Sending Out the Message of Sake (獺祭・桜井社長トークセッション)
「日本酒を世界に発信する」というタイトルで、獺祭の旭酒造・桜井社長による講演がありました。(at早稲田・大隈ガーデンハウス。主催・ICC)「カンブリア宮殿」の取材カメラが回っていましたが、想定外に面白い内容でしたので若干レポートします。僕にとって「獺祭」は、人気の大手地酒蔵のイメージですが、ここまで大きくなった要因は「逆境」でした。蔵の半径5kmの人口は300人!商圏の岩国市では、桜井社長の就任した1984年当時は四番手、売上げはピーク時の1/3という、いつ消えてもおかしくない酒蔵でした。したがって、県内で酒米を調達するのも不自由していた。今となっては良いお米を回してくれなかった当時の関係者に感謝したい。当時、酒屋が急激に売上を落とす原因は、2級酒のヘビー顧客が肝硬変で入院することだった!過去10年間売れなかったお酒を、過去10年間売れなかった取引先に、過去10年間売れなかったやり方で、売れるわけがない!よって、市場を東京に求め、米を全国から調達し、量ではなく質を求める造りを始めた。美味しいお酒を少量飲んでもらう。→純米大吟醸を造る。→すると、東京で売れ始めた。現在、売上は量で16倍、金額で40倍に成長した。山田錦の使用割合は7割。全国の山田錦生産量30万俵のうち、当社が4万俵を費消している。成長の背景として宅急便の普及が大きかった。同時に世界に市場を求め、約20ヵ国に輸出しているが、各国の上位5%の客層の味覚・嗜好は同じである。アメリカ人だから味覚が曖昧だとか、フランス人は毎日ワインを飲んでいるから酸味が効いたものが好きだとか、そういったことは国全体としてはあるかも知れないが、上位5%の人達は皆同じだということが分かった。よって、そこをターゲットにしている。酒質で日本一を狙い、世界に日本の文化を発信していく。以上、文責・星野なお、最後に「2割3分」の試飲まで想定外にありました!桜井社長と本セッションの情報提供をしていただいた古川万里子さんに感謝いたします。