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私たち日本人の名前はかなの場合もありますが漢字が多数派です。漢字は表意文字ですので、漢字で名前を付けると不可避的に意味を持ちます。 「そんなの当然だろう」と思うかもしれませんが私は漢字で名前を付けるという事は、少々怖いことだと思っています。というのは、漢字はご存知のように甲骨文字から発達した物とされています。卜占に使用した骨などに刻み込まれていたのが甲骨文字です。卜占とは占象(うらかた)によって神意を問い、未来の吉凶を判断・予想する事です。とすれば、漢字とは元々神とコミュニケーションを取るための道具だったと考えられる訳です。
甲骨の刻文はしばしば朱の顔料で彩色されました。朱は古代神聖な色とされましたから神意の証明である卜占の結果は神聖な物として大切に保存されたのでしょう。 白川静氏は以下のようにも述べています。 すべて名づけられたものはその実体をもつ。文字はこのようにして、実在の世界と不可分の関係において対応する。 ことばの形式でなく、ことばの意味する実体そのものの表示にほかならない。ことばにことだまがあるように、文字もまたそのような呪能をもつものであった。 呪能というのは、呪いではなく強い念、祈りの力のようなものを表すために白川氏が使用した言葉です。『名』には文字の意味があり。漢字のことを『真名』とも言いました。かなはそれに対する『仮名』です。『存在』、『命』、『名』、『漢字』には下図の関係が成り立ちます。 私たちは呪能を帯びた漢字を使って天命であるところの名前を付けるのです。何か呪術めいたものを感じないでしょうか。
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Last updated
2015.04.26 13:38:21
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