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伊勢大輔(いせのたいふ) いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな 詞花集 / 小倉百人一首 61 昔の奈良の平城京に咲き誇った八重桜が 今日は平安京の宮中の ここらへんで九重に照り映えているのですねえ。 註 伊勢大輔:古今集時代に活躍した「伊勢」とは別人だが、いずれも歌才を謳われた女房(にょうぼう、官女)だった。 「いにしへ」と「けふ」(昔と今)、「八重」と「九重」の対比が楽しい。「奈良」と「七」、「けふ」と「京」も掛けてあるといわれ、まことにおそれ入谷の鬼子母神の超絶技巧である。また、「いにしへ」と「ここのへ」も軽く脚韻を踏んでいる感がある。上品な遊び心にあふれた一首。 九重:漢語として禁裏・内裏の意味があり、幾重にも重なって咲いている意味を掛けているとともに、「ここの辺」(ここらあたり)も掛けている。 * のちに松尾芭蕉が、オマージュ(礼賛)的な一句を詠んでいる。「奈良七重七堂伽藍八重ざくら」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年03月26日 10時22分48秒
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