小説 「scene clipper」 Episode 20
小説 「scene clipper」 Episode 20 今日の東京は快晴。水城の再出発を祝うかのようだ。俺も嬉しい。 10時 井の頭線4番ホームはリョウの声が良く通り、朝の混雑のピークを過ぎてやっと静かになったホームを利用する乗降客が振り返るほどだ。 「夕子ちゃん!久しぶりだねえ、おう元気そうだ!水城のやつ抜けれて良かったな・・・」「はい、リョウさんのおかげで、有難うございます」「いやいや、元々悪じゃないからこいつは・・ちょっと元気が良すぎただけだから」水城が袖を引いて 「リョウさん、そんな大きな声で話すことじゃ・・・」「何だって?そんな消え入りそうな声じゃ何言ってんだか分かんねえぞ」「・・・あ、電車来ます」「夕子ちゃん、こいつ誤魔化すの上手くないか普段も」「はい、じょうずです」「夕子それは・・・」水城が何か言いたそうに夕子の利き腕を掴もうとしたので俺は助け舟を?出した。 「あ、ドア開くから邪魔だよ水城くんこっち」と水城を俺の方に引き寄せた。そこへ一人だけ遅れたメンバーの声がした。「ナイスフォローね、リョウさん」 一人を除いた全員が振り向くとラストに現れたマリがいた。「何がナイスフォローだよ、遅れといて・・・・・今のナイスフォローだった?」 それには答えずマリは乗客が降りてしまったのを見て真っ先に乗り込み振り返って「早く乗りなさい」と言ったが、目はそのセリフに続けて『何してんの』そう言ってるように見えた。 「お、今日はスカートなんだ・・・」「やっと気付いた・・・けど目がヤラシイ・・・」「いや、あ、きれいな脚してっから意外だったんだな、うん」 俺は狼狽えてんのに・・・こういう時男は女にゃ敵わない。それにしてもこの色気はなんだ?別人じゃないか・・・。!これだと上妻のタイプかも・・・。 リョウはかなりパニクリながらだったからか直ぐに下北沢駅に到着。 「えっと、東口?」「西口2ですよ・・・1階に降りるんですよ」「わ、分かってるって、子ども扱いすんな」西口2に出ると道を隔てて直ぐにセブンが見えた。 「上妻!」と手を上げたが・・・隣りの女・・連れか? セブン側に渡り切る・・・紹介があるな。 「スー、こいつがいつも話してたリョウだ」「リョウ、この人はスージー、今日一緒にいいかなランチ。他の人もどうかな・・・あ、こちらが例の」とマリに向けて笑みを浮かべながら言った。 「リョウ、紹介してくれないの?」呼び捨てのその意味、わかるけど今のリョウは そう、リョウは上妻の、恐らく彼女、から目が離せない。 「どこかで・・・」とリョウが言えば「そう、どこかで・・・」とスージーも・・・!!「あ!伊藤さんちのホームパーティ!」「そうそう、そうですね!リョウちゃんってミスター伊藤はそう呼んでた!」 「知り合いなの!?」今度はマリと上妻が同時に、まるでユニゾンで歌うように言った。水城と夕子は「取り残されてる」という思いで固まってしまった。いつも応援、コメント頂きありがとうございます。今日もよろしくお願いします。(^^♪