カテゴリ:シチュエーション・アナリシス
【この記事を9月2日に掲載したところ、そこそこの反響がありました。この愚考の持論は、今も全く変わっていません。総裁選が告示され選挙戦が正式にスタートした今、少々くどいようですがもう一度強調しておきたいと思い、多少字句を修正の上、ほぼそのまま再掲します。】
事実上、次の総理大臣を選ぶ自由民主党総裁選挙がやっと正式に告示されたが、すでに水面下では事実上の中盤~終盤戦であると言えるだろう。 ここへ来て、小泉進次郎氏が大本命であるという見方が急速に固まりつつある。きわめてやばい状況であり、自民党支持者の端くれの私としても、非常に苦々しく思っているところだ。 少し前の記事で、私なりの憂慮の念を書いたが、その意見は全く変わっていない。日本国と、自民党と、本人のためを思って書く。 私も、小泉氏は保守政界のホープであると思っているし、将来には大いに期待している。 「シンジロウ」って名前の響きも、何気なくスター性があるよね。「新時代(シンジダイ)」にも通じるし、石原慎太郎・裕次郎兄弟みたいだ。あるいは森山直太朗とか、人気者の名前だ。さすがセンス抜群の親父さんの名づけだね。 だが、とにかくまだ若すぎる。政治経験が浅すぎる。言動にも若気の未熟さと危うさが漂っている。 「進次郎構文」「ポエム」とか言われているらしい、言語明瞭・意味不明の発言もときおり散見される。・・・まあ、これはご愛嬌で済まされる範囲内かも知れないが(笑) 父・純一郎元首相と賢妻クリステルも難色を示していると伝えられる。地元・横須賀の支持者も時期尚早として反対しているといわれる。「選挙の顔として利用されて捨てられる、潰されるのがオチだ」というわけだ。 閣僚経験も、環境大臣だけというのはかなり心もとない。もちろん環境問題も非常に大事だとは思うが、やはり国を実質的に動かす主要閣僚ポスト(官房長官や財務、外務、経済産業、国土交通、農林水産大臣あたり)のどれかぐらいは経験してほしい。 わが国特有ともいわれる、国会・予算委員会などでの長ったらしく執拗で底意地の悪い野党との質疑・答弁にも不安が拭いきれない。言葉尻の揚げ足を取られて、すぐに紛糾しそうだ。 党務の方でも、自民党四役(幹事長、総務会長、 政策調査会長 、選挙対策委員長)の一角ぐらいは務めなければ、いざという時に党内の抑えが利かないのではないか。 43歳。これからそういったキャリアを積んだとしても、たぶんまだ50代。全然遅すぎないどころか、まだ十分に若い。 観点を変えて見ると、私がそこそこ詳しい精神分析学(深層心理)的な知見では、ルックスがあまりにも二枚目でいい男すぎる。 これは、来たるべき衆議院総選挙では男の潜在意識的な反感を買う恐れが十分にある。 すでに森永卓郎氏が敵意丸出しでラジオで喋ってる通りだ(笑) ゴシップ的なマスコミの好餌ともいえる。 もう少し苦労して年輪を重ねてくたびれて、チオビタドリンクでも飲んでる感じの方が、日本の首相はいいのだと思う。 「総理大臣なんて誰がなっても同じ」という言説は、明らかに間違いだ。 多少落ち目とはいえまだまだ世界的大国の日本の首相といえば、アメリカ次期大統領のカマラ・ハリスかドナルド・トランプと、また習近平、プーチン、金正恩など大物権威主義独裁者とも対等に渡り合わなければならない。時にはケンカもしなければならない。なめられてはいけないのだ。 世界には悪意と敵意・怨嗟が溢れている。場面によっては、力を背にしたある種の貫禄も必要だ。 今の小泉氏に、それは到底望むべくもないであろう。 百戦錬磨の世界のリーダーたちから見れば、ただの「ボンボン」扱いされるだけだという優れた中国人論客・石平氏の指摘に同感であり、危機感を覚える。 ご存じの通り、自民党政権に対する世論は現在きわめて厳しい。 歴史好きとして、どうしても頭の片隅に連想してしまうのは『平家物語』である。 「平家にあらずんば人にあらず」とまで豪語し、日本古代の古い枠組みのまま増長慢を極めた平氏政権は、平清盛一代で脆くも滅ぼされ、のちに「驕る平家は久しからず」の名文句で揶揄されたのである。 現在放送されているNHK大河ドラマの、ほんの少し後の平安時代末期の出来事である。 平家を滅ぼし、のちに「鎌倉時代」と呼ばれることになる新時代を拓いた源頼朝・義経兄弟や、それを支えた元祖・草莽崛起の北条家と坂東武者たちの顛末も、一昨年の大河ドラマで見たばかりである。 国民の広汎な支持を失った政権は、一歩踏み間違えれば、このような末路を迎えてしまうのである。 時代は変わっても変わることがない、これは政治の公理である。 小泉進次郎というイケメンの人気者を表紙にして当面の糊塗をしても、意地の悪いマスコミや外国と内通した敵対勢力などから、すぐに弱点を見透かされてずたぼろにされてしまうであろう。 日本人の「民度」は、世界的に見てけっこう高い。欧米以外で一番なのは間違いないだろう。 その国民の、聡明な理性と繊細な感覚も甘く見てはならない。 確かに、民主主義政体においては「代議士は選挙に落ちればただの人」であり、自分の選挙に自信がない若手などを中心に、藁をも掴もうと小泉氏を待望する気分が強いのは理解できるが、ここはいったん深呼吸して落ち着いて、自制心を持ってもらいたい。 自民党のベテラン国会議員レベルでは、小泉氏を次世代のリーダーとして大切に育もうという雰囲気があるように見えるが、若手議員や党員党友票で小泉氏が圧勝するようでは、その雅量や配慮もおじゃんである。 いいブレインを付ければいいという意見もある。確かに内政プロパーではそれはなんとか通用するかもしれないが、外交の場ではそうは問屋が卸さない。 中曽根康弘大勲位とレーガン氏、父・純一郎氏とブッシュ氏、安倍晋三氏とトランプ氏の親密な関係など、今なお記憶に新しい。トップ同士の信頼関係と友情が国家間の関係を左右することは明らかだ。 自民党総裁選の「有権者」は、しろうとの一般国民ではない。政治のプロフェッショナルや、それに準ずるセミプロたちである。 もはや手遅れかも知れないが、自民党の国会議員をはじめ党員党友諸兄は、国家百年の計を胸に、どうかここは頭を冷やして冷静な判断をしてもらいたいと切に願うのである。 高市早苗氏、茂木敏充氏、林芳正氏、河野太郎氏がいるではないか。 高市氏は、首相に就任すれば女性初となる雄姿を見てみたい。人格識見・政治経験も申し分ない。 茂木氏は、政界随一といわれる頭脳で、経済をはじめとする諸政策に精通し、外交面でも実績を残してきた。 いずれも安定感のあるベテランであり、高市氏には新味・刷新感もある。 強力な小泉氏推しに邁進していると伝えられる党内実力者の菅義偉前総理におかれましても、ここは時宜を俟っていただきたいとお願いしたい。 権力闘争の中の人間関係は詳しくは知らないが、かつての菅氏と安倍氏・安倍派との浅からぬ関係を思えば、その正統な後継者・高市氏を推す選択肢もあるのではないか。 無責任なマスメディアの「あおり運転」に乗せられないよう、ご用心。 自由民主党総裁選挙投票用紙(党員党友用、平成21年9月時) *この画像をプリントアウトして投票しても無効です。念のため お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年09月20日 05時45分21秒
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