カテゴリ:現代短歌の曠野
大辻隆弘(おおつじ・たかひろ) 横田早紀江といふ母 子をおもふ誠がやがておのづから ナショナリズムを帯びゆくあはれ 「レ・パピエ・シアン」第78号 註 これは酷い。むごい。まことに冷血な、心ない一首と言わざるを得ないだろう。言霊の幸わう短歌という形式を以て、横田さんの痛切な真情を冷笑し、茶化している。作者の人間性(というより、正気)を疑わずにはいられない。まるで北朝鮮側のプロパガンダのような歌である。 同じ作者が、あの「9.11」アメリカ同時多発テロ事件を詠んだ問題作「紐育空爆之図の壮快よ、われらかく長くながく待ちゐき」(通称「ざまあみろの歌」)にも驚愕させられたが、心胆を寒からしめる衝撃はこちらの掲載歌の方がむしろ深いかも知れない。 *「紐育」は「ニューヨーク」と読む。 到底首肯できない、表現の暴走と言わざるを得ない。百歩譲って、たまたま思いついてしまったとしても、まともな神経(自己選歌眼)の持ち主であれば、普通は発表を躊躇う悪魔の語と思う。人格攻撃に当たるようなことをめったなことで口にすべきではないと思うが、この作者はどこかぶっ壊れている、病んでいると思うのは私だけではないだろう。 近頃は絶滅危惧種となった「反日病患者」だが、歌壇にはこういう輩がまだ残存しているのかと、戦慄を禁じ得ない。 ■ 朝日歌壇鑑賞会 「正論」記事、歌人を釣り上げる ■ 青磁社ホームページ 「朝日歌壇鑑賞会」への反論 大辻隆弘 ■ 朝日歌壇鑑賞会 大辻隆弘氏への返答 ■ 大辻さんの歌【ブログ「市女笠」】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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