お対の着物 その1
昔、私が小学生の頃、父親が、よく着物を誂えてくれました。 花が染められた晴れ着や、ウールの着物なんかもありましたが、 よく覚えているのは、アンサンブルの着物です。 お正月には、父と一緒に着物を着て、初詣に行ったものです。 お正月に、小学生の私がよく着ていた(着せられていた)着物は アンサンブルの着物でした。中でも、絣で亀甲と花模様が入って いた着物は特にお気に入りでよく覚えています。 着物を着る時にワクワクしたのが結髪です。父親がマメな人だっ たので、私が着物を着る時は、私を必ず美容院に連れて行き、仕 上がるのをずっと見ていてくれました。 私は、美容院で美容師さんが、手品のように髪を結っていくのが不 思議で、結い方をず~っと真剣に見ていました。 そんな中で、忘れられないのが、「父が手を加えた簪」です。 それは、つまみ細工の簪をばらして、組み直し、そこに「稲穂」を 加えた物でした。 (父は、毎年、簪用に稲穂を用意してたんですねぇ~!) 毎年、私は、その年の「新しい稲穂」を付けた簪をお正月は髪に 挿していました。子どもなのに、まるで芸者さんのようですね。 でも、私は、父の作ってくれる「稲穂の簪」が大好きでした。当時の 稲穂の簪を髪に挿した写真を見ると、その時のうれしい気持ちが よみがえってきます。 だから、子どもの頃のお正月を思い出させてくれるアンサンブル の着物は大好き! これも、柄が気に入って、お対に仕立てた大島紬の着物です。 黒地の反物の方を着物に…。八掛けは、着物の絣の色に合わせ ました。 そして、御抹茶色の反物は「羽織」…ではなく、道中着に 仕立ててもらいました。 これを着ると、がさつな私も、なかなか大人な雰囲気に…。