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私訳・源氏物語

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March 21, 2006
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カテゴリ:古典文学
黒髪の 乱れも知らず打ちふせば まづかきやりし 人ぞ恋しき

(黒髪の乱れは私の思い乱れ・・・それもかまわず床に打ち伏すとき、まず恋しく思うのは、乱れた私の髪をかきやってくれたあの人のことです)

私の好きな和泉式部の、官能的な歌です。
物狂おしさに打ち伏した姿の和泉式部、その長い黒髪が幾すじにも乱れて、肩や袖に降りかかっている濃艶な様子が目に浮かぶような、描写的な歌だと思います。

私はまた、自然の景色に彼女の心象風景を重ねて詠んだ歌も好きです。

はれずのみ 物ぞかなしき秋霧は 心のうちに 立つにやあるらん

(晴れることがなく、もの悲しい思いをしています。秋の霧は、心の中に立つものなのでしょうか)

彼女の胸の中には、白い霧のようなため息がいっぱい詰っているような、そんなせつないものを感じさせます。

もの思へば 沢の蛍もわが身より あくがれ出づる 魂かとぞ見る

(あまりにもの思いに沈んでいると、沢に飛ぶ蛍さえも、私の身からふわふわと離れ出る魂かしらと思って見てしまいます)

源氏物語の六条御息所のもつ「情念」を連想させる歌ですが、おどろおどろしさを感じさせない描写のうつくしさがとても印象的です。

これらの歌にあるものは、深いため息に満ちた「嘆き」であり「哀しみ」であって、いわば究極の「愚痴」ではないかと私は思うのですが、そこには彼女ならではの知的な感性のひらめきと、上品な言葉のきらめきがあって、それゆえに歌全体がスリムに引き締まり、優美でセンスのいい、そして忘れがたいものとなっているように思います。





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最終更新日  March 8, 2017 06:47:23 PM
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