、この「小説の森」では、ランダムにチャプターを選び、お知らせすることにします。 チャプターNO.…?「ジャズクラブ」都内某所、洗練されたゆったりとくつろげるジャズクラブ…さっきまでは確かにそうだった。それが今は、某有名タレントと、その取り巻き連中の馬鹿騒ぎのせいで、BGMさえ聞き取れない始末。タカシはカウンターを見た。上品な感じのする青い目の老夫婦が、不快な表情を見せてからカウンターを離れレジに向かった。聞くに堪えない雑言と下品な笑い声が、一瞬途切れた。タカシはそれを見逃さなかった。わざと、彼等に聞こえるように、はっきりと言い放った。「さっきまでの良い音の余韻が台無しだ!」-中略- タカシが店をでようとレジの前に立つと、初老の黒服が早足で側までやって来て言った。「今日のお代は、『さっきまでの良い音の余韻が台無しだ』で結構でございます」満面に笑みを浮かべて彼はそう言った。