語学を使った挑戦 ~その3~
さて、中国からいらした老師の大会での通訳お手伝い、なんとかへとへとになりながら終了。実は、後日談もあったのです。老師は、一日お休みの日があり、買い物に行きたい、とのことで、「君、よかったら、お手伝いしてくれませんか?」と言われ、私も、その日は、武術の稽古だけしかなかったので、そっちはお休みして、老師にお付き合いすることになりました。カメラ屋さん(老師の趣味は写真)や、デパートを回ったり、いろいろお話させていただいて楽しかったのですが、ここで驚愕の事実を知る私。お昼ごはんを一緒に食べている時に、ふとしたきっかけで、「どうして、老師は、伝統拳のA拳を選ばれたのですか?」と聞いたところ、老師「君は、”伝承”という言葉がわかりますか?僕の曽々祖父(4代前)は、A拳を作った〇〇なんですよ。」ぶっ飛び~! (平野ノラより)あまりにも驚いて、椅子から転げ落ちそうになった。その〇〇老師って、武術やっている人なら知ってる有名な伝説の人で、映画とかドラマの題材にもなってるお方。ま、例えて言うなら、日舞を習いに行ったら、高名な先生が教えに来ていると言われ、実際会ったら、すごかったので、「お上手ですね。」と話しかけたら、「僕は、市川團十郎と言いまして、僕のひいひい・・・おじいちゃんが歌舞伎を作ったんですよね。」と言われたようなもの。いや~、人生で驚いたトップ3かも!&考えてみれば、私もすごい失礼な質問をしたものの、やはり、お育ちがいいのか、全く気を悪くされた風はなかったのは、何より。そういえば、この老師ってすごく気遣いの方だし、(昔、やんちゃなL老師をご案内したことがあるので、なおさら...)例えば、電車の中で、老師の趣味の写真を見せていただいてた時、老師の調度品の写真があまりにもすごかったので、思わず、大声になってしまったのですが、そこで「君、ここは日本の電車の中ですから、もう少し静かな声でお話するといいですよ。」なんて日本人の私が注意されたり、また、その調度品も、ただ金キラな豪華っていうよりも、渋好みのアンティークで、趣味のいいお金持ちな感じがしてたので、そのおうちの血筋も納得。私も、清王朝のファブリックや、インテリア、家具などが大好きなので、この老師とアートの話で盛り上がったのでした。・・・なんだけど、ちょっと洋服を見たい、という老師を、(老師は60代)年代にあった高級路線の渋いブランドの並ぶデパートへお連れするも、「Kangzi(私の名前の中国語読み)、ここには僕の好きなタイプの服がありません。」と言う。私「どんな服がお好きですか?」老師「赤系で、大きい絵や柄が入っているやつ。どこで買えますか?」私「うーん... 大阪...??? 」(私も大阪出身なので)この洋服のご趣味は、中華系の感じでした。(日本人より、明るい色がお好み)しかし、今回は、楽しかったナ。そういう趣味の話(アンティークやインテリア)に、老師の子供の頃から受けたトレーニングの話とか。おじいさんに4才の頃から、この家を継ぐものとして、武術のトレーニングを受けたらしく、まさしく、グランドマスターの世界~♡そうとう厳しかったらしく、嫌にならなかったんですか?とお聞きすると、「だって、子供でしたから、何もわからず、楽しくやってましたよ。」なんて、またもや天才コメント。後は、計算で一代ずれてたので、お聞きすると、お父様は家を継がれず、京劇の役者さんをされていたらしい。(京劇と武術はつながっていて、ジャッキー・チェンも京劇学校の出身)京劇も大好きなので、いろいろ興味深い話を聞けました。私も楽しかったけど、老師も楽しんでいただいたらしく、というのも、たまたま奇跡的にいろいろ私の言動が面白い方向に転んだようで、「Kangziは、面白い人ですね。中国語力だけだと不安な部分はありますが、君のその性格とか人間力というかその魅力が、足りない中国語の部分を押し上げていますね。」と、まあ、ホメていただいているんだけど、100%は素直に喜べない(中国語へのダメ出し)ものの、すごく、私という人間を気にいっていただいたというか、興味が出てきたらしく、老師「君、来年の北京合宿は、僕の伝統拳のクラスをとりなさい。」とおっしゃる。私「いや、その伝統拳はやったこともないし、第一、套路(型のようなもの)も知りませんし。また、そのクラスを受けられている方々(日本で講師レベルの先輩方)のレベルには及びませんから、私は、いつもの規定の基礎クラスを受けます。」と言っても、老師「ダメです。君の体形は、僕の伝統拳に向いています。套路なんて知らなくていい。来なさい。」の一点張り。非常にありがたいけど、ハードルが高過ぎるのと、やっぱり、北京は私のいつもの老師を受けたいのよね...と、うやむやに返事をしつつ、翌日は北海道へ指導に行くということで、ま、お忘れになるだろうという私の期待に反して、翌日から、毎日のように、北海道での自分の写真(?)とともに、「伝統拳へようこそ!」とか、「伝統拳は、あなたを歓迎しますよ。」的なメッセージがwechat(中国版LINEみたいなもの)で送られてくるのよね。う~ん...