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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
≪若すぎたゆえの失敗かも≫
ヘミングウェイの『武器よさらば』のモデルになった女性とヘミングウェイとの恋を、彼の友人が書いた本の映画化作品です。 第一次世界大戦末期のイタリア。小説家志望の新米ジャーナリスト、アーネストは前線で負傷して、ミラノの赤十字病院に運び込まれる。脚を切断しなければならないかもしれないほどの重症の彼を看護したのは、アメリカ人看護師アグネスだった。 この時アーネスト(ヘミングウェイ)が18歳で、アグネスは8歳年上だったと言われています。戦地での負傷、脚を切断しなければならないかもしれない恐怖。そんな時看護してくれた人に恋をする…心身ともに病んでいるとき優しくしてくれた看護師さん(人)に恋をする、よくある話ですが、御多分にもれずアーネストもそうだったのですね。 【ネタバレ】 上手くいきそうに見えた二人の間も、アグネスがイタリア人医師のプロポーズを受けてしまった事によって壊れてしまいます。アーネストはアメリカに帰国し、傷心の日々を送ります。そこに、やはり自分の気持ちはアーネストにあると気づいたアグネスが逢いに来ますが、彼はそれを拒んでしまいます。 アグネスの気持ちがわからないでもありません。アーネストの事は好きだ、でも、患者と看護師と言う立場や、彼の18歳と言う年齢に不安がある。ましてや自分は8歳も年上、そんなに若くは無い(当時の女性の年齢だと決して若くはなかったでしょう)。そこへ誠実で大人のイタリア人医師からのプロポーズ。医師とアーネストを一応天秤にかけてみたのでしょうね。そして、一旦医師を選んだけどもやっぱり本当に愛しているのはアーネストだと気づいた。だから、勇気を持って逢いに行った。アーネストも彼女との再会はきっとものすごく嬉しかったはず。しかし、彼のプライドがそれを許さなかった。確実に若さも邪魔したのだと思います。一度怒りの矛先を彼女に向けてしまったら、もう後には引けなかったというような。そして、二人は悲しい別れをするのですが…。 ラストの別れの部分、アーネストの怒り、暴言が、どうもいきなり出てきたような感じがしてならなりませんでした。それまでは、血気盛んで、自信過剰な部分はあったけど、陽気で誰からも好かれるような雰囲気の青年を描いていました。そして、その役にクリス・オドネルがピッタリだったのです。もし、アーネストの激しい部分が全編に描かれていたなら、ラストのシーンはすんなり観られたかもしれません。そこが描ききれていなかったようで惜しい。アッテンボロー監督、恋愛モノはあまり得意ではないのかも。それとも、彼女の裏切りは彼をそこまで追い詰めたという事なのか。 戦争中の悲劇、なのでしょうが、ヘミングウェイの青春時代の回想録、とでも言うような映画です。 ヘミングウェイは生涯4度の結婚をしたのですが、あそこでアグネスを許していれば4度も結婚せずに、彼女と一生幸せに暮らしたでしょうか。それとも、この経験があったからこそ発奮でき、後に名を遺す作家となれたのでしょうか。 サンドラ・ブロックの看護師姿は、意外にも似合っていました。 IN LOVE AND WAR 1996年 監督:リチャード・アッテンボロー 脚本:アラン・スコット、クランシー・シーガル、アンナ・ハミルトン=フェラン 出演:サンドラ・ブロック、クリス・オドネル、マッケンジー・アスティン、エミリオ・ボヌッチ、イングリッド・レイシー、イアン・ケリー 他 CD ラブ・アンド・ウォー/オリジナルサントラ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.03.21 17:39:42
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