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おぢさんの覚え書き

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2020.02.11
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カテゴリ:歴史/考古学/毛人
鏑川上中流域を対象として土器の編年作業を行ってきたが、雄川以西に限定するとS字甕の調整がハケ目からケズリに移行する段階(暫定編年4期)以降の例が少なく、時期的に限定されてしまう。古墳前期の後半は実際にこの地域の人口が希薄だったのかということ自体も興味深いが、古墳前期全体をカバーする編年を行いたいので鏑川流域全体に範囲を広げて検討を行うことにした。
今回は鏑川流域内で最東端に位置する竹沼遺跡の土器を検討する。竹沼遺跡は鏑川の支流鮎川の左岸に営まれ、吉ヶ谷式土器が分布する埼玉県の児玉地方と神流川を挟んで隣接している。同時期の児玉地域の吉ヶ谷式との比較もしてみたいところだが、それは今後の課題とする。

 鏑川流域の遺跡地図
  鏑川流域弥生~古墳前期集落

 分類結果​ 「竹沼」

 土器分類の類型(在来系は「おぢさん」シート、外来系は「成塚向山」シート参照)
  ​鏑川上中流域弥生後期4期~古墳前期土器分類​

古墳前期の遺構で発掘調査報告書に詳細な報告がなされているのはEH-20号住居のみ。そのほかに五領式期の住居1軒がEH-20に隣接し、和泉式期の住居と詳細時期が触れられていない住居それぞれ一軒の計四軒で集落内一支群を形成していたと報告書は見ている。
以下EH-20号住居の土器を見ていく。


EH-20号住居出土の甕

EH-20号住居の土器は殆どが床直上または覆土でも床面に近いところから出土しており、一部を除き一括出土品と見られている。上に示したような甕をおそらく併用していた。横刷毛がないか、あったとしても低い位置のS字甕はおそらくF3タイプ。41の甕は頸部がまっすぐ立ち上がり密な輪積みを持ち、胴部には文様がなくヘラミガキが施されている。43は無節縄文Rが施されている。


竹沼遺跡の壺

壺1は折り返しの口縁部と肩部に二条の単節縄文LRが施され、胴部は球形を呈している。やはり折り返し口縁の壺40は文様を持たない。これらがF3のS字甕の時代に併存していた。


竹沼遺跡の鉢、器台等

鉢38が輪積痕を残すところは吉ヶ谷式寄りか。小型壺の頸部は短く屈曲している。同住居から出土した小形台付甕もやはり屈曲する短い頸部を持っている。赤彩で折り返しであるところは鞘戸原Ⅰ-8号住居鉢19と共通する。
器台は2点出土しており、既に確立していたことが分かる。権現堂Ⅲ区153号住居器台6、​南蛇井増光寺​C59号住居器台59などがやや似ているだろうか。


竹沼遺跡の高坏

高坏2点は片方は強く湾曲した杯部を持ち、もう片方は広く広がる杯部をを持つ。いずれも樽式の系統から脱却している。阿曽岡65号住居の高坏の様相に近いように見える(下図)。
器台も高坏も脚部穿孔を施すものと、施さないものが一点づつであるのは、古墳前期でも時期的にやや早いことを示しているのだろう。





参考文献
 群馬県藤岡市教育委員会 1978 『竹沼遺跡』

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Last updated  2020.02.11 22:03:26
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おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ (続き)昔ある人がお…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ お久しぶりです。永ら…
おぢさん@ Re[1]:土器-編年(02/14) 上毛野形名さんへ 長いこと返信もせず失…
なんだかね@ Re[2]:無(03/15) おぢさんさんへ 遅ればせながら「人新世の…
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