日々草

つる植物の花々（２） 

夏、生い茂る雑草や、繁茂している木立の木々に、巻き付き、
人目には余りつかないけれど、
可憐に咲く花々がある。
その一つ、ガガイモ。

道端では目立たず、誰にも目を留められる事もなく
他の草木の緑に埋もれて咲いている
ガガイモ

花の大きさ１センチ足らず、
色も目立たぬ、ごく淡い紫。
しかし、よくよく目を凝らして見れば

こんな可愛らしい薄紫色の5弁の花びらを
ハート形の葉っぱから
すくっと伸びて
ひっそりと咲く。

花弁を覆う絹のように繊細で柔らかな毛
花の表情を穏やかなやさしいものにする。

繁茂する草木に旺盛に巻き付いて茂るガガイモ。
炎暑のなかでも、嵐の雨のなかでも
どんどん蔓を伸ばして、
逞しくのびる。
地下茎はしっからと大地に根をはり続ける。
そして、
生命力の広がりと強靭さの源、
ガガイモの花。

ひそりと可憐に咲く。

誰からも、「きれいだね」という讃辞も受けることなく、
生い茂る木々にからまり、這い登って
花の在りかを主張している。

花の名一口メモ

ガガイモ


ガガイモ科の多年生つる草。
北海道から九州にかけて広く分布。
果実はオクラのような形状でイボ状の突起がある。
熟すと裂けて、絹糸のような長い毛を持った種子を風で飛ばす。
かつて種子の毛は綿の代用とした。
種子や葉は乾燥させて薬用とした。

名は古くは「カガミ」といい、
輝く実のことで、種子の絹毛が銀色に光ることによる。
茎は地下茎から出て、左巻きに巻きつく。