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テーマ:Jazz(1976)
カテゴリ:JAZZ(Grazie Italia )
![]() 2004年のイタリアでの録音です。リリースはニューヨクのレーベルでした。 聴いて、いっぺんでノックアウトされたのですが、あまりにすばらしい世界で、それを伝える「言葉」が探せず、どうして良いかわからない状態なのです。お手上げ状態。。 今回ほど自分の音楽的な無知と、文章の至らなさを痛感したことはありません。(T_T) 息が詰まるほど、入れ込んでしまい、その濃密な世界に心酔しているのに、沢山の人とこの世界を共感したいのに、それを全然上手く伝えられそうもないんですから。。 それでも、黙っていたら、このすばらしいアルバムを手にする人もほんのわずかかもしれなし、アルバムの存在すら知らないで、時が流れてしまうかも知れない。 マスメディアベースになんて、乗りそうもない。 大好きな演奏家二人の魂から発せられたエネルギーが海の泡になってしまうかもしれないから。。。 ギターとベースのデュオというどちらかというと特殊フォーマットなのですが、是非、既成の概念捨てて、一枚くらい、一度くらいこの深淵な世界を体感して欲しいなぁ、、って気持ちです。 いろんな形のジャズがあっても、、いいでしょう??ね? 前回より、ずっと、この二人でのデュオの作品を出して欲しかったのですが、ベボフェラも祖国では人気者だとおもいますが、ダラポルタは、ホント、いろんな場面で活躍してて、、、なかなか二人の影が重なることがなく、個人的にとっても心配してました。 行動範囲の違いから、二人の間に大きな溝ができちゃったのかもしれないなぁ。。なんて。。 が、、最初の一曲が終わった段階で、その心配は吹っ飛びました。 すごい!このぴったり寄り添う濃密な時の流れ。互いの信頼感がましてます。 内省的なつくりかもしれない。渋いとしか言いようのないつくりかも。 いぶし銀の輝きと、、独特の浮遊感と、引きずり込むような、、重み。。。 でも、それは内側に向かっているだけではなくて、演奏家の感情の発露がストレートに伝わってくる。 密度の濃い緊迫感のある演奏なのに、聴き手の心の中に静かに染みこんでくるものは、暖かさ、優しさ。。そして、、悲哀、、情熱、、 彼らの発する心情!心の襞! 地中海風な風が遠く哀愁誘う「Bagatelle」より、エキゾチックな感じは薄いきもしますが、マイナーで美しいメロディが沢山つづられていきます。 でも、決して美しいメロディを二人で奏で、甘く時を過ごすわけでなく、シリアスでビターなインプロゼイションは、ぴりりっとした緊張感を引き出し、絶妙なタイミングといい、年月を重ねて、築きあげてきた二人の心の交流は、一段と深くなっていました。私的には絶賛するのみ。 ものすごく複雑、高度な事をしていても、そこからみえてえくるものは、極シンプルなもの。 届けたいのは、目に見えるテクニックでなくて、すべてを通して伝わってくる感情、心。。。想い。。 特に、特に、、ダラポルタ、、全曲、本当にすばらしい! 高速パッセージ、正確なピッチ、1音1音がはっきりと、めりはりあるのに、スムースに自在に唄い続ける演奏のすべてに拍手でした。 あっけにとられるくらい、唖然とするくらい、すばらしいベースプレイです。 もちろん、ベボフェラもすばらしい。 美しい音色と、ハーモニー、空間。 どちらも甲乙つけがたく、絶対、この二人でなくてはできない世界。 でも、今回のポルタのテンションの高さは、尋常でないとおもう。。 その二人が、互いの役目を違えながら、、裏に表に、表に表に、、、 右に左に、、重なり、交わり、ほぐれ、、交わり。。。 距離をはかり、近づき、離れて、、一緒に登り、降りる、一緒に登る、、、 互いに感情を突き詰めて、、ともに天上に、、届くまで。。 金の鎖、銀の鎖、二つの鎖が揺れながら、絡みながら、、でも、生き物のように、、自由に。。 最初から最後まで、互いにテクニックも、音楽性も、感情も、互いに信頼しあい、 何にも縛れることなく、二人で自在に優雅に飛翔する。。。 9曲中ポルタ作が4曲、ベボフェラが3曲。 一曲がガーシュインの名曲、そしてカタルニヤ?の民謡が含まれてます。 (ベボフェラはフレズと一緒のサルデーニャ島の出身なのですが、この島の一部ではカタルーニャ語が使われてるところもあるそうです。) ポルタのオリジナルから。同じフレーズを何度も繰り返し、心に響かせる。 互いの心の確認でも、とるような、、静かで優しい出逢いからはじまります。 懐かしい気分になるのは、私がこのアルバムをずっと待ち望んでたから? 2曲目のMatisse's Danceは、画家マティス(Henri Matisse)にインスパイヤされた、ポルタの曲。ベース屋さんらしく、特殊拍子になっていて、動きのある曲、焦燥感のあるリズムの中で、ビターでシリアスな雰囲気の中、突然はじけるポルタのベースソロは芸術に真摯に向かい合った、画家への賛同か、かなりシビアな演奏。 ベボフェラの曲は、やはり哀愁がたっぷり。一緒に決めるユニゾンフレーズもおなじみ効果なのですが、静かに交わされる会話の美しさ。 4曲目、フランスの詩人ボードレール(Charles Baudelaire)の詩にインスパイヤされた曲だそうで、これも、異国叙情がただよう、、浮遊感のあるベボフェラの曲。(この詩人、私の好きな作家福永が心酔していた人でもあって。。印象派の彼の作品をモチーフに、そこで使われてるキーワードをモチーフに書いた作品もあります。) この切ないまでに美しいメロディは、静かに、、でも、切々と訴えかけるものが。。 5曲目、キャッチーな雰囲気を持つポルタの曲。まるで、映画のワンシーン、、焦燥感、喪失感があるような、、場面にでてきそうな、、印象的なメロディ。アルコも時折効果的に重なって、、感情を深く包み込むような、、雰囲気。 互いの感情にたたみかけるような、それでいて何処か、距離感もある、不思議な演奏。 唯一のスタンダード曲は、ガーシュインのMy Man's Gone Now。切ない曲ですよね。はじめは、訴えかけるギターと、それを受けるベース。感情的なものがより重なって、次々と引き出されていく、精神的な交流。。。 次は、ベボフェラの曲なのですが。素朴で、牧歌的な、、メロディ。 静かな、会話が、次第に饒舌に、雄弁に、互いの交流となって、一気に上り詰めるベースのすさまじさは、この優しいメロディから、ちょっと、想像つかないのですが、何かが彼の沸点をしげきしちゃったのでしょうねぇ。。 唄いまくる(実際唄ってしまってる、、たぶん、二人とも)ってますよねぇ。。 ベースもギターも、なぜか「超興奮状態」!一緒に私も!! カタルニアの民謡。民謡の持つ、素朴で、愛らしいメロディ。丁寧にメロディをつづる、二人の歩みに暖かな気持ちになってきます。郷愁とでもいうのか、優しい気持ちになる。。 最後もポルタらしく、変則な感じのビターな曲。心の中の不安な部分に揺さぶりがかかり、、不思議なねじれを感じる、、 そう、、ねじれて、不安定になった心で、アルバムが閉じられるのです。 心地よい終演ではなくて、彼らから投げかけられた、「何か」をキャッチせざるをえない雰囲気で終わるのです。。う~ん、なんとなく、確信犯でありますよね。。 心向かい合った二人の間で交わされる演奏。 どんなあ人にも、、人にはいろいろな欲望が渦巻く。。。 綺麗ごとだけで生きてる人間なんて居ないのです。 でも、そういう事に少しでも真摯に向き合えるか、、、 それが、、大事なんですよね。。。 1 Corale 2 Matisse's Dance 3 57/37 4 Spleen 5 Amor Sacro Amor Profano 6 My Man's Gone Now 7 Ninna Nanna Per Lele 8 El Noy De La Mar 9 L'Uomo Degli Ombrelli Bebo Ferra Classical and Acoustic Guitar Paolino Dalla Porta Dauble Bass こういうレベルのミュージシャンが、既存のアルバムをまねようなどすることはないと思うので、安易に表現しがたいのですが、、 ピーコック&タウナーの深淵な世界が好きな人や、、パット&ヘイデンのキャッチーで暖かな部分がぐっと来ちゃうひとには、放り投げられる心配は、、無いかと。。おもうのだが、、 演奏はかなりシリアスなので、BGMには、、ならないと、、おもうけど。。 「心のBGM」には、なるかもしれない。。 追伸&追記 本当は、試聴でなくて、、曲全部を聴いて貰いたいのですが、、 雰囲気だけ、、ってことで、、(T_T) 「ObliqSound」のHPで、聴ける。。。 (私、聴けないので、どうなてるか、、ちょっとわからないけど・・) で、ここから。直接購入できます。結構、早く飛んできます。 日本からは、Ward Records というレーベルから、10/25に発売になるようです。 知ってしまったら、待てるものでは、、ありましぇん。。。 輸入盤なら、HMVの通販でも購入できるようです。(他にも見つけたら、追記します) どうか、、どうか、、皆様も、、ご贔屓に。。M(__)M お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月21日 09時45分39秒
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