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カテゴリ:日本文芸一般
■内 容 主人公・川田幸代(29際、独身)は、女友達3人で発行する同人誌に、男同士の同性愛を描いた小説をせっせと書き続けるオタクな腐女子で、『星間商事株式会社』の社史編纂室に所属する会社員でもある。 会社の50周年に発行予定だった”社史”は、やる気のないゆる~~い本間課長のぺースのせいか、未だに日の目を見ない有様。 社史編纂室の幸代、矢田、みっこちゃんが過去の資料を集めるが、高度成長期のある時期について資料が集まらず、なぜか先輩社員やOBもこの時期について語ろうとしない・・・。 幸代たちが、この高度成長期の穴──社の秘められた過去を探ろうと奔走するのだが・・・。 ■感想など 川田幸代の同人誌仲間が結婚し、同棲中の彼氏との結婚を頭がよぎる・・・・。 アラウンド30の女性の心の動きが、生活感たっぷりに描かれていておもしろい。 例えば幸代とコミケ仲間の英里子との会話・・。 英里子「男の人って、種付けしといて子育てはどっか他人事よ?それに対するイライラで削られるエネルギーを、計算に入れておくべきかも」 幸代「英里子のだんなは、子育てに協力的でしょ?」 英里子「協力的というのが曲者よ。」「本体なら、自分の子なんだから育児をして当たり前でしょ。『育児に協力的な奥さん』とは言われないのに、『育児に協力的なだんなさん』が褒められるのは変よ。」 なかなか生々しいでしょ。 小生も父親の端くれで、子供が小さい頃は積極的に育児参加をして『育児に協力的なだんなさん』のつもりだったから、著者から「協力的というのが曲者よ」としてバサッと斬り込まれると、返す言葉がないのであります。 降参、白旗!!! -◆- 社史編纂室所属という”閑職”にある本間課長、幸代、矢田、みっこちゃんらが、星間商事株式会社の闇の歴史に気づいてしまったことで、なんだかんだが起きるところが物語のメイン。 NHKの金曜21時枠、あるいは土曜22時枠のドラマにしたら面白そうな内容です。 オタクな腐女子を自認している幸代の他、幽霊部長、ぬるい課長、女好きで仕事はサボり気味のヤリチン先輩、”いまどき女子”の後輩みっこちゃんら、およそ企業勤めとは思えない連中のキャラが憎めなくて、妙に愛おしくなってしまいました。 -◆- 同性愛小説を書き続けた幸代が、合コンで偉そうにしている男性を苦々しく思った際に「男性のペニスを100本は描いてきたのだ」と、心の中で自分に気合いを入れて息巻いてる場面に爆笑・・・・。 こんな具合で、出来すぎたマジメ人間は一人として登場しない、楽しい作品でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.03.17 19:58:01
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