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カテゴリ:オリジナル小説
真紀子が振り返ったとき、柚子は顔をくしゃくしゃにして泣いていた。口はへの字にゆがみ、
大きな目からは玉のような涙が零れ落ち、への字にゆがんだ口の端を通って顎まで濡らして・・・ どんなに綺麗な顔でも、こうなると浩二以外の人には見せられない。 真紀子はとっさに己の思いが誤まりであったことを悟った。そして猛反省した。 「ごめん!柚子!つい、ついよ!ほんとについ、なのよだから許して! 泣かないで、ごめん、私ったら最低よね、ごめん!悪かったわ何でもするから、許して!」 それでも気が済まない真紀子は柚子の肩を抱きしめた。 「ねえ、柚子!お願いだから許して!」 今度は真紀子の方が泣きだした。それを確かめたかのように柚子は顔を上げ、ピタリ、と泣きやんだ。 「はい、もうそれくらいにして、顔を上げて」 え! 真紀子は顔を上げてみて、なんだかきつねに化かされたような気分になった。 それほど柚子は、いつもの顔に戻っていた。 「柚子、あなたさっきのまさか・・・お芝居?」 「まさか、・・・いいから早く浩二と私の謎を解いてみせて」 真紀子はまだ、納得出来てない頭をほっといて 「あ、うん、・・・わかった」 と言った。首を傾げながら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.07.16 15:25:05
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