カテゴリ:うたのおけいこ
所属する短歌結社の「短歌人」11月号に、拙作6首が掲載されました。
夕立が造りし河岸段丘の先カンブリア紀なるさ庭べ *1 風立ちぬ生きねばならぬ天地と時のあはひに人の摂理 *2 秋されば萩の花野をゆきゆきて顛れ伏すてふ人ぞゆかしき *3 土佐礼子走る最後の距離 晩夏の火照り冷めやらずけり その男いのちの果てに見しものは鞦韆揺るる小さき公園 *4 「孤悲」といふ字が書いてある万葉集原文見つつ夜半物思ふ *1 実を言うと、この歌を着想したのは、10代の頃。1首詠むのに30年かかった~!?! *2 「風立ちぬ・・・生きねばならぬ」: ポール・ヴァレリー「海辺の墓地」 *3 河合曽良「行き行きてたふれ伏すとも萩の原」 *4 黒澤明「生きる」 なお、同誌11月号の作品月評(9月号分)に、拙作「酒一斗飲み干すごとに詩一篇出来たとかいふ古人は」が選出された。 ・・・これは、やや自虐的諧謔のニュアンスを含ませた歌。 初夏のクソ暑い夜、さらりと詠めた。 畏敬する歌人・諏訪部仁氏評・全文。 「『李白一斗詩百篇』とは、杜甫が李白を称えた詩句だが、この一斗はほぼ今の一升に当るとはいえ、豪気な話だ。『歌百首』のためなら斗酒なお辞せず、といきたいものだが。」 ちなみに、「杜甫・李白」はもちろん念頭にあったが、なんも注釈や説明文を付けたわけでもないのに、きちんと読解して戴いた。 さすが一流歌人だな~、と感涙 メチャンコ嬉し~だす ・・・と同時に、「詩百篇」の方が良かったかな?と、その点でちょっと蒼ざめた馬になっている。 詰めの甘いところが、僕らしいか さらに、別の欄「Selection(9月号分)」でも、「テレヴィジョン消せば見るべきもの見えつ月と夜空と妻子と我が身と」が選ばれた。 ・・・ハッキリ言って、現在僕は得意満面、有頂天であると言っていいだろう 〔ぼつにされた歌稿9首〕 黎明の幻醒めず神さびし蒼古の陸に遥か呼びかく 朔は密かに木霊こぞり来よ黒蜻蛉游くふわふわそは我 さらさらと白粥流し込みながらけさの光に包まれてゐる 十六夜の皓月冴えてしめやかにプールサイドの夏は畢んぬ 季即ち玄冬、青春、朱夏、白秋。余白の人に我もなりつつ しめしめとほくそゑみつつ酒ふふむ秋の初めの文芸復興 三人の子連れて夕べの道端のおしろい花を見に行きしかな 夫婦にておしろい花のおしろいは役に立つのか論ひをり 利発なる吾子にてはある「シンデレラアンパンマン」とおのが名呼びつ 註:「リナッシメント」は、英仏語「ルネサンス」の原語(イタリア語)。 〔自己反省〕全体としてみると、引用が多すぎて、自分の言葉で表現し切れていないことと、肩に力が入りすぎていて堅苦しい感じも拭い去れない。・・・今後の反省材料というところ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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