カテゴリ:歴史/考古学/毛人
上丹生屋敷山遺跡の弥生後期から古墳前期までの土器編年作業のつづき。今回は鉢、高坏、器台などを見ていく。
上丹生屋敷山遺跡の編年作業 上丹生屋敷山(丹生エリア)古墳前期土器編年―甕 上丹生屋敷山(丹生エリア)古墳前期土器編年―壺 分類結果 「上丹生屋敷山」 土器分類の類型(在来系は「おぢさん」シート、外来系は「成塚向山」シート参照) 鏑川上中流域弥生後期4期~古墳前期土器分類 鉢の分類集計 遺跡の住居を「環濠内」と「環濠外」の2段階に大別したとき、両方の段階で A1Ma と A2Ma が多い類型となった。この分類では目立つ変化を検出することはできなかった。縦横比に変化がないか別稿で検討しようと思う。 在来系では赤彩品が2点から0点、強く内湾するものが0点から2点、丸底が0点から1点という集計結果となったが、いかにも数が少ないので変化の傾向と言えるかは同時期のサンプル数を増やしていかないと分からない。環濠外段階では前の段階には存在しなかった外来系の B1 と E が出現している。 《左上》YA119号住居4 《左上》YA150号住居5 《左下》YA119号住居6 《右下》YA152号住居18 高坏の分類集計(右側は部分的に形態が分からないもの) 環濠内段階では先頭が「A:深めの鉢状の杯部で口縁部が外反する」タイプが多い。それに対し、環濠外段階では「A」が姿を消し、「D:内湾の強い椀型杯部」 と「E:ハの字状に開く杯部」が多くなっている。その中でも E4Na:ハの字状に開く杯部と脚部を持ち、無彩で脚部に穿孔を施さないタイプが1/3を占めている。 そのほかの変化としては、環濠内段階では脚部穿孔は0だが、環濠外段階では脚部に丸い穴を穿つもの(3文字目がO)が現れている。また、環濠内段階に過半数を占めた赤彩品(末尾b)が環濠外段階では1点のみとなっている。 《左》YA366号住居2 (A4Nb) 《右》YA132号住居4 (E4Na) 器台の分類集計 器台は環濠外段階から出現する。受け部がやや深く、ハの字状に開く脚部に丸い穴を穿ち、受け部と脚部が貫通する器台 B4Oa が4点で一番多い類型となっている。下は2点とも B4Oa。 殆どの器台は受け部と脚部が貫通し、貫通しないものは2点のみ。また、脚部に円い穴を穿つものが大半で、穴がないものは2点のみとなっている。 《左》YA152号住居21 《右》YA240号住居3 その他の器種では、環濠外段階に粗製土器が5点となっている。たまたまなのか、後の段階になって現れる、あるいは増加するものなのか他の遺跡なども検討して確かめていきたい。 図版は全て 富岡市教育委員会 2009『丹生地区遺跡群』《図版編》から採った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.07.17 19:14:23
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