カテゴリ:カテゴリ未分類
「ところで直子は何を弾いてたんだ?」
4歳から習っていたのに、父が私の横でピアノを聴くことは一度もなかった。
「ベートーベンとかショパンとかだよ」
「そうなんだ・・・、もう全然あの頃は仕事のことしか頭になくてな~」
「そうね・・・」
”そうは言っても、子供に興味があれば、聴く時間はあったと思うよ”という言葉を、駅弁のひつまぶしと一緒に飲み込んだ。
「ところでさ、直子はよく”そうね”って言うけど、”そうだよね”のほうが相手には優しく聞こえると思うんだけど・・・」
へ~、そんなものか。 でも、”そうね”という相槌には、「同意」だけでなく「そういう考え方もあるのね」という気持ちも含んでいる。 一方”そうだよね”の場合は、「ほぼ同意」に等しい。 前出の父の発言に対して、もし「そうだよね」と言ってしまったら、まるで父が仕事しか頭になかったことを責めているニュアンスともとられないだろうか。 日本語は奥が深い。
(つづく)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年04月07日 13時32分02秒
|
|