カテゴリ:シチュエーション・アナリシス
事実上の中盤戦に入っている衆院選の情勢について、ここへきて新聞・通信社・テレビ・週刊誌などマスメディア各社から盛んに「自民党圧勝」などの予測報道が出てきているが、これらには、事実上の第四権力ともいえる彼らマスコミの底意が入っている可能性がある。
今や、われわれ国民・有権者は、これを単純に受け売りするほどナイーブ(純朴)な大衆ではあるまい。恣意的な論調を厳重に警戒し、不用意な影響を受けないように十分な心構えをして接する必要がある。 なるほど、自民・公明両党の選挙情勢が堅調であるという傾向は伝えられる通りなのであろうが、「本社の支局網の取材を加味して分析した結果・・・」などというあたりに、いくらでも情報操作の余地があり、原稿作成の各段階や最終決定稿で、特定の社論に沿って「話が盛ってある」可能性が十分にある。これは決して私の猜疑、疑心暗鬼だけではないだろう。 巨大なマスメディアの流す記事のもたらす「アナウンス効果」により、有権者が投票先を変えたり、投票自体をやめたりする現象は、つとに知られている。とりわけ、各種調査で最大50%前後にも及ぶとされる、特定政党への支持を固めていなかったり揺れていたりする「無党派層」などに対する顕著な影響を、プロのジャーナリストが意識していないわけがない。 われわれ有権者・読者は、何らかの隠された意図があるのではないかと疑ってかかるぐらいでちょうどいいと思う。 おそらく、優勢が伝えられる自民・公明両党の陣営を油断させて候補者や運動員らの士気を緩ませるとともに、強きを挫き弱気を助ける「判官贔屓(はんがんびいき)」の侠気が強いといわれる日本人の心性に影響を与えようとする、狡猾で陰湿な深層心理学的手法である。そんなに一人勝ちさせていいのかといった、国民の無用な“配慮”を誘導しているともいえる。 落選した候補者が「新聞の“優勢”という報道にやられた」と嘆く例は枚挙にいとまがない。私はかつて、惜敗した候補者本人から直接この言を聞いたことがある。 一部のメディアが、自ら標榜する「公正中立・不偏不党」の建前など屁でもないと言わんばかりに、日頃から著しく偏向した報道を行っていることは周知の事実であり、それがインターネット言論によって厳しく批判されていることはご承知の通りである。ましてや、今は天下分け目の総選挙期間中である。あらゆる謀略・深慮遠謀が飛び交っていることに、われわれ国民・有権者は気づかねばならない。 マスメディアは、自己の言説に関して最終的に責任を取らないことがほとんどである。たまに「トカゲの尻尾切り」程度の責任を取ることもあるが、ほぼ無責任な存在である。最終的には信ずるに足りない代物であり、懐疑的精神を以て接するべきである。 今回の衆議院総選挙は、第一義的には、3年3か月にわたった民主党政権への厳粛な審判、そして政権の選択である。 われわれは、陰に陽に情報を操作し、常に特定の方向に世論を誘導・誤導(ミスリード)しようと策動する一部メディアの、狡猾でステルス的な扇動に流されることなく、自分の頭で物を考え判断しなければならないだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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