カテゴリ:「短歌人」から
高橋とみ子
盆提灯ひごの数だけのばし切り門に対なす火袋ともす カーテンのレースの襞をおくりおくり猛暑の庭へせせり蝶はなつ どの木肌どの鉄柱か選びかね羽音さだまるまでのアブラゼミ 「短歌人」11月号 註 熟達の力量を感じさせる作者の近詠。 一首目、私も地方都市で歴史の古い祭礼に携わっているので、このような先祖代々の因習的な世界は割とよく知っているが、これはこれでいいものである。これを簡単に陋習などと斬って捨ててほしくないと思う。この歌は客観写生に徹しつつ詩がある。「門に対なす」は「かどについなす」と読むか。 二首目、三首目も語り口がすばらしい。一事が万事で、作者はこうした玄人好みの完成度の高い歌を毎月のように発表している手練(てだれ)である。今後も注目していきたい人である。 ひご(籤):(竹を細く割り削って作った)ちょうちんの骨。「ひごをのばす」とは、小さく折り畳まれていたちょうちんを使うために伸ばすこと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年11月21日 15時38分04秒
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