カテゴリ:シチュエーション・アナリシス
きょう2日のソウル市場では、韓国ウォンの対ドル相場が急落し、一時1ドル1590ウォン台と、ほぼ11年ぶりのウォン安水準に下落した。前週末の米国株式相場が大幅安となったのを受け、株式市場で外国人投資家の売りが先行。株価が大幅に下落し、海外マネーの流出が再び拡大するとの警戒感が強まった。
【日本経済新聞 NIKKEI NETなどより】 ■為替ネットナビゲート 韓国ウォン/米ドル為替レート・リアルタイム表示 一つの心理的障壁と見られていた1500ウォンを突破してから、ますます歯止めが利かなくなったようである。 ・・・ほんの数年前には、1ドル750ウォン前後の“わが世の春”を謳歌していたこともあったのだから、現在のヒドさ、推して知るべしである。 金融危機に端を発した世界的な景気後退の波が、我が国をも苦しめていることは改めて縷説するまでもないが、とりわけお隣の韓国経済は、明らかなスタグフレーションに陥り、危機的状況にあるといっていいだろう。 ■スタグフレーション:スタグネーション(景気後退、経済活動の停滞)とインフレーション(通貨膨張、物価上昇)が同時に起こること。 ハイパーインフレーションなどと並び、経済の状況として一般的に最悪の状態の一つと見られ、恐れられている。 インフレーションなら金融引き締め、デフレーション(通貨収縮)なら金融緩和などの明快な政策対応があるが、スタグフレーションは市場における矛盾のダイナミックな調整の激しい嵐であり、これに対しては、事実上有効な金融政策はないとされている。 縮小均衡点に達するまで、手を拱(こまね)いて見ているしかないのが実情だ。 またそれは、消失点(ヴァニシング・ポイント)でもあり得る。 具体的な目安としては、成長率が2期連続でマイナスを記録し、さらに物価が政府の管理目標値(現在、韓国は年間3.0±0.5%)を超えた場合のことを指すとされる。 下記の韓国国内報道などを読んでも、この目安を悠々クリアしている模様だ。 今回の経済危機は、もちろんアメリカの金融秩序の大混乱が主因だが、さらに昨年の北京オリンピック前後に端を発していた中国沿海部の住宅・不動産バブル崩壊も重なって、負の相乗効果になっているという指摘がある。根は深い。 中国のアジア諸国からの最新の輸入高は、対前年比で実に50%程度まで縮小している。 一時的にせよ、貿易が半分に縮んでいるといっても過言ではないであろう。これが直撃している。 今後、中国政府は、57兆円と伝えられるアメリカ並みの財政出動を行い、その90%はインフラストラクチャー整備に宛てるというから、これはまさに中国版ニューディール政策といえる。 これは確かに一定の効果はあるだろうが、隅々まで奏功するには最短でも相当な時間(2~3年?)がかかる話だろう。 ■日経BIZ PLUS「ウォン急落に続き、実体経済の急速な悪化に直面する韓国」平塚宏和氏論文 ■MONEYJINE(マネージン) ウォン安に飲み込まれた隣国「韓国経済の現実」 ドル、円など基軸通貨に対してウォンを買い支えるべき韓国銀行(中央銀行)の外貨準備高も、2000億ドルを早晩割り込む見通しである。韓国の人口は日本の約3分の1である。日本銀行が約1兆ドルを確保しているのと比べても、いかにもお寒い状況である。枯渇する惧れも出てきた。 アメリカは米韓通貨スワップ協定をこの秋まで延長し、日本も同様のスワップに加え、国際通貨基金(IMF)を通じての強力な援助をしているが、韓国の実体経済の悪化は底なしで、短中期的な改善の見通しもなく、率直に言うと、韓国経済の破綻は時間の問題と言わざるを得ない。デフォルト(債務不履行)に陥る惧れも出てきた。 今後、日本は〔I〕韓国に対し、公的資金(日本国民の税金)を使って種々のさらなる巨額の援助をするのかどうかという問題に加えて、〔II〕不逞韓国人の不法入国・滞在の問題などに直面せざるを得ない。 ひいては、治安のさらなる悪化も懸念される、主権者たる我々国民の高度な政治判断のイシューになってくる。 いずれにしても、どう転ぼうとも、日本にとってプラス面は何もないというのが真実ではないだろうか? ■法務省入国管理局 本邦における不法残留者数について 私個人の見解だが、隣国だからといって、我が国固有の領土である竹島を一方的に不法占拠・実効支配し、我が国を敵視し、日頃から“ないことないこと”ありとあらゆる反日言説を垂れ流しているこの国を助ける義理は全くないと思う。 冷たい言い方に聞こえるかも知れないが、見て見ぬふりをして見捨てることこそ、自立しないこの国に対する慈悲である。 韓国を助ける余剰資金があるというのなら、日本国内の貧窮するワーキング・プア階層などの救済やセイフティ・ネットの構築に充てるべきだ。 これが日本国民の本音の大勢であり、政府はその声に虚心に応えるべきであろう。 なお、韓国経済の抱える構造的な諸問題については、こちらの「はてな匿名ダイアリー」に分かりやすくまとめられている。 賢者・小室直樹氏の「韓国の悲劇」は昔確かに読んだ覚えがあるが、当時と何ら変わっていない現状に、改めて愕然とさせられる。 内情がきわめて深刻であることが伺える。 ウォン安進行に賃金下落、国民の生活さらに厳しく 【ソウル26日韓国聯合ニュース】 生活必需品などを中心に物価高止まりとなっているが、最近ウォン安・ドル高が急速に進み、物価上昇圧力がさらに強まるものと予想されている。雇用面では仕事を分け合うワークシェアリングの広がりが賃金の凍結・削減などにつながっており、給与所得者の暮らし向きはさらに厳しくなりそうだ。 企画財政部と統計庁が26日に明らかにしたところによると、1月の食料品価格の上昇率は前年同月比10.5%で、同月の消費者物価上昇率3.7%の3倍近くに達した。穀物の上昇率が10.3%、肉類は14.1%を記録し、酪農品や油脂類もそれぞれ23.9%、24.1%高騰した。食品価格の上昇を受け、庶民が好む外食の値上がり率も消費者物価上昇率を大きく上回った。参鶏湯が9.2%、キムチチゲ定食が8.0%、豚カルビが8.9%、サムギョプサル(豚ばらの焼肉)が11.6%、かゆが10.0%、ラーメンが12.7%など、前年同月比で10%前後上がった。のり巻きとアイスクリームも上昇率は21.6%と25.0%で、20%を上回っている。 問題は、物価が上がっているにもかかわらず、賃金は据え置きかむしろ下がっているという点だ。政労使による非常対策会議はこのほど全体代表会議を開き、労働界は企業の経営環境に応じ賃金の凍結・返上、または削減を実践、経営者側は経営上の理由による解雇を自制することを決めた。雇用をできるだけ維持する代わりに、給与は据え置きか削減することに同意したもの。 また、30大グループも今後数年間は既存社員の賃金を凍結することにしたと発表した。ワークシェアリングの意味で、特に新入社員の賃金引き下げ幅が大きい。30大グループは大卒新入社員の年俸を最高で28%まで削減すると決め、公営企業も大卒新入社員の年俸を最大30%下げることにしている。 LG経済研究院のシン・ミンヨン研究委員は「物価上昇率が依然として高いなかでウォン下落が進み、経済主体にはまた別の打撃とならざるを得ない。特にワークシェアリングなどの影響で賃金が凍結・削減され、各家庭の消費委縮はさらに深刻になる可能性がある」と話している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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