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テーマ:洋楽(3285)
カテゴリ:プログレッシヴ・ロック
当時EL&Pはもちろん、まだプログレなんて言葉も知らなかった(というか洋楽もロクに聴いていなかった)僕の耳にこびりついていたのがこの曲である。 曲のタイトルは「地球を護る者/Challenge Of THE Psionics Fighters」。 アニメ映画「幻魔大戦」のメインテーマ曲である。 「幻魔大戦」は平井和正と石ノ森章太郎との共作として少年マガジン(1967)で開始されたSF大作。 迫り来る大宇宙の破壊者“幻魔”に対して、地球の超能力者達が戦いを挑むという内容で、ハルマゲドン(最終戦争)をキーワードとした、強大なスケールを誇る作品となっている。 これを映像化したのが当時隆盛を極めていた角川映画で、監督にりんたろう、キャラクターデザインに大友克洋、脚本に真崎守、アニメーターに金田伊功(特殊効果)という錚々たるメンバーで製作された。 役者陣も超豪華。アニメ畑からは、古谷"アムロ"徹、小山"アラレちゃん"茉美(古谷と小山は当時夫婦だった)、池田"メーテル"昌子、永井"波平"一郎。 他にも江守徹、美輪明宏、穂積隆信、といった実力派が参加。 その中にまぎれて、当時"時をかける少女"だった原田知世が そして、音楽監督として招かれたのが、当時EL&Pを解散させて映画音楽などでお茶を濁していたキース・エマーソンである。 サウンドトラック(写真)は、エマーソンと青木望との共同名義で製作される事になった。 この「地球を護る者/Challenge Of THE Psionics Fighters」はキース・エマーソンの手による壮大なインスト・ナンバーで、サントラではラストに置かれている。 当時、映画のCMや本編のクライマックス・シーンなどでこの曲が使われており、「警告、ハルマゲドン接近」というキャッチフレーズのもと、このメロディがやたらと流れていたものだ。 EL&Pでのトレードマークでもあったトリッキーかつアグレッシヴなプレイはここでは影を潜め、聴かせる事に徹したかのようなオーソドックスな演奏が聴ける。 時間にして4分10秒というコンパクトさ。エマーソン節ともいえる、いつものハッタリ臭さはそのままに、普段洋楽やプログレを聴かない人にも受け入れられる、聴きやすい仕上がりとなった。 エマーソン的でありながらどこかチープなそのサウンドは、「お小遣いかせぎにちょっとやってみましたぁ」みたいな手抜き感も漂う。 とはいえ、フレーズの印象深さはなかなかのもの。当時も今も「幻魔大戦」と聞くと、ワシの頭の中にはこの曲のリフレインが高らかに鳴り響くのである。う~んパブロフの犬効果。 今聴くと、音色、旋律ともに「朝まで生テレビ」を連想させるのが爆笑。エマーソンの音楽にはピッタリなオチだ(本人が聞いたら怒るだろうなあ…)。 なお、映画の主題歌である「Children Of The Light(光の天使)」もエマーソンの作曲、演奏によるもの。 ローズマリー・バトラーをヴォーカルに迎えた湿っぽいバラードで、EL&Pからは想像もつかない曲調だが、プログレ経由の産業ロックだと思えば納得もいく(笑)し、これはこれでなかなかの名曲だ。 なお、ローズマリー・バトラーは同じ角川映画である「汚れた英雄」の主題歌も歌っていた。ワシはそっちの曲も結構好きだったので、ローズさんも個人的には妙な思い入れのあるシンガーだったりする。閑話休題。 で、「角川映画第一回アニメ作品」として大々的に宣伝されていたこの映画。 僕も「何だかよく分からないけどスゴそうだ」などと胸を躍らせながら見に行ったものだが、いざフタを開けてみると、映像の綺麗さやスケール感ばかりが先走りして、肝心の脚本や演出が伴っていないという、なんとも中途半端な印象を受けた記憶がある。 まあ、あまりにもスケールの大きい原作(未だに未完)のダイジェスト版(をさらに圧縮したもの)だから、しょうがないのかな。。。 この作品は、後に石ノ森キャラによるアニメ版も製作された。 エマーソンはこの後、グレック・レイクやコージー・パウエルと組んでEL&P(パウエル)を結成。'90年代以降は、安室奈美恵のバックバンドとして来日したり、「ゴジラ・Final Wars」(2004年)の映画音楽を担当するなど、なかなか日本びいきな所も見せている。 この「幻魔大戦」の仕事にしても、本人にしてみれば本業の合間を縫ったアルバイトなのかもしれない。だが、それはそれとして、EL&Pとはまた違った意味で、ワシはこの曲が今もなんとなく好きだったりするのである つーコトで「地球を護る者/Challenge Of THE Psionics Fighters」を聴くにはここをクリック! ちゃーんちゃーんちゃちゃ~♪ 「Children Of The Light」はこちら。 警告、ハルマゲドン接近。 ↑ノストラダムスをまだ信じていた頃の思い出さ。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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僕もプログレとは知らずに昔イエス、ELPを聴いてました。
のちにプログレと呼ばれるようになって気が付いた訳であって。 ELPはベストアルバムの「ホウダウン」から入りました。 特にイエス、ELP、ジェネシスのようなシンフォニックなプログレ全般が好きです。 どんなにたくさんプログレが存在するかは僕が所有してるプログレCDを参照してみて下さい。 ELPタイプのキーボード・プログレでお勧めは「トレース」「トリアンヴィラート」「グリーンスレイド」などでしょうか・・。 知ってたらうれしいです。 (2007.10.22 21:50:28)
実は、つい先週、「幻魔大戦」を見たところです!
魔女(?)だったり、「絶対零度」とか、このテーマ曲とか、 記憶が部分的だったので。 で、たしかに当時は「すごい!」と思ったはずなのに、 改めて見ると、ストーリーが……断片的すぎ……。 つまんなかった…… 予告編は面白かったけどね。 (2007.10.22 23:27:00)
カスタム77さんはじめまして。
ようこそポム・ブログへ! >僕もプログレとは知らずに昔イエス、ELPを聴いてました。 >のちにプログレと呼ばれるようになって気が付いた訳であって。 ----自分がイエスやEL&Pという名前を意識したのは、プログレという言葉を知ってからですね。完全に後追い世代なもので… とはいえ、イエスの「Love Will Find A Way」は、それ以前からヒット曲として親しんでいたワケですか^^ >ELPはベストアルバムの「ホウダウン」から入りました。 ----自分は「展覧会の絵」だったかな・・・? >特にイエス、ELP、ジェネシスのようなシンフォニックなプログレ全般が好きです。 ----自分の場合、プログレはそんなに詳しくないのですが、その辺は普通に好きです。 プログレの世界は奥が深いですよね。自分にはとてもフォローしきれない。。。 >どんなにたくさんプログレが存在するかは僕が所有してるプログレCDを参照してみて下さい。 ----ありがとうございます。 後でそちらにも伺わせていただきます。 >ELPタイプのキーボード・プログレでお勧めは「トレース」「トリアンヴィラート」「グリーンスレイド」などでしょうか・・。 >知ってたらうれしいです。 ----この中で知っているのはグリーンスレイドだけですね。 「Bedside Manners Are Extra」いいですよね。 ではではまた。 (2007.10.23 15:06:30)
akikki姉さんどうもです。
>実は、つい先週、「幻魔大戦」を見たところです! ---何たる偶然! 姉さんのテレパシーが俺にこのレビューを書かせたとか?笑 >魔女(?)だったり、「絶対零度」とか、このテーマ曲とか、 >記憶が部分的だったので。 ---やはり、このテーマ曲は覚えてらしたのね^^ >で、たしかに当時は「すごい!」と思ったはずなのに、 >改めて見ると、ストーリーが……断片的すぎ……。 >つまんなかった…… >予告編は面白かったけどね。 ----もう長いコト見てないんですけど…。 な~んか盛り上がりそうで盛り上がらないな~と思いながら見ていたら、「アレ?終わり?」みたいな感じになっちゃったというか… サブキャラにしてもほとんど生かされていなかったような。特に原田知世が演じた女の子は「何のために出てきたんだ?」状態。 当時小学生だった僕の心に、何ともいえない食い足りなさを残してくれた作品でした(苦笑 ではではまた。 (2007.10.23 15:17:29)
この映画、実は私キースの音楽目当てで観に行きました。
当時、私ELPが大好きだったので。 でも、映画も音楽も大しておもしろくなかった…。(苦笑) ところが、うちの地元ではなんと同時上映がテリー・ギリアムの「バンデットQ」だったんです。(驚) その時はテリーがモンティ・パイソンのスタッフだったことも、ジョージ・ハリスンが関わってることも全然知りませんでしたが、「幻魔大戦」より断然おもしろくて、むしろそっちの方が印象に残ってます。 (2007.10.23 18:40:21)
>音楽監督として招かれたのが、当時EL&Pを解散させて映画音楽などでお茶を濁していたキース・エマーソンである。
えぇ!そうだったんだ!映画はロードショーで見ました。知らなかったなあ。 いま、いくつかの動画サイトで配信されてるみたいだから(有料だけど)見てみようかな? (2007.10.23 23:06:18)
エマーソンに、こういう時期があるんですか?!
彼に関しては完全にELPの印象しかないので、ちょっと驚きです(笑) もちろん解散後にも何かしらやってるんだろうな~程度の認識はあったんですが…(>ω<) 時々ふとELPは聴きたくなって聴く感じです♪ 実家にレコードもあるらしいので、いつか探してみようかなぁと思ったりしてます(笑) ではでは~☆ (2007.10.24 10:29:39)
PeTeRさんどうもです。
>この映画、実は私キースの音楽目当てで観に行きました。 >当時、私ELPが大好きだったので。 >でも、映画も音楽も大しておもしろくなかった…。(苦笑) ---内容は確かにちょっと…でしたねえ。 自分の中には、このメインテーマ曲だけが残りました。 >ところが、うちの地元ではなんと同時上映がテリー・ギリアムの「バンデットQ」だったんです。 ----あの映画と同時上映だったんですか? その事実だけでもスゴイ… PeTeRさんの地元は太っ腹だなあ~(笑 >その時はテリーがモンティ・パイソンのスタッフだったことも、ジョージ・ハリスンが関わってることも全然知りませんでしたが、「幻魔大戦」より断然おもしろくて、むしろそっちの方が印象に残ってます。 ----「バンデットQ」、何だかよく分からないけど印象に残った、というのがガキの頃の自分の印象です。 当時は、モンティ・パイソンはもちろん、ジョージ云々なんてコトも勿論知らず。 また見てみたいなあ。 ではでは。 (2007.10.24 15:11:18)
オンデン1970さんどうもです。
>>音楽監督として招かれたのが、当時EL&Pを解散させて映画音楽などでお茶を濁していたキース・エマーソンである。 >えぇ!そうだったんだ!映画はロードショーで見ました。知らなかったなあ。 >いま、いくつかの動画サイトで配信されてるみたいだから(有料だけど)見てみようかな? あまり期待しないで見る事をオススメします(笑 映像のクオリティなんかは今見ても色褪せてないと思いますよ。 ではでは。 (2007.10.24 15:13:20)
Kid Blueさん書き込みサンクス!
>エマーソンに、こういう時期があるんですか?! >彼に関しては完全にELPの印象しかないので、ちょっと驚きです(笑) ---そうなのです。 といっても、オジサンも知ったのはだいぶ後になってから。 「ええ~? この曲エマーソンだったの!?」って(笑 >もちろん解散後にも何かしらやってるんだろうな~程度の認識はあったんですが…(>ω<) ----こういうのを灯台もと暗しというのか…(笑 >時々ふとELPは聴きたくなって聴く感じです♪ >実家にレコードもあるらしいので、いつか探してみようかなぁと思ったりしてます(笑) ---「幻魔大戦」のサントラもあったりして(笑 という事で、レビューの方もよろしくぅ♪ ではでは~☆ (2007.10.24 15:21:27)
「地球を護る者」のファンファーレは朝生を連想せざるを得ないですね(笑)
同じ感想を持ってる人いないかな?と思っていたらやはりいましたね(笑) 東丈の年齢で映画館で幻魔大戦観て、サラマンダーやアサンシの年代も過ぎて気が付いたら「キャラポジ的にはヨギーなのか・・・」という事になりました汗 ハルマゲドン・・・あながち妄想中二病だけではないように感じる今日この頃です。もちろん戦うのは幻魔に対してではなく人間同士です。殲滅の仕合いです。 物質文明が究極に達して逃げ道がなくなるなら、人類は何を選択するのでしょうか。 (2018.11.12 05:13:53) |