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カテゴリ:中医学
私は久しく実践の場から離れていたため、源氏物語に憧れて京都を訪れる旅人のように、成都中医薬大学の雰囲気を実際に感じたいと思って参加しただけなのですが、4泊5日のほとんどが講義と附属病院での病棟研修という密度の濃い日程をこなす中で、中医学に対する自信を再確認できた有意義なものとなりました。 大学は今年設立50周年で、成都市郊外に広大な敷地を有する、近代的な新校舎を建築中でした。その真新しい校舎で、私たちは炮製(ほうせい)の実習をしました。中薬に蜂蜜やハマグリの粉や黄土をからめて薬性を緩和し、或いは服みやすくする方法で、日本ではめったにこういう作業をする機会がありません。 若い大学院生がかいがいしく教授のお手伝いをしたり、かたことの日本語で私たちに話しかけてくれたりしました。 旧校舎は市の中央から比較的近いところにあって、趣のある石造りのどっしりとした建物で、入り口には黒と金色に塗られた立派な門扉がありましたが、トイレには低い仕切りがあるだけで、扉はありませんでした。 扉のないトイレは困るのですが、それでもしんとして暗い旧校舎には、50年という歴史を感じさせる重々しさがあって、とてもいい雰囲気でした。 しかし大学に隣接した附属病院でも急ピッチで病棟を新築しており、この次ここに来たときには、もうこの扉のないトイレも暗い廊下もないかもしれないと思うと、もったいないような残念な気持ちになりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 9, 2017 07:21:57 PM
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