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うたのおけいこ 短歌の領分

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2011年02月03日
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カテゴリ:今日のつぶやき
エジプトの騒擾と大相撲の八百長疑惑という“二大事変”が、ほぼ同時に勃発した。
寝耳に水の、まさかまさかの、思わぬところに伏兵が~っ! といった感じで突如として火を噴いたと思ったら、あれよあれよという間に、今や抑えるすべもない「爆発的噴火」になってしまった炎

前者はツイッターなどでの激烈な呼びかけ、後者は携帯メールの生々しいやりとりという、いずれもインターネット・プロトコル(形式)による通信が問題惹起の発端となった点が共通している。

インターネットによって時代が動かされてゆくこと、パンドラの箱が開いたことを、今われわれはまざまざと目撃し再認識した。

エジプトでは、対外的には親米的、内政的には独裁的といわれる長期政権が累卵の危機に瀕している。

事態の推移は予断を許さないが、巨視的に見れば、20世紀をリードした「パックス・アメリカーナ」(古代ローマ帝国の支配による、当時の世界の平和をいうラテン語「パックス・ロマーナ」をもじった言葉)の揺らぎを示しているのだろう。

親米的で専制的な王政が倒れ、イスラム原理主義的な政権が樹立された1979年のイラン革命にも似ているところがあると言っていいだろう。
これは「アンシャン・レジーム(旧体制)」の崩壊につながるのだろうか。

ご承知の通り、日本の近隣には、きわめて硬い構造を持つ前世紀の遺物のような旧体制が確固として残存している。
その遠からぬ行く末の前例になるのだろうか、われわれは固唾を呑んで見守っている。

一方、大相撲の八百長疑惑は、これまで日本相撲協会の内部でも「無気力相撲」という特殊な「専門用語」でささやかれてきた。
「注射」「中盆(なかぼん)」「人情相撲」などの隠語も古くから仄聞する。「星回し」などという言葉もあるという。問題の根深さが容易に察せられる。

ちなみに、「八百長(八百屋長兵衛)」という言葉自体、もとは「無気力将棋」の意味だが、角界がらみの由来を持つ。

二子山親方(元横綱・初代若ノ花)が理事長の時、その根絶を獅子吼(ししく)した録音テープが、後になって外部に流出したことも記憶に新しい。

問題意識は脈々とあったと思われるが、危機感が十分でなかったというほかはあるまい。
今回の件は、かつてない確実さと生々しさを伴った具体的な情報漏洩であり、角界は断崖絶壁に追い込まれている。

こちらもまた、歴史や伝統・分厚い支持の上に胡坐(あぐら)をかいて改革を怠ってきた、一種の旧体制の矛盾のマグマが、ついに噴出したと見ることが出来る。

大相撲について何か書くとなるとあまりにも大変だと思うし、上には上の熱心なファンや重篤なマニアが多数いる分野なので、このブログサイトではあらかじめほとんど触れていないが、僕も若い頃から人後に落ちない大相撲ファンである。

純粋にスポーツ(格闘技)として見れば、すべてが真剣勝負・ガチンコ相撲であるべきことは言うまでもないが、相撲の場合、必ずしもそうとばかりも言い切れない、民俗文化・神道系の神事という側面も強いことは確かである。

例えば、「横綱」は、心技体抜群の力士の体を、ご神体や神社に見立てている証しである。
横綱土俵入りは、神道祭祀である地鎮祭儀式を模しているといわれる。

八百万(やおよろず)の神の一柱である稲の精霊と相撲を取ってその年の吉兆を占う(?)「一人相撲」の神事も知られている。これは必ず人間側の一勝二敗になるしきたりである。
→大山祇神社・一人角力神事

その他にも傍証を挙げようと思えばいろいろあるだろうが、この問題はそう単純ではなく、同情・情状酌量の余地はなくもないと思う。今回の事件発覚は、いろいろな意味でまことに残念至極である。

大相撲そのものの存廃などという極論には、僕は与(くみ)したくない。
正直言って、最後の禁忌(タブー)たる寝た子を起こしてくれやがったな~という憾みもないではない。

・・・とはいうものの、やはり時運の赴くところ、現代では大相撲にもスポーツとしての公平公正、フェア・プレー原則の遵守が強く求められていることが、かつてない苛烈な形で突きつけられたのが今回の事件だったといえるだろう。

真面目で温厚、人格高潔で現役時代から大ファンだった放駒理事長(元大関・魁傑)のモーセ一行は、紅海を無事に渡って約束の地に到達できるのだろうか。
この際、相撲協会は腹を括って、身を切るような改革に邁進すべきであろう。

早急に迅速に、重篤な癌細胞の病巣摘出手術が、徹底的に行われなければならない。多大な痛みを伴っても、成功裡に遂行されることを深く切望しつつ見守りたいと思う。





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最終更新日  2011年02月05日 10時03分43秒
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