カテゴリ:シチュエーション・アナリシス
私も昔はよくラジオにかじりついて聴いていた深夜の人気番組「オールナイトニッポン」(ニッポン放送系全国ネット)の16日未明(15日深夜)のオンエアで、人気お笑いコンビ・ナインティナインが、「安倍(晋三)さんって、お腹痛いって言って尻尾巻いて逃げた人」と発言し、生放送内で50分後に謝罪したという。
■ ナイナイ「安倍さんお腹痛くて逃げた」 ラジオで発言、わずか50分後に謝罪 【J-CASTニュース 16日】 私の短歌を読んでもらえば分かるだろうが、私は諧謔やお笑いの感覚は大好きだし、ナインティナインも、大ファンというほどではないが何ら含むところはない。 とりわけ岡村隆史が、近年やや社会派・時事ネタめいた毒舌を芸風の一つとしていることも承知している。 この発言も、深夜のラジオ番組で、関西芸人のおふざけの度がちょっと過ぎたというところだろう。あまり野暮なことは言いたくない。 が、この発言の一連の流れを改めて読んでみると、やや看過できないタチの悪さを感じるのも事実である。 岡村「安倍さんって1回シッポ巻いて逃げた人ですよね」 矢部「お腹痛い言うて」 岡村「お腹痛い言うて。その人がまたワーって言うてはる」 矢部「お腹治ったから」 岡村「治ったから、また今度行くぞみたいなことかもわかりませんけど、もうええわ」 矢部「またお腹痛くなるかもしれんけどね」 岡村「(首相を)やったらね、やりはったらいいんでしょうけども」 一国を代表するような政治家について、冷笑的に過ぎる。 また、発言することによって真っ向から論評や批判をするのならまだしも、単に一過性の笑いを取ろうとしている。もちろん、政治家を戯画化(カリカチュアライズ)したり揶揄したりすることは、表現の手法として十分あり得ることだが、この場合はいかにも低次元で下品であり、発想が貧困と言わざるを得ないだろう。 安倍氏が罹っているのは厚労省が難病に指定している「潰瘍性大腸炎」だという。このような不可抗力に近い病気を、こういった文脈でことさらにあげつらうのも不穏当であり、見方によっては差別表現や誹謗中傷に当たる可能性もある。同じ難病に苦しむ多くの患者さんに対しても、きわめて失礼であることは言うまでもない。 ナインティナインに一定のファン層がいるように、安倍晋三氏も広汎で強固な支持層を誇る有力な政治家である。 若い世代に影響力があると思われる人気者として、やはり言動には十分気をつけてもらいたいと、野暮は承知の上で、ひと言釘を刺しておきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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