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照姫(てるひめ)
みこころのあかきほどにや 紅葉の色も千入に見ゆる一枝 あなたさまの赤心の明るく赤いほどにでしょうか 紅葉の色もひときわ赤く見える一枝です。 註 先週(13日)放送のNHK大河ドラマ『八重の桜』で、会津藩主・松平容保の義姉・照姫(稲森いずみ)の和歌として登場し、いい歌だと思ったので書きとめておく。 照姫は、会津松平家の親戚・保科正丕の娘で、10歳の時に会津松平家の養子となり江戸の会津藩邸に育った。18歳の時に豊前(福岡県東部・大分県北部)の奥平昌服に嫁いだが、23歳で離縁され会津藩邸に戻った。 この歌は、2歳年下でやはり松平家の養子だった容保と再会した際に、照姫が詠んだと伝えられる。 花鳥風詠の叙景歌的な美しさと淑やかな慕情を絡ませ、掛詞など和歌的な言葉遊びの要素もまじえた技巧的な佳品。 みこころのあかき:「赤心」(まごころ)という漢語を踏まえ、「明(あか)し」(明るい)という古語も掛けているか。 紅葉:ドラマでは「こうよう(こうえふ)」と読んでいたが、和歌の伝統からすれば、どちらかといえば「もみじば(もみぢば)」と読むほうが妥当かなとも思う。 入(しお):染物で、染め汁に浸して染める度数を算(かぞ)える語。「一入」ごとに色が濃くなる。 千入に:「一入」(一層その程度が増す・傾向が著しくなることをいう副詞)と、「(赤い)血汐」を掛けているか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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